2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

小谷野敦「白川静は本当に偉いのか」

小谷野敦は、最近は、いろいろ、ポストモダンも含めて、発言している人ですね。 このエッセイは、白川静の文字学は、学者の中では、トンデモとなっているようだ、という話から始まる。しかし、彼らは、表立ってそのことを言わず、こそこそ陰で言っている。 …

小島毅「儒教のいまと孔子学院」

孔子学院というのは、最近、日本の大学内にできている、教育機関をそう呼んでいる、ということのようだ。つまり、そういったものに孔子という名前を使うことのナイーブさを問題にしている、という主旨のエッセイのようだ。 儒教思想の現代的意義を強調する人…

ウィリアム・モリス『ユートピアだより』

ウィリアム・モリスというと、芸術の分野で、アールヌーボーだったかな、いろいろ有名な人のようでね。 彼が、社会主義的な、ユートピア社会を描いたのが、この小説である。 作品としては、やっぱり、ユートピアなので、素朴な描写が多い。小説としては、深…

スーザン・ジョージ『なぜ世界の半分が飢えるのか』

この本では、70年代くらいに書かれたのかな、どうして、先進国では、これほど、食料を残したり無駄に捨てたりしているのに、第三世界では、なぜ、飢えて死ぬ人がこれほど多いのか、ということについて書いてある。 ようするに、先進国の企業や、先進国や、…

毛沢東『毛沢東語録』

60年代前半から、70年代前半までは、日本は、学生運動の時代であった。大学生や、一部の高校生が、毎日のようにデモを行い、校舎にたてこもって、紛争を続けていた。授業などろくになく、新入生も入らなかったところもあるのではないか。 しかし、同じよ…

750U5SV

昔から使っている、日立のデスクトップパソコン。XP にupdateしているが、今でも、けっこう動いている。地上波テレビも、これで見ている。 何年か前に、かなりの期間、使ってると勝手に再起動する現象があったのだが、日立のホームページで、パッチが公開さ…

ソフトバンクCM

この前のソフトバンクの、子供がケータイを買えとせがんでるときに、従業員の上戸彩の犬のオトーサンが、子供がかわいくない父親なんていない、みたいに言う話だが、ああいう、子供にせがませる場面をCMにするというのは、どうなのだろうか。 防犯を考えて…

斎川眞『天皇がわかれば日本がわかる』

この本は、中国や日本の権力、つまり、国家が、自分たちを、どういった理由で、自分たちを権威付けてきたか、自分たちの支配をどのように正統付けてきたかが分かる。 だから、聖徳太子の時代までは、中国に朝貢して、属国として認めてもらうことが、近代勢力…

円キャリー

日本の低金利によって、日本でお金を借りて、日本以外で運用して、金持ちがさらに金持ちになる原因になっているんだそうだ。こういうマクロ経済について、あんまり言わないけど、各国での、経済政策のアンバランスは、どう考えても、安定的じゃないですよね。…

S・ヴェイユ『労働と人生についての省察』

シモーヌ・ヴェイユというのは、ヨーロッパ哲学の中では、象徴的な人ですね。女性であり、ハイデガーと同時代でしたっけ。それで、この本では、マルクス主義を理解するために、工場で、労働者と一緒に働いたときの日記なんですけど、彼女は学者であり、文化…

本郷和人『武士から王へ』

この本で、多少、おもしろいのは、最初の方で出てくる、源平の頃以降で、ある地主が、自分の土地を、野武士みたいな連中に取られたので、その土地は自分の権利の土地なので、裁いてほしいと、当時の天皇周辺に依頼したら、あっさりと、「それは自分の仕事じ…

藤沢周平『橋ものがたり』

藤沢周平の時代小説は、不思議な魅力がある。 主人公が、まったく、英雄的じゃない。ぐずぐずしてるし、冴えない。どんどん、周りにまきこまれて、不利な役回りになってしまう。 比較的多いのが、末端の地方武士。多少、江戸の町人の、技術者などが出てくる…

クロネコ

amazon で、本を買ったら、クロネコの宅急便で送ってきたんだけど、いなかったので、ネットで再配送を頼んだ。そのとき、近くのコンビニに送ってもらうようにしたんだけど、けっこう簡単にできた。宅急便は、夜中の時間指定はできないので、仕事している人に…

永田宏『貧乏人は医者にかかるな』

いつも通り、 で特集されたもの。 前に、年金について書いたが、同じことは、医療保険についても言える。この本は、医師不足に端を発っした、医療の今後について書いてある。 日本では、まず、小児科や、緊急医療での、医師の急激な不足が言われるようになっ…

剽窃

ちょっとショッキングなニュースがありましたね(あたごの船員の自殺未遂じゃないですよ)。 寝床で読む『論語』―これが凡人の生きる道 (ちくま新書)作者: 山田史生出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/10メディア: 新書購入: 1人 クリック: 33回この商品…

