2017-12-17から1日間の記事一覧

藤本忠『時間の思想史』

カントの純粋理性批判が、空間・時間の、ニュートン力学的なベースの上に構築されたものと解釈されることには、一定の正当性があると言わざるをえないわけだが、だとするなら、特殊相対性理論や量子力学が一定の正当性を獲得したこの現代において、こういっ…

城戸淳『理性の深淵』

結局のところ、カントの何が新しかったのだろう、と問いなおしてみると、なかなか難しくて、というのはカントの議論のなにが「成功」しているのか、という問いそのものが難しかったりする、という状況もあるわけで、まあ、なんと言ったらいいのかな、といっ…

千葉清史「「物自体は存在するか」という伝統的な問題の解決によせて」

カントが物自体ということを言ったことについて、同時代からさまざまに批判があって今に至っているわけだが、アリソンの『カントの自由論』というのが翻訳で読んでいて、その物自体そのものの「解釈」が幾つかあるというところから始まっている、ということ…

八木雄二『カントが中世から学んだ直観認識』

カントの純粋理性批判は、まあ、いろいろと書いてあるのだが、その 中心 は最初にある、空間・時間の、アプリオリな純粋直観形式の議論と、第一アンチノミーにおける、空間・時間の無限性の「矛盾」の議論にあると思われる。 しかし、このことはよく考えてみ…