2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

デイヴィッド・フィンケル『帰還兵はなぜ自殺するのか』

WW1のとき、心理学者のフロイトは、塹壕戦を戦った兵士たちがある、心理学的な障害に悩まされている事態に注目するようになる。いわゆる、戦争神経症である。これが、今に繋がるPTSDの研究へと繋がっている。 ベトナム戦争において、多くのアメリカ帰…

伊勢崎賢治『本当の戦争の話をしよう』

私たち、この日本に住んでいる普通の人たちは、自らのさまざまな「紛争の解決」に暴力を使おうとは、普通は思わない。それは、つまりは、日本国家の法律がそれを禁止しているからで、暴力を使えば普通は逮捕されるからだ。 このことは、もっと別の言葉で言う…

マックス・ウェーバー『知識社会学のカテゴリー』

私たちは、毎日、朝起きて、夜寝る。すると、ある「決まった」行動をするようになり、それに伴う、ある「決まった」結果の感覚をもつようになる。このワンセットの「同じ」さを「指示」するのが言葉、ということになる。 この場合、そのことば の「リテラル…

明治憲法に比べゴミ屑同然の自民党憲法草案

明治維新によって、明治政府が始まったとき、日本には二種類の日本人がいた。今なにが起きているのかを分かっていた人と、まだ分かっていなかった人が。 こういった表現は奇妙に聞こえるかもしれない。しかし、ここで私が言いたいのは、そのときでさえすでに…

井上達夫『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』

そもそもの話、国家の本質とはなんなのだろう、といったようなことを考えることがある。 [佐々木毅]先生が言うには、政治学の基本概念はすべて古典・古代のギリシャ、ローマにある、と。ただ、二つだけが近代に出てきた。それが主権と人権だだから主権と人…

安倍首相vs日本の知識人たち

安倍首相の国会答弁が全国民の嘲笑の的になっているわけだが、彼らにとってはそれは大真面目なわけで、これで、審議時間さえクリアすれば、あとは、与党の多数で法律化してしまえば、 なんとでもなる というわけであろう。安倍首相は大真面目で、本気でこれ…

キャッキャウフフの「サッカー」盆踊り

ハリルジャパンは、W杯予選のマレーシア戦で、終始攻め続けながら、ゼロゼロの引き分けとなった。ハリル監督は、この結果をなにかの「奇跡」のように語っていたが、私たち日本人にむしろこの光景は、 いつもの見慣れた なにかのようにしか思えない。W杯で…

戦前の亡霊2

国会で自民党の推薦した憲法学者を含めて、3人の学者が今回の安保法制は「憲法違反」だと言ったわけであるが、そのこと以上に、菅官房長官が「安保法制が合憲だ」と言っている憲法学者は たくさん いる、と言ったのだ。そして、それに対して彼が後に挙げる…

別れと再会の倫理

アニメ「終わりのセラフ」において、主人公の優ちゃんと幼少時代を同じ孤児院で過ごしたミカは、他の孤児院の子どもたちと一緒に同じ「家族」として過していたが、ある日、そんな生活を終わりにするために、吸血鬼たちの世界から逃げ出し、外の人間の世界へ…

戦前の亡霊

戦後、ドイツ、イタリア、日本は、敗戦国として、国連における「敵国」として、国際社会に復帰することになった。しかし、ドイツ、イタリアに対して、日本は、まったく「違った」形でそれが行われることになった。 なにかと言えば、イタリアはムッソリーニ政…

アメリカ本社日本支部のサラリーマン政権

日本がアメリカの属国であるという場合に、問題はそれがどういう意味なのかにある。例えば今回の、安保法制にしても、集団的自衛権と言っているように、これは間違いなく、アメリカの戦争に対して、日本が 協力 するための法律であるのと同時に、日本が「侵…

ドミニク・ルソー「立憲主義と民主主義」

よくよく考えてみると、なぜ「憲法」がどの国家においても存在するのかは、なかなかよく分からないことのように思われる。もちろん、この場合に「法律」についてはまだいいのであろう。こういったものが必要だというのは、なんとなく分からないではない。し…

ボクノサイキョウノ新3要件

日本の憲法違反ゲームが、どういった構造になっているのかを確認しよう。 与党の過半数 --> 違憲法律の成立 --> (長い時間) --> 裁判で違憲判決 --> ? 日本は議会制民主主義なので、議会の過半数を与党が占めている限り、 どんな法律も成立する。 もちろ…

伊勢崎賢治『日本人は人を殺しに行くのか』

そもそも、安倍首相という人はどんなことを考えているのであろうか。このことは、現在の安保法制を考える上でも、非常に重要なポイントであることがわかる。 まず安倍内閣はどうしてそんなに集団的自衛権にこだわるのか? どうやら、彼の頭の中には「アメリ…

石井洋二郎『フランス的思考』

ここのところ、厚労省の年金機構の個人情報流出問題がマスコミでかまびすしい。しかし、この問題を聞けば聞くほど、そもそも人間とコンピュータは共存可能なのか、といったことについて考えさせられる。 もちろん、こういったセキュリティの専門家に聞けば、…

アニメの終わり

エヴァの監督の庵野さんが、アニメの終わりについて言及していたが、私は彼とは違った意味で、アニメは終わるのではないかと思い始めている。 なにかの「終焉」と言うとき、それは、その対象が存在しなくなることを意味しない。そうではなく、その存在が、あ…

河野裕『その白さえ嘘だとしても』

今回も、前作の『いなくなれ、群青』と、基本的な構造は変わっていない。なぜ彼らは階段島にいるのか。それは、実際には彼らはここにいないから。つまり、彼らは普通に都会の街の中で、 大人 になったから。つまり、彼らは、ある彼らが「抱えていた」幼児性…