セレモニーとしての国会

今週の、videonews.com では、田中信一郎氏を迎えて、なぜ日本の国会が

  • おもしろくない

のかを、詳細に分析している。
例えば、今の国会では、桜田義孝五輪相がサイバー法案担当でありながら、パソコンも触ったことがない、USBも知らない、といったことが話題になっている。普通に考えて

  • なぜなのか?

と思うわけであろう。やっぱり自民党は「馬鹿」だ、といったことなのか? いつものことなのか?
しかし、そもそも、こういったことが

  • 繰り返される

ことには、なんらかの「合理的」な意味がなければならない、と考えない人はどうかしている、ということになるであろう。
その秘密は「国会」にある。
つまり、私たちは日本の「国会」が問題であることを、有識者も含めて、あまりに主張してこなかったのは、なぜなのか、と問わなければならないかもしれないのだ!

そもそも国会の最大の機能は立法、つまり法律の制定だが、日本で可決する法律の大半を占める閣法(内閣が提出する法案)は基本的に与党の事前審査を通ったものに限られる。与党は国会の外に置かれた党の部会や政務調査会などで法案を十分に「審議」し、最終的には与党の総意として合意された法案が閣法として国会に提出されている。その段階で、法案の実質的な審議は終わっており、あとはのらりくらりとした答弁を繰り返しながら野党の追及をかわし、一定の審議時間をかければ、その法案は難なく与党の賛成多数で可決することになる。
VIDEO NEWS これが国会をつまらなくしているカラクリだ

法案が国会に提出される前段階で、部会や政調会やその他の水面下で交わされる熱い議論は、どれも基本的に非公開で、国民も野党も蚊帳の外だ。その議論が国会の公開の場で行われれば、この法律にはどういう利害衝突があり、どういう論点があるのかが国民に明らかになるところが、もっとも重要な議論は密室や水面下で行われてしまう。
VIDEO NEWS これが国会をつまらなくしているカラクリだ

なぜ、大臣が、法案を「知らない」のか?

  1. 大臣は、各派閥の「推薦」で決まる。よって、官邸は大臣の「適格性」を審査しない
  2. 基本的に法案は「官邸」主導で作成する。大臣は「蚊帳の外」である。「官邸」と「官僚」だけで作成する。
  3. 与党は、そのように官邸が作ってきた法案を、党の部会などで「審議」をするわけだが、基本的にここは、族議員の「独演会」となる。これによって、族議員は、関係団体に「言うことは言った」という証拠を残せるし、官邸と官僚は、この族議員の顔を立てるために、補助金などについて後から、こっそりと提案してくる形となる。こういった「やり取り」は、もしも国会の場で衆人環視の下で行えば、多分に、「法律違反」であろう。しかし、与党の部会は「非公開」だから、この「悪事」がばれることはないw
  4. こうして、国会に提出される法案は、絶対に与党の議員は「反対」しない。なぜなら、反対だったなら、それを部会で言え、ということになるからだ。
  5. なぜ大臣が、法案をさっぱり分かっていないのかもここにある。大臣は、前日に配られる「質問表」に対応した「答え合わせ」を官僚に作ってもらって、それを読みあげるだけ、となる。そして、一つでもそこに載ってないことを質問されると「話が違う」と逆ギレをする。国会は、「絶対に法案を変えない」場所と決まっているから、なにを言われても、「禅問答」のようなことを言い合って、はぐらかすことぐらいしか、大臣には官邸から役割を与えられていない。だから、法案を「分かってなくていい」わけであるw

立憲民主党の枝野さんとか、国会で、いい演説をしていたと思うけれど、彼なんか、この

をどう思っているんだろうね。この「システム」を破壊しない限り、日本の民主主義はやってこないんじゃないですかね?