2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

功利主義のパラドックス

そもそも、功利主義は「道徳」とは関係ない。なぜなら、功利主義は「幸福の最大化」だけが目的だと言っているのだから。例えば、こんなふうに考えてみればいい。ある人は産まれてから今まで、ただただ、人を残虐に扱うことだけが 楽しい と思って生きてきた…

進化論的暴露論法についての「まとめ」

私は以前は、功利主義の問題を考えていたのだが、どうもそうじゃないんじゃないのか、と思い始めている。つまり、功利主義ではなく 進化論的暴露論法 こそが真の問題なんじゃないのか、と。つまり、いわゆる功利主義者が問題にしているのは、功利主義ではな…

無敵の進化論的暴露論法

前回紹介した、進化論的暴露論法においては、直感的なもの、つまり、感情的なものは、進化論的に「進化」してきた、いわゆる「脊髄反射」みたいなものなのだから、これに基いて人間が行動しているのは、理性的でない、と判断される。じゃあ、どうすればいい…

サッカーの哲学

サッカー日本代表の、オーストラリアとのワールドカップを賭けた戦いが迫っているが、現状の日本代表に、それほどの「強さ」が見込めない状況が続いている状況では、少なくとも圧倒的な日本の強さが感じられるようにはならないことが予測されるだけに、あま…

太田紘史ほか『モラル・サイコロジー 心と行動から探る倫理学』

人間の利他行動がなぜ存在するのか、というのは、進化論的にはうまく説明できない現象とされている。なぜなら、普通に考えるなら、自らの遺伝子を残す戦略とは「利己的」であることと考えられるから。だとするなら、この人間の「利他行動」は、人間の高度な…

松果体主義者

現代の哲学者は、多くはピーター・シンガーに「共感」する人たちというくらいの意味しかなくなっており、つまりは「功利主義者」ということのようである。そして、ピーター・シンガーに代表される「功利主義者」たちは、すべからく、カントを罵倒している。…

その主張はどれくらい「強い」のか?

凡庸な哲学者は「真実」を語るが、アマチュアリズムはその命題が どれくらい強いか? にしか興味がない。つまり、「仮定」にしか興味がない。ここは本質的である。というか、こういった態度は、いわば「内容」を巡る「権威主義」に従わない、ということにな…

ZFCの圏論での「代替」には意味があるのか?

たまには、数学の「歴史」の話をしようかと思う。 ご存知のように、数学の「基礎」はカントールによって危機に陥れられた。つまり、(素朴)集合論によって。あらゆる集合を含む集合は、自分自身を含むだろうか? この答えは含むと言っても矛盾だし、含まな…

ネトウヨとは何者か?

東浩紀先生が、つい最近まで、ツイッターのプロフィール欄に「ネトウヨ」と書くことで、自らを「ネトウヨ」と自称していたわけだけど、その後「ネトウヨでない」とかに変えたといっても、普通、一度ネトウヨだと自分で認めた人は、本人が「自分はネトウヨで…

浅田彰・東浩紀・千葉雅也「ポスト・トゥルース時代の現代思想」

浅田彰の還暦を祝うということで、東浩紀先生と千葉雅也さんとが対談を行うということであるのだが、そこでの話題はなぜか「ポスト・トゥルース」だというわけである。 しかし、この対談を読んだ人には、むしろ ポスト・トゥルース=ポストモダン といった認…

柄谷行人「Dの研究 [第6回] 社会主義の科学 その二」

私がときどき思うのは、この世界を「変えたい」として、なんらかの社会システムの変更を提案する人というのは、逆に、「なぜ」そうすべきだと言っているのかが分からなくなることがあるわけである。 なぜ、そう変えるべきなのか? なにが問題だと思っている…

地獄少女の本質

今期のアニメで、「地獄少女宵伽」の第一話が放送されている。アニメ「地獄少女」は、例えば「少女革命ウテナ」のように、定型的なストーリー展開による、各話完結の形で話は進む。 その内容は、wikipediaに書いてあるように、必殺仕事人シリーズのオマージ…

蒼山サグ『天使の3P!』

日本の十代以下の子どもたちの死因の第一位が「自殺」であることが知られるようになっているにも関わらず、そのことをまったく話題にもしない、この日本社会の閉塞した感覚をどのように表現したらいいのか、私にはよく分からない。 今週の videonews.com で…

篠田英朗『ほんとうの憲法』

この前の、安倍政権における、安保法制の改正問題において、少し違和感を覚えた議論があった。それは、憲法9条の書いてあることを、子どもの目線で読めば、どう考えても「自衛隊」は違憲だ、という主張であった。 確かに、「陸海空の戦力をもたない」と書い…

東大はいらない

ここ何十年かの間に言われてきた、日本の衰退の最も大きな問題は、東大が「必要ない」ということを誰も言わないことなんじゃないのか、と思い始めている。それは、言葉を変えれば、日本に「エリート」は必要ない、ということなのだ。 早い話が、エリートとは…

民進党の惨めな姿

東京都議会議員選挙において、自民が大敗したことで、いわゆる自民党問題を追及してきた側も一息ついた形になってこともあり、少し気が抜けた、ということなのであろう。いずれにしろ、自民党はなんらかの形で変わらなければならないのだろうことは、はっき…

加計王国

今回、自民党が都議会議員選挙で大敗したことは、いわゆるアベノミクスを自民党が推進していて、そのアベノミクスに野党が「反対」している限り、自民党が負けることはない、と言っていた人たちの「期待」が裏切られたわけだが、さて。なんだったんですかね…

都議会議員選挙の結果

東京都議会議員選挙の結果は、まあ、都民ファーストの会の圧勝、かつ、自民党の敗北ということなのであろう。 しかし、私にとっての違和感は、videonews.com がここのところずっと行ってきた 何をやっても安倍政権の支持率が下がらない理由(ゲスト: 西田亮…

ダークツーリズムについての想像力

東浩紀先生が福島第一原発観光地化計画を主張したとき、以下のような「奇妙」なことを言っている。 原発事故について正確な知識をもち、偏見もないひとばかりが被災地を訪れたとしても、状況はなにも改善されません。怖いもの見たさで来たはずの「軽薄」な観…