2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

仲正昌樹『今こそルソーを読み直す』

ルソーの社会契約論は、それ以前の「不平等論」をふまえた形になっていることが注意がいる。 恒久的な戦争状態では、ホッブズの言うように生命の危険は共通であるが、財産の危険はそうではない。富者ほど失うものが大きい。そこで富者っちは、あたかもみんな…

信用できない

ある官僚が匿名ブログで、「復興は不要だと正論を言わない政治家は死ねばいい」と書いていたことがばれた記事が、話題になっている。 「復興は不要だ」との書き込みは、2011年9月のもの。被災地が「もともと過疎地」だというのが根拠だ。今年8月には、…

住友陽文『皇国日本のデモクラシー』

私たちは、歴史を中学高校と習い、明治における、近代化において、最初は、「制限選挙」であったことを知っている。女性は選挙権がなかったとか、資産家しか選挙権がなかったとか。 しかし、よく考えてみると、なぜ「普通選挙」になったのであろうか。その理…

天皇制と私たち

ここのところ、木村政彦の評伝の本を読んでいろいろ書いているのだが、彼は戦前の産まれでありながら、ほとんど天皇制にやられていない。日本人でありながら、ほとんど、天皇制に「従って」生きていた、という姿が見えない。 これってなんなのだろう、と思う…

貧困と思想

いつの頃からは、人々は貧困、つまり、自らが「飢えて死ぬ」ということを考えなくなった。それは、日本の高度経済成長の「成果」なのか、私には分からない。しかし、そもそも貧困について考えない思想など、いらないのではないかとさえ、言いたくなる。 人類…

信仰と近代法

例えば、キリスト教における「信仰」と、近代法の、最も決定的な違いはどこにあると言えるだろうか。 棄教を迫られたとき、神を否定することは重罪である。表向き棄教するだけでも、心から棄教する者と同罪である。迫害の短い苦しみの中で、快く殉教を受け入…

山本博文『殉教』

お金持ちの人にアンケートをとったら、子供の頃に親から「いい人」になれと教育を受けた、と答えた人が多かったというネタから、 お金持ちになるために「いい人」になろう(倫理的な動機からなる「いい人」、ではなく) と主張しているブログがあった。つま…

山本博文『切腹』

江戸時代、非常に多くの武士が切腹をした。そう言うと、その「あまりの過激さ」に当時の日本人は、毎日、なんか変なものを食べていて、頭が狂っていたのではないか、とさえ言いたくなる。それくらい、あまりに当たり前のように武士は、切腹という自死をして…

加藤徹『怪力乱心』

儒教のおける教典は「経書」と呼ばれている。地球儀で言えば、「経度」だ。じゃあ、「緯度」は何か。それが、「緯書」だ。しかし、緯書と言われても、あまり、聞き覚えのない言葉であろう。 つまり、経書は、ある決定されたテキストであるが、緯書は、それを…

スポーツでは「ない」

そもそもなぜ、「今ごろ」木村政彦なのか、というのは多くの人が思うことなのではないだろうか。 アメリカのデンバーで第一回UFCが開かれ、優勝したホイス・グレイシーが「われわれグレイシー一族にとってマサヒコ・キムラは特別な存在です」と発言し、こ…

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

戦後すぐの日本のスーパースターであった力道山が、38歳の若さで、若いヤクザとのごたごたで刺されて、死んだ後、昭和が終わり平成となり、力道山が多くの人の記憶から忘れられてきた今において、それは当然のこととも思えるが、しかしなぜそうなのかと考…

なぜ福島第一は事故になったのか?

たとえば、福島第一原発も、柏崎刈羽原発も、両方とも、東京電力のものであり、「すべて」関東地方に送電されていて、福島県も新潟県も、東京電力の電気を まったく使っていない ということは、あまりにも「明らか」なことであるのに、なぜか東京人は、その…

アイと「もこっち」

ラノベ「神さまのいない日曜日」は、現在、第8巻まで進み、そのあとがきによれば、次巻で最終回となると予告されている。 しかし、私はこの「あとがき」なる「慣習」が嫌いだ。それは、作者が作品世界を 自分の意図通り に「読ませよう」という「メタ」の言…

児玉龍彦『放射能は取り除ける』

一つ前で紹介した本には、一つ、いいポイントが書いてあると思ったところがある。 「(自然被曝以外に)生涯で通算100ミリシーベルトを被曝すると癌で死亡しるリスク(確率)が0.5パーセント上乗せされる」という「公式の考え」には、被曝した人の年齢…

田崎晴明『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』

私たちが、3・11以降、さまざまに聞かされていた「原子力」なるものが、具体的になんなのか、というのは、ある意味、高校の物理のおさらいでもあるわけだが、一つだけはっきりしていることは、 非常に大きな違和感 を、どうしても残す、ということである…

福島安全マッチョ

私は昔から、あのプロテインとベンチプレスで、筋肉隆々にして、日焼けサロンで黒々にした、ボディビルダーが見るだけで、気持ち悪くて、吐き気がする。私が彼らを気味悪がるのは、彼らの筋肉量が、常人より多いからではなく、あの 人工的に作った(つまり、…

佐々木「さん」の主張への反応

うーん。以下のトゲッターのまとめは、佐々木「さん」が何を言いたいのかを、ちゃんと理解した上で、コメントしないと、まともな議論が成立しなくならないだろうか。 コンビニの冷蔵庫に入っただけで人生を棒に振る社会と、何をやっても皆で隠蔽してしまう無…

井上勝生『明治日本の植民地支配』

私には、日本と韓国の関係を考えるときに、非常におかしいと思うことは、ようするに、日本の知識人が、この二つの国の歴史について 語らない ことなんじゃないのか、と思うようになった。 特にひどいのが、自称ポストモダン相対主義者が歴史を「不可知論」と…

菊池理夫『共通善の政治学』

例えば、アニメ「帰宅部活動記録」のなにがおもしろいかと考えるところから、そもそも「政治」とは何かを考え始めるというのも、いいんじゃないかと思うんですけどね。 第二話の一つ「女子力オーバードライブ」において、帰宅部の新入部員の一年の花梨(かり…