2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

西尾維新『クビシメロマンチスト』

戯言シリーズの二冊目で、やっと読んだ。 この作品は、ちょっとヒドすぎるくらいの駄作じゃないかな。ようするに、自分へのストーカーに、一線を越えたら、説教、でしょ。「責任ヲ取レ」ねぇ。あとがきでまでまだ、イイワケですか。この人は、この作品で、作…

武光誠『邪馬台国と大和朝廷』

この本では、邪馬台国に焦点をしぼって論述される。 昔から、九州説と、近畿説の二つがあったが、この本では、九州説をとる。なぜなら、魏志倭人伝の文献学的アプローチから、そちらが、常識的に、解釈できるという、昔からの研究成果による。 つまり、九州…

昆野伸幸『近代日本の国体論』

この本こそ、戦中、戦後の国体論、皇国史観の、決定版だと思う。 この本の特徴として、右翼の主張は、必ずしも、まったく、同じではなかった、それなりに、主張の違いがあったということを、強調していることでしょう。三井甲之の日本原理社の神話主義、平泉…

片山杜秀『近代日本の右翼思想』

この本において、基本的なコンセプトとして、右翼にとって、現代が、「現に今も天皇が存在している」ということから、基本的に、彼らの目標が、達成されてしまっている世界であると、考えるところである。 そうすると、勢い、世の中を抜本的に変革していこう…

イビチャ・オシム『日本人よ!』

自分は、サッカー少年ではなく、どちらかといえば、野球少年だった。弟が、サッカーやっていたが。ただ、中学は、サッカーが、さかんなところで、サッカーの体育の授業がやたら多かったのを覚えている。フランスW杯か日韓W杯だったか、やたらと、渋谷か新…

「戦牌伝説アカギ」

福本伸行のマンガのアニメ化。カイジやクロサワといった、傑作があるが(両方とも、最初の方くらいしか見ていない)、それらの作品の先駆的な作品であり、基本的なアイデアはすでにここにあると言ってもいいでしょう。そのアニメ化(26話)で、今回は、ShowT…

柄谷行人「音声と文字/日本のグラマトロジー」

子安宣邦と、酒井直樹との、対談。酒井直樹の『過去の声』を受けて行われた対談。この本において、伊藤仁斎が、重要な存在とされていることや、子安宣邦の『鬼神論』での、伊藤仁斎の評価、そして、彼自身による、以前の「伊藤仁斎論」、これらを改めて、ふ…

柳父章『翻訳語成立事情』

今の日本語の中に、実に多くの、明治以降の、欧米の言葉を「翻訳」した言葉(漢字)がある。おもしろい現象として、それらは、当然、中国で通じないのだが、本意じゃなかったかもしれないが、これらが、向こうで、受容されているケースもある、ということだ…

B・ファリントン『ギリシア人の科学』

古代ギリシア哲学は、始め聞くと、ばかばかしく思える。世界は、水からできている、とか、火からだ、とか。しかし、それらについて、この本では、それらの認識が、当時の彼らの、最先端の科学、青銅や鉄の製品の製造などにからんでいて、ある程度、実感をも…

姜尚中『ナショナリズム』

この本は、今までの、いろいろな、日本のナショナリズムの問題を、一冊にまとめたような内容で、よく整理されていると思う。 儒教での、親子の孝に対して、国家・天皇に対する忠の、「教育勅語」での優越性の論理。「軍人勅諭」と、西周「兵家徳行」、山県有…

NHKスペシャル「新型インフルエンザの恐怖」

ちょっと前に、テレビでやってた。 インドネシアで、鳥インフルエンザが、人に感染する事例が増えている。鳥を扱う業者だったが、家族が次々感染して、明らかに、人から人への感染が起きていたことが分かる。結果としては、感染力が、弱く大惨事(パンデミッ…

椎名林檎「unconditional love」

彼女も、最初の頃は聞いていたけど、最近は、聞いていない。どんなことをやっているのかも知らない。「歌舞伎町の女王」は、あまりに彼女を代表する曲でしたね。 「一度栄えし者でも必ずや衰えゆく」 椎名林檎「歌舞伎町の女王」 女に成ったあたしが売るのは…

吉田俊純『水戸学と明治維新』

たいへんによく、水戸学について、まとまっている。これを読んで始めて、『日本の名著 29・藤田東湖』を、通読できるかな、という気にさせた。 藤田幽谷、会沢正志斎、藤田東湖、の水戸学派の、分析に始まり、吉田松蔭、横井小楠、そして、彼の後輩である、…

今谷明『日本の国王と土民』

集英社版日本の歴史の9巻である。 室町時代は、びっくりするくらい、大河ドラマや、歴史小説の舞台にならない。しかし、それはどういうことかを考えると、逆に、日本という国が、どういう国であるのかが分かってくる。 たとえば、水戸学派の「大日本史」が…

ふくやまけいこ『ゼリービーンズ』

アニメージュコミックスに、あった作品。「リュウ」という雑誌に連載していた。アメリアという女性のもとに、ある日突然、一人の少女が訪れるところから始まる名作。この作者も、その後、どんなのを書いているのかとか、今もやってるのかとか、なんにも知ら…

