科学者と「いじめ」

はてなブックマークは、一時期、この「はてな村」で起きた凄惨な事件の話題で一杯になった。

中川:「はてな」のヘビーユーザーだった「低能先生」と言われた男による著名ブロガー・Hagex氏の刺殺事件です。犯人は、「はてな」で「死ね」だの「低能」だのと書き続け、通報されて凍結されても新たにIDを作るという行為を長期間にわたって繰り返していたんですね。そのIDの数は数百に及ぶ。これも何らかの病気かもしれない。もし彼が何らかの病名がついていたら、はてなのユーザーや周りの人はもうちょっと彼に優しくしたかもしれないと思うんです。アルコール依存症とか、パチンコ依存症とか、何でもいいんですけど病名があるじゃないですか、それ的な病名です。
橘:「低能先生」というのは周りの人がつけたあだ名なんですよね?
中川:はい、そうです。
橘:本人も自分がそう呼ばれていることは知っていたんですか?
中川:知っていたんですよ。
ネットいじめと正義依存症 Hagex氏刺殺事件はなぜ起きたか│NEWSポストセブン

はてな」のヘビーユーザーだった「低能先生」と言われ続けた人(凍結されるたびに新たのIDを作成していた)が、著名ブロガー Hagex 氏を殺害した事件で、その Hagex 氏と個人的にも知り合いであった中川氏は、この対談で、おそおらく、この「低能先生」は、

  • 病気

だった「はず」だ、と言う。そして、もしそのことを知っていれば、この事件は起きていなかったはずだ、と語る。

橘:Hagexさんは、自分が生命の危険にさらされるほど恨まれていることに気づいていたんですか?
中川:多分分かってなかったと思います。たまたまHagex氏が福岡に行く予定があり、それに合わせてセミナーも行ったところ、事件が起きた。
橘:これから精神鑑定が行なわれるようなので安易に決めつけることはできませんが、常識的な判断を大きく逸脱していることはまちがいないですよね。
【*編注:精神鑑定で刑事責任能力を問えると判断され、10月5日に殺人罪で起訴された】
ネットいじめと正義依存症 Hagex氏刺殺事件はなぜ起きたか│NEWSポストセブン

しかし、上記引用の注にもあるように、裁判上では普通に「殺人罪」で起訴されたわけで、ようするに、その「病」性は、法的には認定されなかった、ということになる。
こういった問題を考えるとき、私たちは古典的な裁判例として、佐川一政の「カニバリズム」を思い出すかもしれない。フランス留学中に、殺人を犯しただけでなく、死体の肉を「食べた」わけで、当然殺人罪で訴えられながら、彼は

  • 精神異常

ということで、裁判にかけられることなく、精神病院に入れられることになる。
これと同じ状況が、最近起きた「相模原事件」の犯人の植松に対して、最初は彼は「精神異常」ではないか、という疑いの報道がさかんに行われた。しかし、その報道はよく考えてみると奇妙だった。というのは、そもそも植松は、安倍総理であり、自民党

  • 手紙

を書き、その手紙を渡そうと、自民党本部を訪れている。ようするに、この件は

  • 首相案件

であり、首相周辺が、植松がクローズアップされることで、彼のヤクザ社会との関係や、その「思想」において、その「火の粉」が安倍総理にまで及ぶことを恐れたのではないか? それで、裁判で「真実」が明るみに出ることを恐れたのではないか、と疑われた。
しかし、同じようなことが、今回の事件の、この中川氏の態度にも窺えるのではないか?

中川:私はそう思っていて、彼のことが治療が必要な人だという認識があったら、皆で通報しまくるとかの「煽り」は止めたかもしれないんですよね。
ネットいじめと正義依存症 Hagex氏刺殺事件はなぜ起きたか│NEWSポストセブン

ようするに、どういうことか? この「低能先生」に対する、Hagex 氏、中川氏の態度には、なんらかの

  • いじめ

性が窺えたのではないか、という印象をぬぐえない。おそらく、この「低能先生」の態度は最低だったのであろう。しかし、たとえそうであったとしても、彼は「孤独」に発言していた。対して、中川氏は、彼の「最低」さを理由にして、

