2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「マリーシア」のホーリズム

私はサッカーでよく使われる「マリーシア」という言葉を疑っている。この言葉はもともと、「ずるがしこさ」といったような意味で使われるようで、ゴール前でフォワードが「演技」をして、ペナルティエリア内でファールをもらったかのような動作をすることで…

日大アメフト=ハリル解任=モリカケ問題

まあ、こんなようなことを言っている人はネットを探せば、いくらでもいるわけで、しかも野党議員が「日大アメフトはモリカケ問題に似ている」と言おうものなら、日大問題を政争の愚に使うな、日大問題の当事者がどんだけ困ってるのか分かってんのか、と、怒…

中井久夫「いじめの政治学」

(ちなみに、掲題のエッセイは柄谷行人が以下で書評をしている:(書評)『中井久夫集6 1996-1998 いじめの政治学』 中井久夫〈著〉:朝日新聞デジタル)。 巷では、日大アメフト部の今回の事件は 日本版 MeToo なのではないか、と言う人がいるよ…

マックス・テグマーク『数学的な宇宙』

ここで少し、私の、いわゆる「実在論」と呼ばれるものに対する関心について、それを私の、ここのところの「文脈」に沿って、その流れを説明してみたい。 (まあ、最初と言えば、カンタン・メイヤスーの『有限性の後で』を挙げないわけにはいかないであろうが…

クロード・レヴィ=ストロース「人間の数学」

うーん。あんまり、レヴィ=ストロースについては、よく知らないんだが、ここのところ読んでいた、柄谷行人の雑誌「群像」での連載エッセイ「探究3」の以下の個所について、ちょっと気になっていたので少し調べてみようか、と。 たとえば、なぜ数学によって…

蔵田伸雄「同じ山に異なる側から登る」

一般に功利主義と言ったとき、以下の三つの「主義」を合わせたものとして解釈されている: 幸福主義(または快楽主義) 最大化原理(または総和主義) 帰結主義 しかし、上の二つというのは、なんというか「道徳」とは関係ないように私には思われる。その意…

キャロル・キサク・ヨーン『自然を名づける』

私たちが生きていくには、まず「食べられるもの」と「食べられないもの」の区別ができなければならない。なぜなら、それすらできなければ飢えて死んでしまうからだ、これは、たんに「人間」だけの話ではない。 全て の生物がそうなのだ。これは、ある意味、…

アニメ版「ゴジラ」がまるで喜劇のように笑えてくる点について

今日、劇場でアニメ版「ゴジラ」三部作の第二作目を見たわけだが、私は第一作目も見たのだが、それについてはなにもコメントする気にならなかった。今回も正直言って、今でも、なにも語りたいという気持ちにならない。 逆に言えば、それがなぜなのかについて…

三中信宏『系統樹思考の世界』

私がどうしても理解できないのは、福島県の「甲状腺がん」の問題にしても、「HPVワクチン」の問題にしても。なぜこういった「対立」がいっこうに収束せず、ますます鋭くなるばかりであるのに、いわゆる 知識人 がそれに対して一定の「見識」を示さないの…

石川求『カントと無限判断の世界』

ここのところ、東浩紀先生の本について論じていなかったが、私は一つ、以前から気になっていたことがあった。それは、処女作の『存在論的、郵便的』においてすでに登場し、最新作の『観光客の哲学』においても登場する 否定神学 という言葉であった。特に、…

テロリストJAPANのマリーシア

ここのところ、日大のアメフト部による、悪質なファールの問題が何度もネット上で話題になっている。 「アメフトはベンチの指示で進められる競技のため、今回のような悪質なケースは、その背景、特にヘッドコーチの指令の有無が調べられます。日大の選手のタ…

山川仁『孤独なバークリ』

前回も書いたが、例えば、最近出版されたカンタン・メイヤスーの『有限性の後で』の前半において、カント、いや。カント以上に、バークリーの 観念論 が「仮想敵」として記述されていたことが思い出されるわけで、ようするに、なんというか分析哲学というか…

三中信宏『分類思考の世界』

私がこの著者に興味をもったのはつい最近で、それは前回紹介した、植原亮さんの『実在論と知識の自然化』に関連して、ネットで、自らを「唯名論者」として語っていることに興味をもったからであった。 そして、実際に掲題の本を読んで、私が植原さんや戸田山…

植原亮『実在論と知識の自然化』

いつからは分からないが、いわゆる哲学系の本屋の書棚を見に行くと、 分析哲学 の分野、まあ、それと隣接する形で、「科学哲学」というカテゴリーもあるわけだが、そういった系列の特に日本人の研究者の書く本に、いわゆる 実在論系 とでも呼んだらいいのか…

ファースト・ガンダムにおけるセイラ問題

まあ、今さらのように、安彦先生による、アニメ「ガンダム・ジ・オリジン」の、ファースト・ガンダム前夜までが完成し、無事に劇場公開となったわけですけれど、そもそも、この漫画版の発表自体は、何年も前に終わっていて、言うまでもなく、単行本は何年も…

スピノザ主義者としてのカント

岩波ホールで見た映画「マルクス・エンゲルス」は、若い頃のマルクスとエンゲルスを生き生きと描いていて、非常に刺激を受ける内容であった。いわゆる、現代思想的なことに興味のある人は、ぜひ、この映画を見てもらいたいと言いたい。 じゃあ、何がこの映画…

なぜ無印ラブライブが重要なのか?

今週の日曜に、渋谷で映画「ジェイン・ジェイコブズ」を見て、昨日、岩波ホールで映画「マルクス・エンゲルス」を見たのだが、両方について思ったことは、男女を問わず、比較的若い人たちが見に来ていたことだ。 映画「ジェイン・ジェイコブズ」は、言わずと…

柄谷行人による「ポストモダン」批判

経済学にしても、自然科学にしても、私が不思議に思うのは、 「経済」についての学(メタ経済学) 「科学」についての学(メタ科学) が、両方とも、将来の「イノベーション」がどういったものになるのかを知らないのに、まるでそういったことが「自明」であ…