吾妻ひでお『ぶらっとバニー』

吾妻ひでおというのは、最近、いろいろ話題の人みたいだ。読んでないが、『失踪日記』が、普通に書店でまで売っている。ただ、彼というと、なんといっても、『ななこSOS』などで、今の、美少女マンガの、先がけ的な人で、神様みたいな人になるんじゃない…

ピーター・S・ビーグル『心地よく秘密めいたところ』

モダン・ファンタジーという紹介されていたように思う。死人とは、墓とかが、でてきて、なんか不思議な雰囲気の作品だった。順番としては、『最後のユニコーン』 最後のユニコーン (ハヤカワ文庫 FT 11)作者: ピーター S.ビーグル,鏡明出版社/メーカー: 早川…

A・メリット『蜃気楼の戦士』

かなり早い版の、早川SF文庫で、今は手に入らないかと思ったら、一度、復刊されているみたいですね。さすが、早川文庫はずっと続いていますもんね。 作品は、ヒロイック・ファンタジーで、終りかたが、ちょっと、悲劇的な記憶があって、ちょっと印象に残って…

水縞とおる「荒野二人組」

これも、「プチアップル・パイ」にあった作品だ(5 巻)。作者のプロ・デビュー作となっていたと思う。『アーシュキッド』というコミックに収録されていた。上記のコミックには、「チャコちゃんマイラブ」というのもあって、こちらを、たしか「アニメック」…

かがみあきら「はいぱぁあくてぃぶ」

既述の、「プチアップル・パイ」の関係で、この人の作品は幾つか読んでいた。掲題の作品は、「アニメック」に連載されていたのを覚えている。そして、この連載中に、理由は覚えていないが、若くして、亡くなっている。非常に、中途半端に思える所でそういう…

徳川恒孝『江戸の遺伝子』

江戸時代とは、どんな時代であったのか。私たちは、こう考えるわけです。明治維新によって、封建時代から解放されて、素晴しい社会に、生まれ変わったのだ、と。しかし、である。それは、どこまで、まともな扱いに耐えうる言説なのか。そもそも、そういうこ…

術田久美「春猫茸」

実家の本棚を見てたら、「プチアップル・パイ」という、マンガが、幾つかあった(巻の番号は以下。1、2、3、4、5、6、9、10、11、12、15、16、17、18)。 昔、アニキが、アニメックとかアニメージュとかを見ていて、そのつながりがあったのかな。今見てみる…

浅田彰「逃走する文明」

ひさしぶりに、『逃走論』所収の「逃走する文明」を読んでみたが、ここで主に、相手にしているのが、家なんですね。 さて、もっとも基本的なパラノ型の行動といえば、<住む>ってことだろう。一家をかまえ、そこをセンターとしてテリトリーの拡大を図ると同…

新川登亀男『聖徳太子の歴史学』

聖徳太子は、日本書記にある人物だが(正確には、別の名前で登場する)、ある説では、その存在が疑われている。この本では、その聖徳太子を、各時代において、どのように見られてきたのかに、焦点をあてている。 江戸時代においては、日本の仏教受容に関わっ…

内藤湖南「応仁の乱について」

小島毅のいろいろなところで、ふれられていたので、読んでみた。 著者は、応仁の乱以前と以後の日本は、別の国くらいの違いがあるという。それ以前にあった源平以後の守護・地頭の家は、ほとんど潰れ、今、わたしたちが知っている大名・華族の家は、ほとんど…

フランク・ハーバート『デューン 砂の惑星』

早川SF文庫の古典。「砂の惑星」は、映画にもなっていますね。中学、高校くらいに読んだ作品で、ほとんど記憶にない(家にあるのを見たら、「砂の惑星」「砂漠の救世主」「砂丘の子どもたち」は、挿絵が、石ノ森章太郎だった)。 「砂の惑星」を読むと、生態…

マル激について

ジャーナリストの神保さんと、学者の宮台さんが、ゲストを迎え対談する、インターネット放送。たまに見ている。本や映画の紹介もあって、(すでに幾つかあるが)気になったら、その感想を書こうとも、思っている。

宮台真司「徹底ドキュメント/「地方テレクラの時代」 青森編」

宮台真司については、いろいろ多方面の活動があり、いろいろ言えると思うが、この短かいエッセイについて書こうと思った。 彼は、けっこう昔であるが、こういった形で、テレクラなど、若い女性の、性の、フィールドワークをしていて、そういった結果を、いろ…

柴田明夫『資源インフレ』

ここのところ、ものすごい勢いで、資源や農産物の価格が上昇している。とうもろこしなどの農産物は、倍近いのではないか。やはり、中国などの国々の急速な勢いで、産業を発展させているということなのだろう。また、そのこともあって、ロシアなどの、資源国…

植村和秀『「日本」への問いをめぐる闘争』

この本は、京都学派の西田幾多郎と、日本原理社の蓑田胸喜を、オーバーラップさせて、分析していく。このやり方は、前著の『丸山眞男と平泉澄』での、二人の比較に似ている。 蓑田胸喜と平泉澄は、最近、出版された、立花隆『東大と天皇』で、それぞれ、一章…