  • みんなに「攻撃」を「けしかけた」

わけで、つまり、

  • けしかけた

ことを、そもそも、上記の引用にあるように、自ら認めているわけである。
中川氏は、この対談で、どうかこの「低能先生」が「病気」であってほしいと願っていたかのように、必至でそうであるはずだ、と強弁している。しかし、なぜそこまで、この人を「病気」にしたいのか、という態度の裏には、この裁判で、「自分たち」が何をやったのかが「暴露」されることを恐れているからじゃないのか、と、少し「うがった」ことを思わずにはいられない。
これと少し似たような経緯を考えされられるのが、3・11から、ツイッター上の福島第一原発の御意見番のように扱われている、物理学者の菊池誠先生が、芸人の「おしどりマコ」さんを、徹底的に「侮辱」していることだろう。

EMが叩かれるのはいいんだけど、同じくらいの勢いでおしどりマコも叩いていただきたい
@kikumaco 2018/10/03 05:18

このツイートが代表しているように、菊池先生は「おしどりマコ」さんへの攻撃を、フォロワーに

  • あおっている

わけである。つまり、これは「いじめ」教唆なわけであろう! 「いじめ」は必ず、

  • 1対多

で行われる。そして、必ずそれを「けしかける」いじめっ子がいる。
こんな程度の見識の人が、大学教授なのか、と思うかもしれない。しかし、そもそも物理学者とは、物理の基礎研究をする人でしかなく、そういった人が、なんらかの社会的な道徳的見識をもっていると思う方がどうかしている。なぜなら、そういった「試験」で、この地位をつかんだのではないのだから。
というか、菊池先生の「ニセ科学批判」の態度には、すでに前に議論をされていた、「疑似科学」の頃から、その「文言」が示しているような、先験的な「差別」性が露骨に現れていたのではないのか、といった批判があるわけである:

「疑似」という言葉はそれ自体で否定的な評価を含むし、「疑似科学」という言葉が喧嘩を売るために使われることも多い。しかし本書の目的はある種の分野の実践について否定的評価を行うこと自体にあるわけではない。

疑似科学と科学の哲学

疑似科学と科学の哲学

ポスト311の「ニセ科学批判」をそれ以前の従来の擬似科学批判と切断するのには違和感を覚える。菊池誠教授はつなぎ目なしにやっているつもりだろうし、従来の擬似科学批判(少なくともと学会の流れをくむ日本のニセ科学批判)にも権威におもねる性質はあった。

ポスト311の「ニセ科学批判」というのは、従来の疑似科学批判とはまったく異なるもので、科学技術への違和感という分散したナニカたちから「(言説としての)ファクト=ニセ科学」なる「叩き先」をくくり だして、それを一斉に叩く(チェックする)というヴィジランテ(自警団)型運動です。
@sakinotk 2018/04/06 03:52

@morecleanenergy 2018/04/06 23:11

(Fact Check福島や開沼への批判が広がっているようだが、きっかけのひとつに文春の不倫記事あるらしく、微妙な気持ちになっている)
@morecleanenergy 2018/04/07 09:20

菊池誠教授の「福島差別」なる言動がめちゃくちゃだったのは「フクシマ」表記への嫌悪や自主避難者への中傷から始まっているので、五年前には顕著になっていたのに、辛氏への中傷があってやっと可視化されたというのも微妙な気持ちになる)
@morecleanenergy 2018/04/07 09:23

疑似科学」とは、そもそも、こういう「レッテル」を使っている時点で、研究する

から「疑似」という

  • 評価

が「先験的」に決まっている、という意味で、最初から「馬鹿」にした態度を含意しているわけで、そのことは「ニセ科学」についても同様、いや、それ以上に

  • 露骨

な意味内容になっている、と言わざるをえないわけであろう。菊池先生の、「フクシマ」表記への態度、自主避難者への差別的態度など、そもそも、今回の「おしどりマコ」さんへの

  • いじめ

  • けしかけ

と同じ態度は以前から見えたわけで、ようするに、この「程度」の人だ、と言うことで、社会的な評価としては、もういいんじゃないか...。