2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

小倉紀蔵『新しい論語』

カントの実践理性批判は、読んでみると奇妙な論理になっていて、つまり、結果として「自由」というのは、例えば、この地球上の人間「全員」にとっての自由でなければならないのだから、そこから「逆算」して、自由がどういうものでなければならないかは決ま…

田中辰雄・山口真一『ネット炎上の研究』

そもそも、「ストーカー」という言葉は、いつごろから使われるようになったのだろうか。なんらかの固定的な関係を迫り、相手につきまとう行為は、非常に「危険」であるだけでなく、泣き寝入りを招きやすい。 しかし、だからといって「おかみ=国家」に全ての…

島村英紀『人はなぜ御用学者になるのか』

原発問題というのは、非常に簡単な「からくり」になっていて、つまりは、原発とは 地震問題 だということなのだ。つまり、なぜ日本の原発が50基近くも存在しているのかというと、その日本の土地に、原発を建てたから、という身も蓋もない話なのだが、問題…

柄谷行人『憲法の無意識』

うーん。 掲題の本で、柄谷さんは日本が憲法第9条を捨てなかったこと、捨てずに今にまで至っていることと、そう簡単に、日本は憲法第9条を捨てないんじゃないのか、と言っている。 ただ、私は憲法九条が日本から消えてしまうことは決してないと思います。…

猪瀬直樹 東浩紀『正義について考えよう』

よく考えてみると、つい最近まで、東京は石原慎太郎という、まるで、アメリカのトランプのような奴が、4期も務めていたわけで、その後も、石原の下で副知事をやっていた、猪瀬直樹による「傀儡政権」だったわけで、なんとまあ、恐しい時代だったんだな、と…

小林節「嘘だらけ・櫻井よしこの憲法論」

日本の、いわゆる、保守系雑誌を中心として、不思議な放言を放ち続けている連中が気持ち悪いのは、その主張が、たんに「間違っている」だけでなく、その間違いをなぜか、いつまでも訂正しないどころか、もう死ぬまで、その間違いで 押し通す つもりで、なぜ…

中見利男『吉田松陰と松下村塾の秘密と謎』

戦前の歴史に、2・26事件というものがある。総理大臣や、その他の各大臣が、軍の青年将校に殺された事件であるが、この衝撃的な事実は、驚くべき話だというのもあるし、こんな恐しい事件がどうして、この日本で起きたのかと思われるかもしれない。 しかし…

菅直人の方がずっとまし

うーん。それにしても、今、安倍政権で起きていることは、一体なんなのだろうか? まったく、意味が分からない。というか、安倍首相の頭の中が、まったく分からない。 どう考えても、今起きている、熊本地震は、東日本大震災に匹敵する、非常に大きな被害を…

上村雄彦『世界の富を再分配する30の方法』

例えば、日本の安倍政権の政治が、前回は「保守ではない」という主張について検討した。しかし、だとするなら、安倍政権は一体なにをしているのか、ということになるが、不思議なことに、その本の著者はどうもそのことに興味がないようである。 ボクノサイキ…

石川忠司『吉田松陰 天皇の原像』

あなたが日本の田舎のどこかで産まれて、幼少の頃をその田舎で過ごし、大人になったとしよう。その間には、近所のいろいろな人たちが、あなたを助けてくれたであろう。そういった恩義の諸関係の中には、当然、父親や母親との関係も存在するし、恩師への関係…

ロジック

日本の文芸批評系の人たちの文章を見ていて思うのは、なにか、ある話をしている途中で、奇妙な 抽象用語 がとびだした時点で、彼らが、その問題を論理的に突き詰めることを止める作法をもっていることだ、と思っている。 その理由はなんなのかを、ここで私が…

適菜収『ミシマの警告』

それにしても、安倍首相っていうのは、本当に、この日本を滅ぼす結果を招きかねない「バカ」なんじゃないのかと思わせる事態が、ここ何日か続いているわけであるが。 首相は米ウォールストリート・ジャーナルに対し「外為市場で恣意的な介入は控えるべきだ」…

長月達平『Re:ゼロから始める異世界生活』

私たちは、儒教的な倫理社会や、任侠の人倫的正義は立派だと思うし、映画などを見て「あこがれる」側面があることを否定はしないが、一般に私たちはそこまで、性根が座っていない。つまり、それはタテマエであって「ホンネ」は、 人間は簡単に死ぬ のだから…

観念「以前」と存在論

有名なプラトンのイデア論に、私たちは、あらゆることを最初から知っている、というものがある。つまり、どんな「発見」も、すべては「想起」なのだ、と。私たちは、目の前の出来事を、「発見」するのではない。 思い出す のだ、というわけである。こんな馬…

冨田恭彦『観念説の謎解き』

確かに、私たちは、「認識マシーン」であり、常に外界の「変化」を知覚しているわけで、そういう意味においては、私たちは外界を認識している。 しかし、この場合、その外界なるものが、「実際にはなんなのか」といったことは、よく分からない問いではある。…

雁屋哲「高まる福沢再学習の必要性」

私たちは共産主義とか、共産主義革命とか聞くと、ソ連や中国の紅衛兵などのアナーキーな暴力の暴走をイメージしがちであるが、そもそも共産主義というのを、そういった大きな何かと考えることは、おそらく、正しくない。 福沢諭吉が晩年、国権主義的になって…

萱野稔人『暴力と富と資本主義』

近代における、国民国家、ネーション・ステートと呼ばれる何かが、結局のところなんなのかは、私なんかから言わせてもらうと、正直、それ単体を何かだと言うことに違和感をどうしても覚えてしまう。 なぜなら、国家は、周辺国から「国家扱い」をされることに…

杉田聡『天は人の下に人を造る』

アニメ「ローリングガールズ」の第一話の最初で、このアニメの世界観が説明される。そこにおいて、東京大決戦の後、道州制から旧都道府県に分割されただけでなく独立し、独自の発展をしていったとされているわけであるが、その説明において、いわゆる 富裕層…

木村草太『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』

今回の安保法制の問題は、なんといいますか、多くの人の心の導火線に火をつけてしまったようで、さまざまなところで、ヒートアップをなされているようなのだが、どうもその行動の、私たちがむしろ答えてほしい問題とのズレっぷりが、なんなのかな、というや…

片山社秀「水戸学の世界地図9」

例えば、あなたは日本の憲法に「日本の文化」という言葉を書くべきだと思うだろうか? また、もしも「日本の文化」という言葉を日本の憲法に書いたとしたら、その 意味 はなんだと思うだろうか? そんなことは自明じゃないか、と言うかもしれない。そして、…

アニメ「僕だけがいない街」について

漫画の「僕だけがいない街」は、コミックで途中まで読んで、それ以降を読むのを止めてしまっていたが、このたび、アニメ版の方を最後まで見たが、私が一つだけ、どうしても意味が分からない個所がある。 それは、主人公の藤沼悟(ふじぬまさとる)が、一度目…