2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ジェイムズ・S・フィシュキン『人々の声が響き合うとき』

もしあなたが、病気なり怪我なりで、病院のお世話になるとき、「インフォームド・コンセントなんて不要だ」と言う人を信用できるだろうか? 言わば、これこそが、近年さかんに話題になっている「熟議民主主義」の意味なのではないか、と思っている。 民主的…

キャス・サンスティーン「共和主義の復活を越えて」

選挙を前にして、日本の政党の数がインフレーションを起こしている今の姿には、なんとも言えない不思議な光景のように思っている人もいるのかもしれない。 小選挙区制によって、二大政党の時代に突入したと言われていて、民主党によって、政権交代までが実現…

柄谷行人『哲学の起源』

人類の歴史を考えたとき、遊牧民というか、狩猟採集生活をしていた期間というのは、農業を始めた期間に比べて圧倒的に長い。ほとんどの期間、人類は、狩猟採集生活をしてきた。 ということは、なにを意味しているか? 人間の慣習的な作法の多くは、こういっ…

つまらないエヴァ

この前、映画館で、エヴァンゲリオンを見たのだが、とにかく、つまらない。ずーっと、同じことをやっているんだな、という印象しかない。よく、あきもせず、人々は見るなあ、という印象だ。 エヴァンゲリオン:碇ゲンドウ(父親) --> 碇シンジ(子供) この…

民主党は何をしたのか?

今日、仕事に行く途中、駅前で、民主党のチラシを配っていたので、もらって、帰宅してから読んでいる。 つまり、2009年からの、民主党政権が、その任期の間に、何をしたのか、ということなのだが、素朴に思ったのは、 非常に細かい ということではないだ…

貴志祐介『悪の教典』

(イスラエル軍による、ガザ空爆が行われている現在、それを止めることのできない国際社会に対して、掲題の小説の主人公「ハスミン」という サイコパス と、なにか「同型」のものを感じてしまう私には、そう簡単に「近代」はやって来ないんだな、という「あ…

小野善康『「脱原発」は今最も効果の大きい経済政策である』

我々が驚いたのは、復興予算と呼ばれていたものを、民主党が、かたっぱしから、東北の復興と、なんの関係のない所に使っておきながら、今だに、 使っちゃった(星マーク)テヘペロ で「なんとかやり通せる」と思っていることであろう。おそらく、いろいろな…

佐伯啓思『経済学の犯罪』

近年、あらゆる事象を経済学のターミノロジーで説明することが、当たり前になった。しかし、その道は「いばらの道」である。つまり、経済学(=新自由主義)とは、一つの 経済モデル を示しているにすぎず(これを「天動説」と比較してもいい)、つまり、一…

大川真『近世王権論と「正名」の転回史』

日本の政治史が、飛鳥時代の、律令国家から始まっているということについて、反対する人はいないであろう。つまり、それは、 中国の制度 の「輸入」のことを言っている。しかし、源氏の頃から、その政治体制は武士を中心とした封建制へと移っていったわけだ…

彭丹『中国と茶碗と日本と』

日本文化という言葉を使うとき、それは「事実性」として言っているのか、「概念」として言っているのかは、大きな意味の違いを指唆しているように思われる。 例えば、東浩紀さんの「憲法2.0」という、新憲法草案にしても、何度も「文化」や「文化的遺産」と…

マーサ・スタウト『良心をもたない人たち』

(さて、オバマが再選ということだが、これって、彼の医療制度改革を、ヒスパニックなどのマジョリティが支持した、ということを意味しているのだろうか?) 掲題の本も、ある意味で、ある種の傾向をもった性格をしている人を dis ることを目的としていると…

榎本博明『病的に自分が好きな人』

近年のSNSの隆盛は、私たちに、実に、興味深い風景を見させているように思える。多くの心理学者たちは、この膨大な、 観察記録(=ライフログ) を前にして、大いに研究心をそそられているのではないだろうか。SNSの特徴は、とにかく、「つぶやく」こ…

ミシェル・フーコー『真理とディスクール』

少し前に、計算には通信が不可分の関係にあるんじゃないのか、と書いたとき、頭にあったのは、ケインズの美人投票であった。 だれが美人だと思うかを言う:ある人A --> ある人B この場合に、私たちが思うのは、「Aには二人、いるんじゃないのか」というこ…

荻上チキ『ネットいじめ』

掲題の著者が旗振り役をしているのか、よく知らないが、「いじめ対策サイト」のようなものがある。 このサイトがどれくらい利用されているのかは知らないが、そのような視点で、インターネットを検索すると、実に、多くの「いじめ駆込み寺」のようなサイトが…

高学歴者による「いじめ」

世の中には、さまざまな言説があるが、それらの「真偽」を問うということは、一般的には、それらの「科学的真理」を問う、ということに対応している、と言えるだろう。 科学者集団の科学的「手続き」:世の中の言説 --> 真理 or トンデモ この場合の、「世の…

浦沢直樹『20世紀少年』

私は、掲題の漫画は、日本の漫画の歴史の中においても、最高傑作の部類だと思っている。 漫画の特徴は、小説や批評のリテラルな形式と、映像の感覚的な「理解」の中間を表現するスタイルにあると思っているが、掲題の漫画のテーマの一つである「いじめ」のよ…