「商道(サンド)」

イビョンフン監督の、時代劇ドラマ。まだ、3分の2くらいしか見ていませんが、もういいかな、ということで。
彼の作品で、今まで見たのは、ほかに、「ホジュン」、「チャングムの誓い」、がある。
サンドもホジュンも、主人公は、見た目は、イケメンという感じではない。朴訥な感じで、ただ、目だけは力強い感じ。そういう人を主人公に選ぶのが、監督の趣味なのかなと思うと、チャングムでは、カリスマ的な美しさの、イヨンエが主人公。
出演している人の重複が多いのも特徴ですね。このサーガのような時代劇の一連のドラマ作品で、ある種、そういったパラレルな世界観を実験的に試しているのかもしれませんね。
これらの作品に共通するものは、やはり、善と悪の対照なんですかね。そして、悪への恨(ハン)。これだけ、悪の感情をリアルに描くのも、韓流の特徴ですよね。もちろん、だからといって、それほど深くほりさげられているかといえば、やっぱりそういう感じではない。ちょっと露悪的なまでに悪のやることはかたっぱしから成功するという、なんとも、マゾ的なところはある。
これらの作品で私が、もっとも愛すべき存在を一人あげるとするなら、サンドの湾商の大行首のホンドゥッジェだろう。
はっきり言って、ホジュンチャングムも医者だったり、宮廷官僚だったりで、ちょっと浮世離れしすぎてる。どうも感情移入ができない。そういった面では、サンドは、商売人の倫理ですからね、分かりやすい。また、比較的に、楽天的な姿勢、社員を信頼して、社員に任せて、どうにもならないことはどうにもならないし、それと日々の楽しみは別というような、気楽な感じが共感できる。ホンドゥッジェは、主人公イムサンオクの才能、実績を認めると、彼に自分の地位を譲り、あっさり自分は、第一線から退く。人間の人生はそんなものだし、なにも難しく考えることなんてないんです。それでいいんですから。
最後に書いておこうと思っていたこととして、この三つの作品を通して、圧倒的に異様な感じを与え、無類の存在感を示しているのが、ホジュンの、医学の師匠のユウィテの恩人の娘として、彼のところにいた、イェジンですね。
彼女は、ホジュンを心の中でしたい続けて、なんと、作品の最後までやもめですごす。しかし、もともと無理があることは確かで、ホジュン自身は、作品の最初で思い定めた女性と結婚して子供もいるわけなんでね。だから、なんでこんな話にしたのかなんですよね、監督は。ホジュンにしても、うすうすはその気持ちをしりながら、最後まで戸惑いオロオロしたまま終ってしまう。ヘーゲルでいえば、なんら矛盾が止揚されることなく、矛盾がただ生きられたまま、作品が終わってしまう。イェジンを演じたファンスジョンという女優さんの美しさもあいまって、なにか、心にささったとげのように、結局なんだったのだろうというような、なんとも言いようのない気持ちが残り続ける。うーん。

商道[サンド]DVD-BOX 1

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