河村小百合『中央銀行は持ちこたえられるか』

今回の衆議院選挙は、民進党の希望への吸収と立憲民主党の結成で、すべての話題がそっちにもって行かれた雰囲気があるが、与党がなんとか北朝鮮の脅威を強調したいとやっきになっている一方で、もう一つ、どうも雰囲気が変わってきている、と思われる傾向がうかがえる。
それが、「金融政策」である。
まあ、今週の videonews.com の受け売りではあるのだがw

その言葉どおり、日銀は黒田新総裁就任直後の二〇一三年四月から、年間約五〇兆円という "型破りの" 規模、前代未聞の規模で国債等を買い入れてマネタリーベースを供給する、という「量的・質的金融緩和」(以下QQE:Quantitative and Qualitative Easing」を開始したのです。

これには世界中が仰天しました。国債等の買い入れの規模は、二〇一四年一〇月の追加緩和で、年間約八〇兆円に増額されました。黒田総裁の就任後、現在に至るまでのこのような金融政策運営は、白川前総裁時代の「包括緩和政策」が長期国債を毎月二兆円程度買い入れるものであったことと比較してみても、いかに "型破り" の規模、"異次元" の規模で行われているのかがわかります。

そもそも、日銀の黒田総裁による「異次元緩和」は、2年で2%というコミットメントで始まったはずであるが、今ではすでに

  • 4年

近くも経っているわけであり、少し冷静に考えてみれば、なにかが「おかしい」ということにはだれでも気付いているのではないか、と思われるわけである。
この間、というか「今」だって、

  • ずっと

年間80兆円分の国債を、日銀が買い続けている、わけであるw
そんなに続けて大丈夫なのか?

日銀、民間銀行から国債を買っていますよね。で、国債を日銀に渡す代りに、逆に、お金は民間銀行は渡されちゃうんですよね。でも使い道なくて困る、そんなに貸し出し先に回せないということで、しょうがないから日銀に預けてます(当座預金)。これ、大部分にはプラス0・1%のわずかですが金利がついています。一部にはマイナス金利とか適用するようにしましたけど、大部分は0・1です。その低い金利で預けている。だけど、これを預けっぱなしのこんな状況が、これから先続けられるのかってことなんですね。
VIDEO NEWSアベノミクスこそがこの選挙の最大の争点だ

じゃあ、金利をね、上げなきゃいけない状況。海外がどんどん金利をこれからさらに上がってきて、アメリカに追随してみんな上げてくる中で、日本だけが上がらないと、お金がだんだん金利の低い国から高い国に流れていくのが普通ですから、円安が進んじゃうと思うんですね。1ドル110円くらいなら、いいね、企業収益もよくなっていいねって言ってるけど、それが、120円、130円、140円となってくると話が違う、輸入物価ががーっと上がる、ガソリンはがーっと上がる、いろんなものの値段が全部上がりますよね。いろんなものが全部上がっていくようになるとまずい。そのとき、財政運営も危なくなると思います。国の財政運営が危ない。そのとき日銀が止められるかといったら、こんなにお金が余っている状態じゃ、どうしようもない。で、やり方が一つあって、これはアメリカのフェイトがあみだしたやり方なんですが、ここ(当座預金)に払う金利を上げればね、市場金利を上げるように誘導することができるっていう話なんです。実際には、アメリカはそうやって中央銀行金利を上げています。ただ問題は、ここ(当座預金)につける金利を上げるときは、バランスシートの見合いで反対側に資産をもっていますね。これについている金利が何%なのって話なんです。で、アメリカとかイギリスのイングランド銀行もこういう資産介入をやったんですけど、そのリーマンショックになった時点でまだまだ経済が健全だったから、金利水準がけっこう高かったんですね。だから、高い金利がついている国債をたくさん買った。アメリカだと加重平均で3%くらい。イギリスだったら4%くらいあります。といことは、こっち(当座預金)側の金利を3、4%まで上げても「逆ざや」にはならないですよね。じゃあ、日本はどうか? これが深刻なんです。
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日銀が公式の数値で0・3しかない。恐しいですよ。今、0・1ですけど、これ、0・3まで上げたらここでとんとん。それを上回ったら、短期金利って過去からしたら、たいした水準じゃないし、今のアメリカでももっと上げていますよ。今のアメリカにもみたないけど、「逆ざや」になっちゃうんですよ。
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ところが当座預金が今や300何兆、400兆あって、400兆円のバランスシートが1%「逆ざや」になったら、毎年4兆円飛んでくんですよ。2%「逆ざや」になったら、毎年8兆円飛んでいくんですよ。じゃあ、日銀の自己資本いくらあるか。7兆円です。そうしたら、あっという間に債務超過になる。
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確かに、今回の自民党の公約を見ても、「三本の矢」だとか、もう恐しくて書いていないw つまり、さすがの政府もこれ以上の「異次元緩和」の継続がいかに恐しいのかについて気付き始めている。
しかし、そのこと以上に、私なんかが「恐しい」と思ってしまうのは、果して、日銀総裁がなにかにコミットメントするときに、どれだけ国民に

  • 説明責任

を果たしているのかな、というのが疑わしいことなのだ。

なんか黒田総裁もいろいろ聞いてて、なんかこんなに国債を買って、2%になったらすぐ売ればいいんじゃないかって簡単に考えていらしたみたいですね。金融機関の人間からすれば、あんなに低い金利のときに買った金融商品金利が高くなって、簡単に売れないなんていうことは、もう身に染みて民間金融銀行の方々なら分かっているわけですけど、その感覚がおそらく、おありにならない。そんなこともおありにならないで、こんな恐しい政策を始められた。
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採用する戦略を大きく変更するのであれば、その前にまず、ECBという組織として、最低限の一定の時間はかけて検討を尽くしたうえで、政策委員会で議論し決定することが必要になります。新総裁の着任後わずか二週間で、重要な金融政策運営戦略が大きく変更されてしまうということは、二〇一三年四月の日銀では、はからずも可能となってしまいましたが、今のECBではその組織の設計上、また実際の運営上、そのようなことは絶対に不可能なのです。

ようするにさ。学者もそうだけど、

  • 民主主義

が嫌いなんだよねw つまり、国民に説明をしたがらない。一部の専門家だけで、巨大なお金を動かして、国を支配することになんの疑いももたない。つまり、彼らが口を開けば、

  • 民主主義の否定

であり、彼らなりの言葉で言えば、

  • 共和主義

とかいうのになるんだろうけど、まあ、秘密主義が好きだよねw 早い話が、日銀のあらゆる政策の実行に際しては、アメリカのECBのように、

  • 国民的な議論

を行わせて、ちゃんと出口戦略は機能するのかとか、徹底的に「熟議」をさせなきゃ、こうなるわな、としか思わないんだけれどね...。