木村剛『僕らの年金脱退宣言』

さて、この本は、木村剛による、年金論みたいな内容である。 ちょうど、社会主義について考えていたところだったので、おもしろく読みました。だからこの、年金制度というのも、一つの社会主義勢力に対抗するための、社会主義的な制度だったわけですね。 こ…

PX-A740

エプソンのプリンター。何ヶ月か前に、ビックカメラで買った。安かったと思うし、とりあえず、自分の少ない使い方では、今のところは、不満もなく、使えている(エプソンのプリンターは、いろいろあるみたいですけどね)。プリンターは、何年か前と比較して…

モバイルすいか

(間違った情報があれば、先に、あやまっておきますが)3月15日から、モバイルSUICAが、定期券の、関東圏での、私鉄などとの接続ができるようになったようだ。しかし、スタート、エンド、両方とも私鉄駅だと、買えないみたい。まあ、 JRを使わないなら…

はてなカウンター

ブログってのは、便利ですね。こんなのあるんですね。参考にはなる。 思ったのは、キーワード検索で、こういったブログがヒットすると、普通にその一般的なキーワードで探している人は、ウザいと思うだろうな、と思った。なるべく、一般的なキーワードで、こ…

廣松渉『今こそマルクスを読み返す』

廣松渉といえば、今はもう故人だが、この本では、かなり、真正面から、マルクス、共産主義について、書いている。 マルクスは、資本主義の終焉の後にある、ユートピアの、共産主義社会を、かなり高度なレベルで考えていた、ということが言われる。そのことも…

井上靖『風林火山』

最近まで、BS NHKで、大河ドラマをやってたが、その原作。 まず、山本勘助の存在が疑われている。江戸時代の文献には、あるようだが、おそらく、存在したとしても、あれほど、策士として、重用されたことのない、普通の足軽だっただろう、と言われている。し…

浅野裕一『儒教 ルサンチマンの宗教』

この本は、かなり変わっている。なぜそう思うかというと、宮崎市定『論語の新しい読み方』なら、孔子そのものがどうだったか、については、それほどフォーカスしていない。むしろ、ひとつの考古学的文献としてみたとき、あまりにも、無理体な解釈、読み方を…

宮崎市定『論語の新しい読み方』

論語というのは、日本の歴史が始まるはるかに前に書かれた本であるが、経学の流れで、読まれてきた。これはなにかと言うと、儒教の中ということだ。つまり、ある種の、宗教というバイアスのかかった形で読んできたということだ。 しかし、普通、古代の文献が…

柄谷行人「フォークナー・中上健次・大橋健三郎」

もともと、フォークナー全集の解説として書かれたエッセイだと思う。大橋健三郎というのは、フォークナーの翻訳もやっている学者。柄谷さん自身、大学院時代は英米文学をやってるようなので。中上健次については、故人ですが、柄谷さんと仲がよかったようで…

柄谷行人『倫理21』

この本は、めずらしく、かなり常識的なことについて、言及している。 フロイトが子育てに関してただ一つ積極的に言ったのは、宗教的教育への反対ということです。子供の時からの宗教的教育はやめるべきである、と。先ず宗教を教えて、それから科学的知識を教…

スコット・フィッシュマン『心と体の「痛み学」』

痛みというのは、よく考えると、不思議なものだ。だれも、その痛みを理解できないのだ。本人にしか、分からない。決して伝わらないのだ(最近は、電気信号を皮膚からひろって、数値化しようとかあるみたいだが)。 さて、そうなると、その痛みを治す、治療す…

砂田利一『バナッハ・タルスキーのパラドックス』

バナッハ・タルスキのパラドックスについて、どれくらいの人が知っているのだろうか。 「スイカと地球は、それぞれ、有限個に分割して、平行移動・回転で、それぞれを移動すると、組み合わさって、互いに移り合ってしまう」。 恐らく、多くの人にとってこれ…

仲正昌樹『デリダの遺言』

私はどうしてもこの、竹田青嗣の書いているものが、おもしろくないのだが(初期の頃の、韓国文学について書いているのはまだいいのだが)、その辺りのことについて、書いてある本があった。 「共通項がある」という「竹田さん」の言い切りには、どうしても無…

柄谷行人「<差別>と文学」

差別をめぐっての対談。ポール・ド・マンの名前があるが、自分というのは、自分のカテゴリーに制約されてしか、物事を、みれない。どうしても、気づかない穴ができてしまう。 たとえば、革命運動そのものが実は女性差別的であるとか、逆に、ある種のフェミニ…

坂口安吾「日本文化私観」

有名な、坂口安吾のエッセイ。このエッセイの中で、安吾は、美をまったく違ったものとして定義するわけです。 そうして、小菅刑務所とドライアイスの工場と軍艦と、この3つのものを一にして、その美しさの正体を思いだしていたのであった。 この3つのもの…