2014-01-01から1年間の記事一覧

工学的

東浩紀さんの書く文章は、正直私には、うまく「読めない」印象がどうしても強い。つまり、「おもしろくない」。それは、例えば、柄谷さんの書く文章と比べたとき、なにか 辞書 を読んでいるような印象と言えばいいのかもしれない。このことは東さんが柄谷さ…

坂口謙吾『自滅する人類』

掲題の著者は、人類は「亡びる」と言う。なぜか。それは、たんに事実として、人類が「増えすぎた」から、ということである。このことを考えるには、そもそも私たち人類であり、私たち自身を含むこの地球上の生物というのが「どういった」存在であるのかの認…

橋爪大三郎『ジャパン・クライシス』

それにしてもよく分からないのは、どうして、私にとっては「自明」に思えることを、こういった「学者」さんが、こうも簡単に議論をミスリードしてくるんだろうか、ということなのだ。 もちろん、掲題の社会学者が本の対談の中で質問相手となっている、小林慶…

自称「STAP細胞」というES細胞

今回の理研の調査委員会、つまり、第三者委員会による報告の会見の内容(《STAP細胞論文に関する調査結果》理研・調査委員会 記者会見 生中継 - 2014/12/26 10:00開始 - ニコニコ生放送)は、分子生物学の遺伝子調査を駆使した形でのエビデンスの解析による…

クリストファー・ボーム『モラルの起源』

映画「悪の教典」を映画館に見に行ったとき、特に若い、高校生くらいの男女を問わず、非常に多くが見に来ていたことに私は、意外な印象を受けたことを覚えている。もちろん、それなりの「噂」が学校内にあってそういうことになったのであろうが、そのことは…

古谷経衡『欲望のすすめ』

掲題の著者は、自らの「欲望」の分かりやすい「例」と、自らにとっての「自動車」の 位置付け においてそれを説明することによって、この問題を敷衍していこうとする。 それ以降、私のマイカー車種は数々移り変わったが、一度もクルマを手放したことはない。…

日本政治へのいらだち

今週の videonews.com では、白井聡さんをゲストにして、今回の衆議院選挙についての総括を行っている。しかし、その内容は、むしろ、今回の結果がどうのこうのではなく、今回の選挙が始まる前からの、安倍政権が行ってきて、そして、選挙に勝利したら行うと…

ホッブス・モデルと方法的懐疑

前回の話題を、もう少し深めて考えたいのだが、ホッブス・モデルの近代国家(ネーション=ステート)において、大事なポイントは、この「自然権の譲渡」「セキュリティの保障」の関係が、結果として 成立 し続けることにある。「だから」リバイアサンに自然…

金杭『帝国日本の閾』

明治の文明開化において、明治革命政権は、明治国家を建設するに際して、西欧において一般化していた「近代国家」の形態を踏襲する選択を行った。つまりは、民主主義であり、国会制度であり、憲法制定といった、もろもろの「意匠」である。 このことは、日本…

選挙と原発と利益相反

テレ朝の、古館さんの番組を見ていたら、小泉進次郎さんへのインタビューで、なんと、原発政策について、父親が原発再稼動反対していることについて古館さんが、進次郎さんに見識を伺っていたところで、音声不通で、スタジオの声が進次郎さんに届かなくなっ…

映画「インターステラー」のメタ・メッセージ

現在、上映している映画「インターステラー」を見てきたが、その印象は、人によって違うのかもしれない、とは思った。 この映画はどこか、ファンタジックなストーリーになっている。そういう意味では、ロマン主義的な「印象」を残す、さまざまな趣向がこらさ…

自民党問題

今回の選挙の特徴を一言で言うなら、安倍首相が 財務省とケンカをしている という体裁をとって行われているところにあるのではないか、と思っている。つまり、安倍首相は実際の、自民党の中か、財務省、経産省の中で、どのような位置付けになっているのかは…

ジョセフ・ヒース『啓蒙思想2.0』

例えば、17世紀、18世紀において考えられたような「啓蒙」の時代において、想定されたような「理性」による、理想社会の実現が、なぜ現在において、うまくいっていないのか? それは、カントの純粋理性批判が展望したような、理性による、人類の理想社会…

前島賢『セカイ系とは何か』

私事でなんだが、つい最近、桜庭一樹の小説の漫画化の『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んで、少し考えさせられた。もちろん、この原作については、けっこう以前に読んでこのブログでも、それなりに考察をさせてもらったのだが、私がここで言いたかった…

「低賃金労働者」革命の予感

日本人のほとんどは、低賃金労働者である。ということは、低賃金労働者向けの政策を全面に押し出している政党が、選挙で勝つのではないか? 私は、この素朴な疑問から考え始めた。つまり、まずもって、この考えは間違っているだろうか、と問うてみたわけであ…

