豊洲市場とは何か?

今回の、築地市場の「解体」と、豊洲市場への「移転」において、素朴に違和感を感じたことを、まず挙げさせてもらうなら、「豊洲」市場協会なる、いつできたのかも分からない、謎の組織の、伊藤裕康さんという方が、外国人記者クラブで発言をされている。ユーチューブの動画を見たときであった:

日本外国特派員協会主催 豊洲市場協会 伊藤裕康会長 記者会見 2018.10.16 - YouTube

伊藤裕康さん、いつのまにか「築地」市場協会から「豊洲」市場協会になっていますね。築地でも東卸とか大物業会、箱物業会などいくつかの団体はあっても、それらの上に「市場協会」なるものがあるなんて聞いたことがないから、この人が市場全体を代表するような発言をするのには違和感があります。
@HaruNatsuMaMa25 2018/10/16 8:12

この人は、今のこの状況を「代表」しているのか? そうでないなら、外国人記者クラブは、なぜこの人を呼んで、まるで「代表」であるかのように話させているんだ?
うーん。誰かに説明をしてもらいたいものだw
次に、異様なやりとりがネットでされたのが、「コールドチェーン」だとか、「ドライフロア」だとか、「HACCP」であった。
しかし、これはなんなのだろう?
というのは、「ドライフロア」というのは、床を水洗い「しない」と言っているわけであろう? 果して、こんな魚市場が、他に日本にあるのだろうか、と思ったのだが、以下の例があるそうである:

無人の荷さばき場。明かりが消され、最新の設備は止まったままだ
八戸市第3魚市場で最新の高度衛生管理型荷さばき場が、ほとんど利用されていない。稼働は3年間で9回だけ。漁船側に価格的なメリットがないためで、主力のサバの大半は旧来の第1魚市場に水揚げされる。市はEU輸出基準を満たす施設として国内初の登録を目指すが、目標の年内申請は困難な見通しだ。
八戸市魚市場の最新荷さばき場、閑散 | 河北新報オンラインニュース

新施設は魚をポンプで吸い上げ、人の手に触れずに箱詰めできるのが特徴。一方、漁船側は魚体を傷つけないよう海水をシャーベット状にした特殊な氷が必要となる。
八戸市魚市場の最新荷さばき場、閑散 | 河北新報オンラインニュース

[高度衛生管理型荷さばき場]八戸市第3魚市場でサバなどを扱う施設は「A棟」と呼ばれ、国際的食品衛生管理方式HACCP(ハサップ)に対応する。
八戸市魚市場の最新荷さばき場、閑散 | 河北新報オンラインニュース

3年で9回だけ? どうも書いてあることを読むと、「人の手に触れず」と書いてあるから、これなら

  • ドライフロア

でやれるのかもしれないけれど、そもそも、築地は当たり前のように、魚のウロコなどで汚れた床を水で流していたんだよね? どういうこと?
築地市場でやっていたのと

  • 同じ

作業を豊洲市場で「やれない」と言うこと?
そう思って、いろいろ調べてみると、2017年の6月に作られた東京都の報告書が、ほとんど全てなんだよねw

(3)豊洲市場の将来の姿は、セリを行い、買受人に商品を届ける仲卸の姿はない。
卸売市場法「改正」で今後どうなる(2/2)(2018年4月30日 第1309号)

つまり、将来的には豊洲市場

  • セリをなくす

って言っているわけ。どういう意味? って、思うだろう。一応、この報告書の方から、該当個所を引用すると:

  • 豊洲市場の将来の姿は、かつて人が入り乱れて株の取引を行っていた兜町から、ITで取引される証券取引所への変化を思い起こさせる。そこには、競りを行い、買受人に商品を届ける仲買の姿はない。
  • 豊洲市場が目指す市場を突き詰めていくと、卸売市場の競争相手の特徴を取り入れたITと物流センターの結合である。モノとカネの流れが分離した豊洲市場の窮極の姿は、もはや卸売市場法に言う卸売市場ではない。

市場問題プロジェクトチーム第一次報告書

しかし、上記に書いてあることをよく読んでほしい。ここで、「IT」の比喩が使われている。確かに、証券取引所の株取引なら、実在の「市場」はいらないかもしれない。しかし、魚は「生物(なまもの)」である。当然、

  • 見て

品定めをしなければ、いけないんじゃないか? それが「市場」と呼ばれてきたわけで。だとするなら、当然

  • 遠隔での動画配信

  • 遠隔での臭い配信

  • 遠隔での「触った」感じ配信

といったものが必要だと、だれだって、思うのではないか? しかし、そうじゃない。だとするなら、ここでの証券取引所の例はミスリーディングなわけで、ようするに

  • セリを<潰したい>勢力

による、一つの「陰謀」だったと考えるのが一番分かりやすいのではないか?

