セウォル号沈没事件

3・11以降の原発事故の問題を見てきたとき、一つ思ったのは、いわゆる「えらい人」の言うこと「だから」、みんな従おう、というような態度は、ほとんど絶望的な結果となる、ということを意味していたんじゃないのか、と思うわけである。
えらい人が「原発を動かそう」と言って、それに従ったら、3・11の福島のあの状況となる。つまり、「えらい人」というのが、くせものなのだ。
つい最近も、驚くべきことに、あの経済アナリストの勝間和代が、しょうこりもなく、原発推進広告の宣伝を再開しやがったわけで、じゃあ、今までの「沈黙」はなんだったのだろう、と考えさせられたわけである。
彼女は、自らが「広告塔」であることによって、実体として、大手電力会社から、「報酬」をもらって、原発再稼働を

  • 彼らと一緒に目指している

わけで、完全に「向こう側」の人になることを宣言したのであろう。
しかし、そんなふうに、ネット論壇を見ていると、ようするに、原発再稼働派がたくさんいる。
彼らは、なんらかの形で、大手電力会社とウィンウィンの関係になることを目指していく過程で、「原発再稼働くらいは認めてもいいんじゃないのか」という

  • 匙加減

があるのであろう。それは、「厳密な安全対策を徹底してやって、地域住民のとっての不安が解消された」から、そう言っているのではなく、結論への推論が逆で、「原発再稼働くらいは認めれば、こういった巨大企業と、ウィンウィンの仕事の関係ができる」のだから、彼らがやりたいと言っているのだし、この程度を認めることなら、自分たちのブランド・イメージの毀損にまではならないだろう、という

  • 姑息な読み

がある、と考えるのが自然なのだろう。
原発マネーは言うまでもなく、大量の宣伝費用が市場に流れる。この膨大なお金を自分のものにしたいと思う、フリーの御用ジャーナリスト、御用コピーライター、御用作家などの、いわゆる、

たちが、むらがってくる。彼らは、ある意味において、生きるために必死ではあるが、言うまでもなく、言論活動が、

  • 宣伝活動

と区別できないものになるなら(まあ、それが、ポストモダンの消費社会的な実相なのだろうが)、その「あぶく銭」は、人々からの「信用」の喪失と、セットになって「売られる」ということになるであろう。つまり、そんな商品を、いつまで、消費者は嬉しそうに買ってくれるのか、ということになる。
つい最近、韓国で、セウォル号沈没事件というのがあったが、この事件の流れを追うにつれて、非常に深刻な、ポストモダン消費社会の実相があらわれていることに気付かされる。

これまでの調べにより、事故時、イ船長は操舵室を留守にしていたこと、乗客の避難誘導をしなかったこと、真っ先に脱出をはかり、9時35分頃に到着した海洋警察の船で、最初に保護されていることなどが伝えられている。
セウォル号沈没事故 - Wikipedia

まず同船の船長(男性、69歳)は非正規社員であり、当初運航を任されていた本来の47歳の船長に代わって船を操縦していたことが明らかになり、杜撰な運行体制に一部のインターネットユーザーから非難が殺到した。
セウォル号沈没事故 - Wikipedia

また事故船の乗務員による避難誘導も完全でなく、「救命胴衣を着用して待機してください」という自動船内放送が流れたのみで、船員も乗客へは「動かないでください」とのみ繰り返していたという声もある。そのため、4階にいた多くの高校生たちのほとんどは船内放送に従って待機したままと見られ、適切な避難誘導がされれば多くの命が助かったとする声もある。
セウォル号沈没事故 - Wikipedia

驚くべきは、まず、船長が「契約社員」だった、ということであろう。つまり、こんな場所にまで、竹中平蔵が推進する新自由主義的な、

  • 自由化

路線が浸透しているわけである。そして、本来、この船についてのすべての情報を集めて、一括管理しているはずの張本人である、この船長が、

  • まっさきに逃げやがった

ことで、この船は完全なアナーキー状態になってしまった(そういえば、3・11のとき、まっさきに東京から逃げておきながら、福島を救いたい、とか、ふざけたことをぬかしている奴がいましたねw)。
この船長は、今、殺人罪で訴えられているとのことだが、しかし、話はそれで終わらない。被害が拡大した原因として、韓国の「儒教文化」があったんじゃないのか、という問いが、むしろ、欧米メディアを中心に行われたことであった。

アンカー:韓国の文化的な価値観が、多くの生徒が船の中に取り残された大きな原因かもしれないですね。
リポーター:確かにそうですね。今回は特に、両親が付き添っていない高校生の修学旅行です。韓国の文化が子供や生徒に称賛するのは、服従です。だから大人からその場にとどまるように言われ、もちろん彼らはとどまりました。大人たちは「急いで甲板に出ろ」と命令されていれば、子供たちは海に飛び込んで助かったかも知れないと、親たちは怒っています。胸が痛いことでしょう。子供たちに服従を教え込んだのは、まさに親たちにほかならないからです。

【韓国船沈没】大量犠牲の原因は「儒教文化」? 欧米の指摘に反発の声も

こういった東アジア人を「服従」という言葉でレッテル化していく傾向が、おそらく、欧米社会に広まっているのではないだろうか。例えば、欧米社会において、非常にアジア人の大学進学率が高いことが言われている。子どもたちは、非常によく勉強している。こういった状況を、非東アジア系の人たちは、子どもの

の結果として見ている、ということであろう。
しかし、こういった指摘は、なにも、「子ども」だけではない。3・11以降における、原発再稼働問題においても、今だに、

  • えらい先生が「大丈夫」と言っているから

と、原発再稼働に反対しない国民の、今の状態を見るに、大人だって「服従」している、と非東アジア系の人からは見えているのではないだろうか。
確かに、上記の船長は、私たちの今までの慣習からは、「鬼畜」以外のなにものでもないであろう。しかし、同じように、この日本の知識人の中には、原発再稼働派が、ごまんといる。じゃあ、彼らは「鬼畜」じゃないのか。国民を

  • 売って

自分のお金儲けのために、原発再稼働派になっているんじゃないのか。
しかし、さすがに向こうのジャーナリズムは健全だということになるのだろうか。こういった見方に反対の意見もあるし、実際に、現場は違ったんじゃないのか、ということなのである。

「えっ、おかしいんじゃない」
「こんな状況でそういうこと言う? 安全だからじっとしてろって」
「じゃあ私たちだけで出よう」
「地下鉄(2003年の大邱地下鉄火災)でもそうだったじゃない。安全だからそのまま動くなって言って、本当に動かなかったから死んだって。外に出た人は助かって」
【韓国船沈没】大量犠牲の原因は「儒教文化」? 欧米の指摘に反発の声も

まあ、自分のことは自分で考えるしかない、ってことなのであろう...。