2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

フィリップ・スコフィールド『ベンサム 功利主義入門』

正直なところ、「功利主義」とはなんなのか、という命題によってなにかを考えようという態度がうまくいかないのかもしれない、と思わなくはない。 というのは、むしろ「功利主義」を言うことによって、「なにかを言いたい」人の動機を考慮していないからであ…

還元主義

例えば、「政治」の「本質」は、「哲学」にあると、だれかに言われたとしたら、あなたはどう思うだろうか。正しいと思うであろうか? 哲学はあらゆる学問の根源なのだから、当然、政治は哲学によって、説明され尽せる、と。 そのように考える人は、当然、物…

政治の「定義」

そもそも、政治において、なにが「争点」なのであろうか。 つまり、「政治」とは、なんなのだろうか。 「政治」は、何を「目的」にするのだろうか。 「政治」は、なにがどうなればそれを「政治」と呼ぶのだろうか。 「政治」とは、人間にとって、どんな「営…

仲正昌樹『いまこそロールズに学べ』

ロールズの議論の何が、最もポイントなのだろうと、考えるわけですが、それこそ「功利主義」との対決なのではないか、と思うわけです。 功利主義は、公共政策として考えるなら、比較的に妥当な主張だと思わなくはないのだが、具体的に功利主義が何を含意して…

石油文明の終わり

今週の videonews.com は、現在のエジプトの軍事クーデターと民間人虐殺の原因として、「ピークオイル」問題を中心にとらえている。 私たちは、ピークオイルの問題を、最近のサンドオイルやシェールガスなどの注目されてきた資源との関係から、それなりに、…

福島第一事故と「遺伝的影響」

福島第一事故をきっかけとして、低線量放射性物質の人体への影響がさまざまに議論されるようになった。それと期を一にして、放射性物質が人体に影響することと、その影響が、「子孫へ遺伝的に継承されていく」ことの二つについて、さかんに話されるようにな…

千葉君の「ファール打ち」とルール

ここのところ、高校野球の花巻東の千葉君の、いわゆる「カット打法」が話題になっている。ルール論こそ、21世紀の最も重要な課題となると考える私にとっては、この、一見ささいな話題も、大変に興味深く思われるわけである。 ユーチューブなどで、その打法…

仲正昌樹『カール・シュミット入門講義』

前回、「人民主権」という言葉をめぐって、民主主義を周辺から考えたのだが、今回は、さらに、人間の「集団」性とでも言いますか、「政治」について考えてみたいと思います。 その前に、掲題の本ですが、ここで著者はカール・シュミットの代表作を講義形式で…

鵜飼健史『人民主権について』

政治について、「考える」ことは、どこか、不毛な印象を受ける。それは、日本に住む日本人、一人一人に、「政治に望むこと」があるからである。つまり、その「一つ一つ」に「答える」 何か があると考えると、結局のところ、何を言っているのかが分からなく…

鬼塚英昭『日本のいちばん醜い日』

結局のところ、日本の明治から終戦までの国家の「戦略」には、さまざまな「謎」があって、つまり、なんでこんなことをするのかな、と思わずにいられない、外からは「ミス」にしか思えない振る舞いというのがあって、そういったものを、さらに、なぜか戦後の…

「終戦のエンペラー」について

みなさんは、映画館で「終戦のエンペラー」を見ましたでしょうか? というか、おそらく、この映画の監督は、宮城事件について、ある程度、知っているんじゃないでしょうか? というのは、木戸幸一が現れる場面の記述が、どうも、変だからです。主人公のフェ…

木下鉄矢『朱子学』

そもそも、なぜ「朱子学」は、これほどの影響力を持ったのか? この問いに、正面から、答えようとした人は、例えば、日本において、どれだけいたのであろうか? 私が不思議でならないのは、例えば、「教育」という言葉がある。おそらく、大人は子どもに、毎…

マット・リドレー『繁栄』

長々と書かれているこの本は、一体、何が言いたいのか? あえて楽観主義者でいようではないか。 これが、この本の最後の言葉である。つまり、著者は世間に並いる、レスター・ブラウンなどの「悲観論者」たちに対して、自分は、その逆ばり、むしろ、人類の未…

アリエッティの矜持

おととい、「コクリコ坂から」と「借りぐらしのアリエッティ」を、レンタルで、この順番で見たのだが、私が圧倒されたのは、後者であった。 むしろ、私が思ったのは、なぜこの二つは、こんなにも違うのだろうか、ということだった。 それは、この二つの「共…

伊藤真『憲法問題』

自民党改憲草案を最後まで読んだ人というのは、どれくらいいるのであろうか? まさに、 真夏のホラー である。背筋が寒くなる。 ああ、権力者たちに、こういった憲法に変えさせられないために、今の憲法で「権力者たちを縛っている」んだな ということが、よ…

この社会は「どのようにできているのか」

私たちが考えるべきは、この社会が「どのようにできているのか」ということになるであろう。 それは、人々が、どういった「行動原理」によって生きているのか、ということになります。なぜか。この社会が「どのようにできているのか」に「合わせて」生きてい…

松元崇『持たざる国への道』

私は、哲学について考えるとき、経済の問題というのは非常に重要なのではないか、と思っている。つまり、歴史も文学も哲学も、経済的な感覚なくして、なにかを語れると思うことが、不毛かつ不遜なのではないか、と思うわけである。 ここで、経済の問題とはな…