第2に、市場法「改正」案では、中央卸売市場での「取引原則」とされた卸売業者の「第三者販売の禁止」(仲卸業者と開設者が許可した買参人〈セリに参加する人〉以外には販売できない)、仲卸業者の「直荷引きの禁止」(卸売業者以外からは買えない)、卸売市場での「商物一致原則」(入荷物品は市場内で取引すること)が、法規定から削除され、国による規制は行わず、各市場の判断に委ねられました。
「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」が削除されたことにより、卸売業者や仲卸業者と、大手のスーパーや外食産業との直接取引が拡大します。これにより買い手の力が強くなることで、買いたたきが起こり、市場で「公正な価格形成ができなくなる」との懸念がでています。またこうしたバイイングパワーの強化は、生産者価格の低下にも影響します。
さらに、「商物一致原則」が削除されたことにより、卸が間に入り、商取引は市場が行いますが、物品は大型産地、輸入商社、冷凍業者が市場を通さず、大手スーパー・加工業者・外食産業などへの直接出荷も増大します。
これらが実施されれば、これまで卸売市場を支えてきた中小の仲卸業者にとって、卸売市場での生鮮食料品の購入が困難となり、仲卸業者の「目利き力」に依存していた専門小売商、料理店、すし店などの買出人の仕入れを困難にし、その営業にも大きな影響を与えることになります。
卸売市場法「改正」で今後どうなる(1/2)(2018年4月30日 第1309号)

今回の市場法改定の契機は、規制改革推進会議による「企業が自由に業務を行えるように時代遅れの規制は廃止する」という提言(2016年10月)です。市場法改定はこの財界の要求に沿ったものであり、安倍政権下での官邸主導の亡国農政が推進する農業・農協解体攻撃の一環です。
政府は、「攻めの農林水産業」などと称して輸出を奨励し、TPP、EPA(経済連携協定)など自由貿易協定を推し進めています。しかし、これ以上の市場開放は、日本の農林水産業の破滅をもたらします。
財界はまた、総合商社大手の冷凍・加工業者や流通業者の利益のために、国による規制を撤廃し、卸売市場の物流センター化をねらっています。
これまで新鮮で、安全な生鮮食料品の生産、流通、消費を支えてきた日本の卸売市場制度を守るため、「改正」法案の成立を阻止するたたかいが今求められています。
卸売市場法「改正」で今後どうなる(1/2)(2018年4月30日 第1309号)

農産物を生産する農民にとって納得する価格とは、生産した農産物の品質が正しく評価され、再生産可能な価格が保障されることです。卸売市場は、公的に認められた場所で、生産者の立場で少しでも高く売ろうとする卸売業者と、小売店や消費者の立場でよいものをより安く買おうとする仲卸業者が、公開のセリで、その日の入荷量と品質などを総合的に判断して価格を決めるセリ原則が確立しています。
卸売市場法「改正」で今後どうなる(2/2)(2018年4月30日 第1309号)

まあ、外国の巨大資本も含んだ(TPPやEPAも大いにからんだ)、「綜合商社大手」による、

  • 市場潰し

であり、それによって、「買い手」の力が強くなって、「買い叩き」のような形で、消費者が不利になる恐れが、現実に迫っているし、今回の豊洲市場破壊からの、現在分かっている、この豊洲市場

  • 謎<仕様>

も、その一貫だった、とw
まあ、いずれにしろ、こういった「目的」をもって作られている豊洲市場に対しては、おそらく築地市場で働いていた人たちは二つの選択肢がある、ということなのでしょう:

  1. 豊洲市場で働く
  2. 関東圏の他の魚市場で働く

まあ、初日のあの渋滞を考えても、後者の割合も多そうに思いますが...。