小畑峰太郎『STAP細胞に群がった悪いヤツら』

ついこの間まで、巷は、STAP細胞の話でもちきりであった。果して、小保方さんは嘘を言っているのかどうか。果して、今の今に至るまで、その再現実験とやらが、おもわしい結果となったという話は出てこない。 しかし、この話がそんな「ウブ」な議論によっ…

他者の<不透過>論

私が3・11以降の原発の議論を聞いていて、特に、違和感を覚えたのは、ようするに、今だに一度たりとも、「製造物責任」といったような議論があらわれないことではないか、と思っている。 一体、原発を作ったのは誰なのか。人に迷惑をかけるものを作ってお…

市民宗教?

安倍政権のほとんどの閣僚が、日本会議に所属していることから、「日本会議クーデター」内閣と呼んでみたわけだが、私によく分からないのは、政教分離はどうなっているのか、ということであった。政教分離は、日本の憲法で「禁止」されているのであって、そ…

ジョージ・サイモン『他人を支配したがる人たち』

よく、認知的不協和という心理学の言葉があり、他方において、この言葉への批判もある。というのは、結局のところ何が認知的不協和なのかを厳密に分類する 立場 とはなんなのか、という問題にとらわれるからである。 しかし、こういった批判をする人が誤解を…

坂野潤治『<階級>の日本近代史』

日本の明治における、いわゆる「明治維新」と呼ばれる「革命」が、まあ、形式上において、「武士」という支配階級「自身」によって行われたことは、多くの人たちに、この日本の変革への「違和感」を与えている。というのは、支配階級がなぜ、自分たちの「支…

山内廣隆『ヘーゲルから考える私たちの居場所』

この前紹介した、小泉義之さんの『「負け組」の哲学』という本の特徴として、後半の議論において、 今の日本は、ある意味において「社会主義国」だ と言っているところにある。その意味は、いわゆる野口悠紀雄さんの「1940年体制論」から考察されていて…

リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』

多くの人は、そもそも、リチャード・ローティという人が、どういうことを言っていた人なのかを知らない。 例えば、掲題の本にしても、最初の方から、さかんにアラン・ブルームについての言及がある。私はこれがなんなのかが最初は分からなかった。しかし、考…

負け組?

以前、このブログでも紹介した小泉義之さんの『「負け組」の哲学』という本は、薄い本だが、その「動機」はよく分かるような内容であった。以前書いたときは、あまり深められなかった論点を、ここで再度考えてみたい。 下記は、この本の「まえがき」にある、…

牧野英二『カントを読む』

カントの三批判書をどのように考えればいいのか、といった問題は結局のところ今にまで続く問題として存在しているように思われる。そうした場合に、私たちの今の世界の「見方」は、ある時期から、ある「変化」があったのではないか、と問うことができるよう…

ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか』

マイケル・サンデルを始めとして、多くの哲学者が、近年、あらためてコミュニタリアニズムであったり、徳倫理といったものに言及を始めていることは、一つの哲学の転換点を示しているように思われる。 例えば、ルソーの社会契約にしても、ロールズの正義論に…

菊池誠『不完全性定理』

世の中には、人それぞれ、生きて行為していることの「動機」が違う。つまり、人それぞれ「事情」がある。そのことが、人それぞれの行動を、ある意味、決定しているとも言える。例えば、こんなふうに考えてみよう。子どもの頃の学力競争社会において「勝ち組…

R・ハーストハウス『徳倫理学について』

ある人の「徳」というものを考えることには、どういった意味があるのだろうか。 例えば、ある人がある行為をしたとする。その場合、その「行為」と、その人の「徳」について、なんらかの関係を考えることは可能であろうか。もちろん、常識的には、これが可能…

角忍『カント哲学と最高善』

一般にカントの道徳哲学は「義務論」として知られている。こうした場合、掲題の著者は、第二批判、つまり、実践理性批判の前と後の間に、「コペルニクス的転回」があったと考える(つまり、さまざまな混乱の原因は、以前におけるさまざまな主張を、以後にお…

國分功一郎『スピノザの方法』

掲題の本のタイトルにある「方法」という言葉は、どこか「不思議」な様相を帯びている。なぜか。 言うまでもなく、ここで言う「方法」とは、デカルトにおいてすでに問われていた命題で、つまり、真実に辿りつくための「方法」ということである。しかし、それ…

神野慧一郎『我々はなぜ道徳的か』

安倍首相が以前、従軍慰安婦問題の番組の改変をさせるために、NHKを脅したことについては、今では多くの人が覚えていないようであるが、しかし、今週の videonews.com で、あらためて、神保さんが、この問題をとりあげている。というのは、つい最近、安倍…