2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

私たちは植野直花を理解できるのか?

(映画「聲の形」について、今まで書いた内容で、一部訂正しておこうかと思うことがあって、石田は小学校のときは「いじめ」られていた。中学校は分からないけど、高校は少なくとも、小学校の頃の「いじめっ子」である彼を知っている人が、クラスの中でさえ…

あなたは石田将也を許せるか?

映画「聲の形」を、原作を読んだ上で、もう一度見てみた印象は、正直に言うと、かなり違った。 (それにしても、とても多くの中学生、高校生の若い人たちが映画館で見ていて、私はこういう深刻な内容の作品を、若い人たちが見るんだなと思って、ずいぶん感心…

宇野重規『民主主義のつくり方』

東浩紀さんの『一般意志2.0』の文庫版の末尾に、掲題の著者との対談が掲載されているが、その最初で、掲題の本について東さん自身が言及されている。 というのは、掲題の本の最初は、東さんのその本についての「批評」から始まっているからでもある。という…

西宮硝子の内世界

おそらく、アニメ「聲の形」がここまで分かりにくいのは、聴覚障害者の西宮硝子(にしみやしょうこ)が なにを考えているのか分からない から、ということに尽きているんじゃないのか、と思っている。 つまり、彼女が何を考えているのかを、誰一人、理解して…

アニメ「聲の形」における規範的存在

アニメ「聲の形」の原作となった、全7巻の漫画版は、一つだけはっきりとしていることがある。それは、完璧な人間が存在しない、ということである。 全員がどこかしらの「欠点」をもっている。誰も「超越的」な視点から語っていないのだ。 みんな、どこかし…

アニメ「聲の形」における「自殺」

うーん。 アニメ「聲の形」は連載バージョンの原作における「可能性の中心」を考察したということでは、なかなか難しい内容になっていることは間違いない。 誰かもネットで書いていたが、早い話が、石田が硝子に会いに行くというのは、ある意味での「ストー…

『聲の形・公式ファンブック』

アニメ「聲の形」を映画館で見た印象は、私はこの段階で、原作は第1巻をさらっと見ていたくらいだったこともあり、大変におもしろく見させてもらった。京アニの作品であり、よくできていたと思う。映画を見た後にすぐに、原作の漫画を見させてもらったが、…

広瀬巌『平等主義の哲学』

フランシス・フクヤマは、ヘーゲルのアナロジーとして、資本主義国の社会主義国に対する「勝利」をもって、資本主義によって 歴史の終わり を語ったわけだが、どうだろう? 資本主義は社会主義になる。事実、そうなっているのではないか? 日本の金融緩和政…

ちゃんとしたロジック

自民党政治家の石破さんが、映画「シン・ゴジラ」において、ゴジラに対して、自衛隊を防衛出動させたのはおかしい、と言っていたわけだが、まったく、もっともだと思うわけである。石破さんの意図は、「災害派遣」でいいのだ、と。というのは、たとえ「災害…

橋下努「リバタリアン・パターナリズム批判(下)」

さて。ここで私たちは究極的な、「パターナリズム」とはなんだろう、と考えてみよう。そもそも、なぜ「パターナリズム」は批判されるのか? それは「あなたのためだから」が、 嘘 だから、であろう。もう少し厳密に言うなら、「あなたのためだから」と判断し…

嘉戸一将『北一輝----国家と進化』

この日本は、明治の憲法制定によって作られた、と言っていいだろう。ところが、この日本に住んでいる多くの人は、それが「どうなっているのか」「どうしてこうなっているのか」に疑問をもたない。 このことは、よく考えてみると、不思議な話である。 多くの…

映画版「四月は君の嘘」について

漫画「四月は君の嘘」は、テレビアニメ版に続いて、実写映画版となったわけだが、映画版はどこか「ダイジェスト」版ということになるだろうか。 個人的には、まあ、よかったんじゃないだろうか。というのも、漫画版もアニメ版も、結局、ちゃんと見てなかった…

なぜ二重国籍ではダメなのか?

今回の蓮舫さんの問題は、そもそも、最初は彼女が「二重国籍」なのかどうかが問題となっていた。ところが、国家官僚たちが彼女を法的には「二重国籍」と考えていないという根拠が示された途端 つまり、蓮舫氏が85年に日本国籍を取得していたとすると、そのと…

なぜ「みさき」は再び飛んだのか?

