徴用工問題の今後

今、ニュースは、日産のカルロス・ゴーン会長の特捜による逮捕の話でもちきりであるが、この話はどこか「うさんくさい」わけで、おそらく、日産社内の「クーデター」が実際のところで、それには、ルノーのフランス国家による持株比率を上げてきた近年の動きが関係しているのだろうが、いずれにしろ、もう少し、状況を見守る必要がありそうだ。
あと、ロシアとの北方領土交渉で、安倍首相が、ロシア側に、日本の年金のお金の「譲渡」のようなことを臭わせた、という話があがってきている。

安倍政権がロシアとの北方領土交渉で、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用する国民の虎の子の「年金資産」を"バーター材料"として差し出そうしていた――。ロイター通信がこう報じ、外交関係者が驚愕している。
安倍首相は「年金資産」を北方領土とバーターする気だった|日刊ゲンダイDIGITAL

すげーな。麻生副大臣外資に日本の「水道」を売り渡そうとしているし(麻生の娘が、水道外資の利害当事者らしいw しかも、東大出身w)、この、ロシアに日本を「売り飛ばす」という、恥知らずな、「売国奴」の安倍が日本の息の根を止めるのも、時間の問題なのだろうw
さて。他方で、韓国の徴用工問題は、最初の裁判から日々も経ち、少し状況が見えてきたところもある。
私の実感としては、基本的に韓国の「官邸周り」ということでは、従軍慰安婦問題の「扱い」と、徴用工問題の「扱い」では、雲泥の差があるのではないか、と思っている。
慰安婦問題の韓国との関係においては、1993年の河野談話で基本的には「解決」していた、と考えられる。ところが、安倍周辺は2014年に次のようなことをテレビ番組で語っている。

ところが2014年3月23日のテレビ番組で、自民党の総裁補佐官であった荻生田光一氏が「新しい事実が出てくれば新しい談話を発表すればよい、(安倍首相も新談話を)どこでも否定していない」「検証結果によっては新たな談話を発表すればよい」と述べた。その後、安倍首相は国会で、「河野談話を継承する」と発言したが、この事件によって日韓関係は大きく損なわれた。
徴用工判決の背後にある安倍首相の危険な対韓外交<菊池英博氏> | ハーバービジネスオンライン

この荻生田氏の発言は非常に重要である。なぜなら、これは安倍政権が河野談話を明確に「否定」するものとして韓国国内で受けとられたからだ。つまり、日本側の「姿勢」に疑いが生まれた、というわけである。
もちろん、現在の安倍政権は右側と呼ばれていることは間違いないが、いずれにしろ、過去からの政権の「継続」をもっていると考えられた。言わば、その信頼を

  • 裏切る

ものとして理解された、というわけである。そして、これを受けてというわけではないのだろうが、2015年に、突然、日韓の再度の「基本合意」がなされた。しかし、文政権になって、ここで合意されてきた財団の解散を韓国側が行った、と通告してきた、というのが、今までのところであろう。
こうやって見ると、韓国側の従軍慰安婦問題への、とても深いコミットメントが感じられる。彼らは、この問題を軽んじることができない。その意気込みだけは、日本側も分かるのではないか。
対して、徴用工問題はどうだろう?
私は、もちろん、まったく軽視していい、とまでは考えていないが、こちらについては、韓国も、それなりに「合理的」な対応をとってくる可能性があるのではないか、と考えている。

渡辺氏によると、李首相は席上、韓国最高裁が元徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を下したことについて「難しい問題が起きているが、司法の問題であって、行政として十分誠意をもって対応していきたい」と述べた。
韓国首相「誠意をもって対応」=徴用工判決は司法の問題:時事ドットコム

もちろん、李首相は、ここで何も言っていない。しかし、そのことが、文大統領が「国民向け」に日本に対して強面の姿勢を演説などでは示しているのに対して、基本的にこの問題に関しては、李首相に一任している、とも読み取れる構造になっているのかもしれない。
例えば、2017年8月14日の記事で、以下のような裁判の話がある。

日本による植民地時代に強制徴用された労働者や遺族らでつくる「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」は14日、ソウル市内で記者会見を開き、1965年の韓日請求権協定で日本から支払われた3億ドル(当時1080億円相当)の無償提供資金の被害者への返還と、1人当たり1億ウォン(約960万円)の補償を韓国政府に求める訴訟をソウル中央地裁に起こしたと明らかにした。
強制徴用被害者ら 韓国政府に無償提供資金返還と補償求め提訴 - ライブドアニュース

例えば、この裁判を韓国の最高裁はどのように裁くのかは、まったく、今回とは同じではないかもしれない。
また、以下のような動きをどう考えるか?

日本植民地時代の強制徴用被害者の訴訟を支援してきた韓国の市民団体が今月13日、詐欺の疑いで警察の家宅捜索を受けていたことが分かった。ソウル警察庁が19日、明らかにした。
強制徴用:訴訟支援団体を詐欺容疑で捜査、被害者から違法に金集めか-Chosun online 朝鮮日報

警察は同団体への詐欺罪の適用を検討している。連合会が被害者や遺族に対し「賠償金を受け取れる」と断言していたのであれば、違法行為に当たるとみている。先月、韓国の大法院(最高裁判所に相当)が、強制徴用を行っていた新日鉄住金(植民地時代は日本製鉄)に対して賠償を命じる判決を下したが、実際に日本企業が賠償金を支払うかどうかは分からないからだ。
強制徴用:訴訟支援団体を詐欺容疑で捜査、被害者から違法に金集めか-Chosun online 朝鮮日報

しかし、少なくとも一つの裁判では「勝訴」を得ているのだから、どこまで、こういった動きが「詐欺」なのかは、そんなに簡単ではない印象を受けるわけだ。しかし、少なくとも、韓国の官邸側が、あまりに裁判が林立することを歓迎していないのかもしれない、とは勘繰ってしまいそうな動きではあろう。
ようするに、どういうことか?
今までの韓国における、従軍慰安婦に対する「厚遇」に対して、徴用工関係者に比較的に「冷遇」してきた経緯は、そこまで変わっていない、ということは窺えるのではないか、と推察するわけである。
つまり、従軍慰安婦については韓国内においては「特別」なアイコンとして機能するが、徴用工はそこまでではない。しかし、だからといって、文大統領が国民に向かって「軽率」なことを言えるほどの雰囲気ではない。そこで、基本的には文大統領は国民向けの演説などでは「強面」の戦略で遠すが、抽象的な「説教」に留める。他方で、李首相を窓口にして、日本とは今まで通りに、柔軟な応答を目指す。
どういうことかというと、結局、韓国も日本も同じであるが、短期的に大事なのは「景気」なのだ。これをなんとかしないと、国民生活が立ち行かなくなる。それでは、もともこもないわけである。
しかし、ね。
相変わらず、以下のようなことを言う人が日本にはいるんだよね。

鳩山元首相はこの日、京畿道高陽市キョンギド・コヤンシ)で開かれた「アジア・太平洋平和繁栄のための国際大会」で「日本が植民化と戦犯国の歴史的事実を認め、無限に責任を負うべきだ」と強調した。
鳩山元首相「韓半島の分断は日本のせい...無限に責任を負うべき」

もちろん、鳩山元首相も、あまり「具体的」なことにまでさせてはいないというレベルでは、注意をしているのだろうが、簡単に

  • 無限

とか言うなよ、とは思うわけである。あまりにも彼は、政権中枢に置くには危険に思うのだが、本人は全然、そんなことは気にもしていないのだろう、という意味では、文大統領に似ているのかもしれない...。