2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

リバタリアンと社会契約

以下で、ジョセフ・ヒースのエッセイが翻訳されていたのだが、その内容は、なかなか興味深い。 経済学を背景に持つたぐいのリバタリアンは、この観点では最悪の傾向を示している。経済学者が方法論的過程として導出している「合理的エージェント」モデルは、…

日本サッカーのある憂鬱

サッカーのW杯も、あと何ヶ月かなので、この前のマリ、ウクライナとの練習試合を経て、本番に向けて、自分なりに、少し総括をしておこうと思っている。 今回の練習試合において、ハリルホジッチはインタビューで、ある気になることを言っている。 「パワー…

水野良『グランクレスト戦記』

つい最近、映画館で「マジンガーZ」を見たら、彼ら世界平和のために戦っている主人公やヒロインが、作品の最後では、普通に「結婚」して、子どもをもうけて、その子育てをして、それこそが 幸せ なのだ、といった描き方がされているのを見て、基本的にこう…

香山リカ・北原みのり『フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか』

このブログで、ここのところ何度も、東浩紀先生の『観光客の哲学』について言及してきたわけだが、私はこの本が結局何が言いたいのだろう、といったところで、どうしても一つ気になっているのは、いわゆる「上野千鶴子」さんについて言及している個所なわけ…

三谷博『維新史再考』

よく、明治維新は「革命」だったのか? と問われることがある。その意味は、フランス革命と比較して、ということになるが、その「結果」において、ある側面に注目すると、これは間違いなく「革命」だった、と言わざるをえなくなるわけだ。 しかし、明治維新…

森友問題の本質

私が森友問題に違和感を覚えたのは、以下の東浩紀先生の発言からであった。 東:まず国有地が本来10億であったもの、それも問題ないんだというのが右翼のもっとも保守のラディカルな人たちですけど、僕はそれは思っていなくて、あの10億の国有財産が1億で払…

森友問題での自殺者

いやいや、森友問題で二人目の自殺者ですか。すさまじいですな...。 森友学園への国有地払下げに関する決裁書の改ざん問題で、財務省に2人目の死者がいることが分かった。 きょうあった野党合同ヒアリングで柚木道義議員(希望)、杉尾秀哉議員(民進)が追…

安倍晋三=麻原彰晃

まあ、もうさんざん言われていることだが、なぜ憲法第9条が 子どもにも分かるように 書き直すべきだと言っている連中が、安倍総理が「もし森友問題に、私か妻が関わっていたら、総理も辞めるし、議員も辞める」と言ったのになぜ、総理も議員も辞めないこと…

マリーシアは本質的なのか?

ここでは少し「本質的」な問題について考えてみたい。 サッカーにおいてよく、日本人には「マリーシア」がない、と言われる。マリーシアとは、南米の言葉で「ずるがしこさ」といったような意味で使われるようである。まあ、ゴール前で、相手を「あざむい」て…

岡田麿里『学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで』

前回は少し感情的に書きすぎたかなと後から思ったわけだが、その理由としては掲題の本を読んでいたからかもしれない。 私の母親はつい最近、脳の出血系の病気で、医者から「もう意識は戻らないだろう(言語系の機能が戻らない)」と言われ、今もその状態なの…

再論:「観光客の哲学」における家族

つい最近まで、東浩紀さんの「観光客の哲学」について、いろいろ書いたのだが、私があの本で、どうしても一つだけ許せないものを挙げるとするなら、彼が 家族 の再評価のようなことを、語っていることだと思っている。 ただ、このことについては、過去にも同…

戸田山和久「カントを自然化する」

さて。掲題の著者については、前回、『科学的実在論を擁護する』において、その科学論を「実在論」として「経験論」と敵対する論陣として、その論争を整理する立場の最新の著作について言及したわけだが、今回のこの論文ではなぜか カント について言及して…

戸田山和久『科学的実在論を擁護する』

さて。そもそも科学とは何か、という問いは、普通に考えると馬鹿げた問いのように思われる。というのは、そもそも「科学」と呼ばれてきたものは、言ってみれば、 全て なのであって、人間のこの自然を「支配」しようとして行ってきた全ての営みのことなので…