2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

進化論と「叡知界」

生物の複雑性を説明するロジックとして、「進化論」は今では誰もが認める学説になったわけだが、これがどのように生物の複雑さを説明しているのかを考えることは、多くの示唆に富んでいる。 カントの純粋理性批判をもちだすまでもなく、この自然界は「物理法…

日馬富士と「観光客の哲学」

今日のニュースでは、大相撲のモンゴル出身の横綱である日馬富士が自ら引退を申し出たということで、もちきりになっている。昼間には、その記者会見を開いたらしい。 ちまたでは、さまざまな噂がとびかっている。元横綱の貴ノ花親方が、モンゴル出身力士たち…

すべての現実は「政治」である:はじめに

私にはどうも昔から、繰り返し繰り返し、反復して現れる「ある言説」に対する いらだち がどうしても、耐えられない印象を受けてきた。それは、なにか 本質的 な問題を語っているかのような表向きで現れるわけだが、本当にそうなのか、が疑わしい。しかし、…

すべての現実は「政治」である:第1章「唯物論」

少し前にこのブログでも紹介したが、『カント入門講義』という、ドイツの方による一般向けに純粋理性批判の解説をしている本があるのだが、この最終章に、他のカントの本との関連の解説と共に、このカント哲学に対する 批判 が書かれている。これを読むと、…

すべての現実は「政治」である:第2章「ヘーゲルのカント批判」

さて。もう一方のカントへの批判なのだが、こちらはよりカントの主張への「不満」を表しているわけで、そこで何を批判者たちがストレスに思っているのかを、よく見極める必要があるが、それがよりにもよって、非常に 似ている わけである! カント自身は、原…

すべての現実は「政治」である:第3章「旅」

今期放送されている、テレビアニメ「キノの旅」の第6話は、このラノベのシリーズの一つのシリーズものである「フォト」という少女を主人公とした物語の最初にあたる。 ある行商人の集団の中で「奴隷」として働かされていた少女「フォト」は、彼らから毎日、…

すべての現実は「政治」である:第4章「エリート」

さて。前の第3章でのフォトの物語にはもう一つの興味深い視点がある。この行商人たちが毒草の入った食卓をかこんで、おいしそうに食事をしている最中に、この行商人の頭領の息子は父親にある提案を行う。 「お父様。お話があります」 食べていた頭領が、そ…

すべての現実は「政治」である:第5章「エロマンガ」

さて。東浩紀先生の「観光客の哲学」は、最初の章で突然、「二次創作」というタイトルで始まる。そして、これについては、前の第3章で引用したように、なぜか観光と二次創作の相似性を、「ふまじめ」「無責任さ」に見出そうとしている。 これは、どういう意…

すべての現実は「政治」である:第6章「政治」

さて。東浩紀先生の「観光客の哲学」には、次のような言葉がのっている。 ルソーは人間が嫌いだった。社会も嫌いだった。 ゲンロン0 観光客の哲学 しかし、そうだろうか? ルソーが「嫌い」だったのは、人間でも社会でもない。 政治 なわけであろう。これを…

すべての現実は「政治」である:おわりに

現代日本の法律において、結婚した男女は一緒の名字にそろえなければならないとなっているわけであるが、現代においても、九割以上は、男性の名字にそろえるのだという。おそらく、法律論議においては、そのどちらを選択するのかについては、 自由 なのだか…

浅野拓磨のサッカー

浅野拓磨については今さら言うまでもない、サッカー日本代表の選手であるが、DAZNでの「シュトゥットガルトVSハノーファー」の試合を見ていて、彼が久しぶりにワントップでプレーをしているのを見て、少し書いておこうかと思った。 この選手ほど、おそらく、…

カント哲学に言及することに意味はあるのか?

今さら語ることの意味もよく分からないことだが、伊藤計劃の遺作となった小説「ハーモニー」における主題は 意識 だったわけだが、結局のところこれが「何なのか?」といった命題について改めて問うことには、なんとも言えない苦々しい感覚に襲われる。とい…

VARの奇妙さ

昨日のサッカー日本代表とブラジルの練習試合は、その試合内容がどうのこうのよりも、 VAR なる、ビデオ判定システムがなぜ、今回、ここで導入されたのかへの違和感が強く感じさられた。 また、日本代表戦で初のVAR制度が導入された理由について、田嶋会長は…

「自由意志」は存在するか?

私たちはよく、「自由は存在するのか?」という問題を考える。つまり、「意志」は本当に自由意志なのか、というわけである。私は確かに今、なにかを「選択」したのであって、その選択にもとづいて行動したために、なんらかの「結果」が発生したわけで、だか…

「観光客の哲学」とセカイ系

つい最近、マーク・リラという人の、『シュラクサイの誘惑』という本を読んだのだが、これが非常に興味深い内容だった。それは、例えば、以前ここで紹介した、リチャード・ウォーリンの『ハイデガーの子どもたち』のようなジャーナリスティックな観点で、ハ…

民主主義のパラドックス

民主主義には、一つのパラドックスがある。それは、奴隷国家は民主主義国家の「利益」を享受できる、ということである。 今、アメリカは、トランプ大統領のロシアとの関係で、大騒ぎである。まず、大統領選挙である。ロシアは、この選挙において、どうやって…

南京大虐殺の今日的問題

今期のアニメ「クジラの子らは砂上に歌う」をここまで見てきて、衝撃を受けているわけだが、それは、このアニメが構造として、 南京大虐殺 の形式的な再現となっていることに気付いたことだ。というのは、正直言って、原作の1、2巻を読んでいても、いまい…