2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

トネ・コーケン『スーパーカブ』

現在、テレビアニメが放映されている、原作のラノベの第一巻。 主人公の小熊という女子高生は、少し特殊な生い立ちをしている。 父親は小熊が生まれて間もなく事故で死に、さほど多額でなかった父の遺産を着り崩しながら小熊を育てた母親は、小熊が高校に進…

マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』

Vtuberの視聴者数ランキングを見ると、ほとんどホロライブ所属が席巻している状態が、かなり前からずっと続いているわけだが、その、ホロライブの動画を見ていて、もしも一人だけ「アイドル」らしいアイドルを挙げるとしたら、港あくあかなあ、と、以下の3…

上昌広『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』

日本の新型コロナ対策は、一言で言えば、 世界の医学界のグローバルスタンダードを無視した ことに特徴がある。 新型コロナウイルスのような新病原体が発生したときに、厚生労働省で窓口になるのが結核感染症課です。検疫法と感染症法を所管しています。日本…

なぜ京大の宮沢准教授は信用できないか?

大阪の医療崩壊が悲惨を極めていることは、誰もが認めるところだろう。重症でありながら、病院に入院することを定員オーバーを理由に拒否されている間に、次々と亡くなっているわけで。 しかし、他方において、人々は普通に通勤をしているし、通学もしている…

新型コロナ・ワクチンを誰が打つのか?

当たり前だが、新型コロナのワクチンを、自分で自分に打つことはできない。今のところ、筋肉注射となっているわけで。いや、もっと本質的には、それが「医療行為」だから。 つまり、やれるのは、医者か、その医者の監督の下での看護師ということになる。 い…

オリパラを巡る日本の「喜劇」

オリパラ問題は、一方で開催に賛成する人はその「理念」が素晴しいから、と言っているし、他方、反対する人はその「理念」はともかくとして、その「実態」として、もはや救いようのない、 商業主義 が、完全に反倫理的なんだから止めるべきだ、となる。 こう…

ヘルマン・クリングス「経験とアプリオリ−−−−超越論的哲学と言語遂行論の関係に寄せて」

(掲題の論文は、私がよく引用する『超越論的哲学と分析哲学』の中にある。) 経験論者がカントを批判する文脈については、前回議論したように、それが トンデモ だから、ということに尽きる。言っていることが、まるで「おとぎ話」のようで、まるで、根拠の…

A・J・エイヤー『言語・真理・論理』

今思い出すと、なぜリチャード・ローティは、あそこまでカントに攻撃的だったのだろう、というのは疑問だ。というのは、彼の主張する、ある種の「アナーキズム」。つまり、徹底した 不可知論=一切の知識の否定 こそ、カントが主張していた 純粋理性に対する…

新谷由紀子『利益相反とは何か』

あなたは、民主主義に反対でしょうか? ちなみに、東浩紀先生は一貫して民主主義に反対しています。 もしも民主主義に反対であるなら、では、 誰 に政治的な決定をしてもらえばいいと思いますか? 言うまでもないですが、「あなた」はその決定ができません。…

稲葉振一郎『宇宙倫理学』

稲葉先生の議論はおそらく、その分野の専門家には、あまり価値のある議論として受けとられていないんじゃないか、という印象を受ける。例えば、掲題の本は、 倫理学 となっているが、別に、稲葉先生はメタ倫理学の専門家じゃない。どちらかというと、社会学…