アニメ「蒼の彼方のフォーリズム」について、公式設定資料集という本が売っているが、そこで、アニメ版の監督のインタビューがのっている。いまさら言うまでもないが、この作品は原作として、同名のエロゲーが「原作」と銘打っているわけで、どうしても、原…

蓮舫さんが問題?

さて。蓮舫議員の民進党党首選立候補に伴い、彼女が「総理大臣を目指す」と宣言したことに伴ってわきあがってきた、「二重国籍?」問題なるものについての、 ネトウヨ(まとめサイト) アゴラ 産経新聞 による、洪水のような罵詈雑言は、彼女が説明責任を果…

日本人とは「誰」だ?

アニメ「プラネタリアン」は、とてもよくできている。あるデパートは、プラネタリウムを催し会場で行うことで、客引きをしていたわけだが、その添乗員として、ロボット「ほしのゆめみ」が採用される。ところが、である。人間は今まさに滅びようとしていた。…

皇室典範2.0

私は憲法改正に反対なのではなく、憲法改正を言っている連中が「皇室典範」について「言わない」ことの欺瞞が嫌なのだ。いっちょまえに、「憲法改正案」なるものを作り、 日本国憲法2.0 などと訴えた連中はなぜか、 皇室典範2.0 を作らない。そのとき思った…

日本政治の何が論点なのか?

この前の都知事選においても、築地市場の豊洲への移転は、一つの争点であった。しかし、昔から、この豊洲移転は無理筋ではないか、ということは言われていた。それは、大手スーパーや外資が、こういった卸売市場の存在をなくしたい、という意向が強くあるか…

アジア・サッカー

アジアというものの定義をウィキペディアで見ると、ユーラシア大陸で、「ヨーロッパでない場所」となっていて、やれやれ感がハンパないわけだがw つまりは、ヨーロッパという概念は意味がある概念だが、「アジア」には、なんの意味もない。なんの文化的な意…

アニメ「君の名は」のエンディングについて

アニメ「君の名は」について、もう一度考えてみたい。 まず、この作品の「メッセージ」はなんだろう? 何が言いたいのだろうか。まずそれを「隕石」の墜落で、村が壊滅し、多くの村民が亡くなる「悲劇」にあると考えてみよう。作品は、その問題が瀧と三葉の…

プラネタリアンについてのメモ

アニメ「planetarian〜星の人〜」を、映画館で見てきたのだが、作品自体はよくできていたし、あまり言いたいこともないのだが、一点、よく分からなかった「設定」がある。 それは、ほしのゆめみの「メモリーカード」についてである。屑屋がもっていった「メ…

井手英策・古市将人・宮崎雅人『分断社会を終わらせる』

結局、民進党の党首選挙がまったくもりあがらないのは、彼らがまったく現状を打破できないことが、彼らの姿勢から明らかであるからであろう。それは、一言で言えば、「連合」である。つまり、原発政策だ、ということになる。労働組合とは、大企業がもってい…

アニメ「君の名は」にみられる<処女>幻想

アニメ「君の名は」を見たときに思った、もう一つの、私を不快な「吐き気」をもよおさせたものが、主人公の瀧が東京という都会の高校生であったのに対して、ヒロインの三葉が田舎の高校生だったことであろう。ようするに、この作品は典型的な 田舎の女 ... …

ナショナル・アイデンティティの限界

昨日のサッカーW杯最終予選の日本代表の試合は、私にとっては異様な印象を与えた。それは、日本代表の海外組が二日前に合流して、ぶっつけ本番だったのに対して、UAEはスペインで一ヶ月の合宿を行っていて、海外組がいなかった、といった素朴な違和感に…

井出英策『18歳からの格差論』

あのさ。この前のNHKの「貧困女子高生」問題だけどさ。NHKのニュースの番組に出演した女子高生が高価なイラスト用のペンをもっていたとかさ。それで、NHKの捏造だとかなんとか。 NHK貧困報道”炎上” 改めて考える貧困と格差(湯浅誠) - 個人 - Yahoo!…