津田先生の言い訳

さて。あいちトリエンナーレの件については、津田先生は最近になって、さまざまなメディアで今回の事態の説明を発信している。しかし、彼自身が断っているように、これらは

  • 公式

の発表ではない。つまり、彼自身の今回の役職の「立場」から説明をしているのではなく、あくまで、個人ブログでの記事と同列の「個人的」な立場での発信だ、と断っている。そしてそのことと、この記事でも断られているような

  • 校訂(という名の「検閲w」)

とは決して別に考えられない。しかし、とても大事なポイントだが、このインタビューをされた方は、そもそも津田のこういった「姿勢」に批判的だから、いちいち、津田が

  • なにを「検閲w」したのか

を「見える化」してくれている。そして、これによって津田が何を「隠したかったのか」が、逆に、よりはっきりと私たちに知られる形になっている。

──(中略)これまでのインタビューで「キュレーターに任っぱなしで上がってきた企画がだめだったので、芸術監督としていくつか展示作品を変えた」とお話されていましたよね。
津田:正確には「キュレーターに任せっぱなし」にしたことはありません。最初にキュレーター体制が固まったのが2017年末です。2018年の年明けから具体的にどういう作家を入れるかを決めるキュレーター会議がスタートしました。僕は2017年10月に「情の時代」というコンセプトを完成させて発表して、その時点でキュレーターの人たちに、このコンセプトを重視して、このコンセプトに合う多様な作品を選び、ドクメンタ型のテーマ性が強い国際芸術祭をやりたいと伝えたんです。当時の僕は、芸術監督は枠組みとコンセプトを作るのが仕事なので、個々のキュレーションに口を出すつもりはなかった。それは、企画アドバイザーの東浩紀も同じです。
──キュレーターを選ぶ権限はあったのですか?
津田:僕に人事権はなかったです。事務局から「この人でどうだろうか」という候補が来て、それを僕が承認した形ですね。僕の推薦がそのまま人事に反映されたのは、企画アドバイザーの東浩紀と公式デザイナーの前田豊さんだけです。
──事務局というのは実際には誰なのですか?
※氏名については津田氏の校正により削除
津田:最初に僕のところに芸術監督の依頼があった段階から、「キュレーターはこういう人にお願いしようと思っています」という話がありました。過去3回運営してきたスタッフのなかから、「こういったキュレーターを選ぶとスムーズに動くんじゃないか」という提案が内部であって進んだんじゃないかと思いますね。
あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE

──ということは、津田さんから「こういうアーティストを入れたい」ということをキュレーターたちに言ったのですか?
津田:実際にキュレーター会議で推薦もしています。美術展の66作家いるなかで、3分の1弱は僕がキュレーター会議で推薦したアーティストですね。その後キュレーターに割り当てられたアーティストもいますし、僕が直轄でやっているアーティストもいます。
──具体的には、どのアーティストなのですか?
※津田氏の校正により19名の作家名を削除
──芸術監督兼キュレーターということですね。
津田:村山悟郎さんがツイッターDOMMUNEで指摘していましたが、今回の問題は僕が「選手兼任監督」、キュレーター兼芸術監督をやっていたことによる、ガバナンスの問題であるのかもしれません。
あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE

うーん。津田は上記で、自分の役割は

  • 当時の僕は、芸術監督は枠組みとコンセプトを作るのが仕事なので、個々のキュレーションに口を出すつもりはなかった。

と言っているのにも関わらず、実際には

  • 美術展の66作家いるなかで、3分の1弱は僕がキュレーター会議で推薦したアーティストですね。その後キュレーターに割り当てられたアーティストもいますし、僕が直轄でやっているアーティストもいます。

と言っている(普通、3分の1といったら、「ほとんど」と言っているようにしか聞こえないのだがw)。

  • 枠組みとコンセプトを作る

ということは、結果として、各キュレーターの選出に対して「文句」を言う形になるわけで(なぜなら、それに適合しなければ、言わないわけにはいかない)、こうして開催されたということは、全て津田の「ジャッジメント」を経たものであることを意味している。また、津田は

  • 僕が直轄でやっているアーティストもいます。

と言っているわけで、そもそも津田は「どっちなのか」が曖昧なまま、自分の仕事を行っていることが分かる。
これは、今回の事件の「原因」を考える上で、非常に重要な指摘だ。なぜ津田は、上記19名の氏名を公開できないのか? おそらく、ここには東浩紀先生の率いる集団の
−ゲンロン関係の連中
がこまんといるだろう。そして、この「人選」を深く考察することで、なぜ今回の「事件」がこのような経緯にならなかければならなかったのかの「秘密」があると分かるだろう。だから、津田はこの、ただの「事実」を<隠蔽>することをためらわないのだw
(そういえば、思い出したけど、東先生がゲンロンでの有料の美術講座の参加者募集の動画配信で、参加すればあいトレに、かなりの確率で出展できることをメリットとして絶叫してたんじゃなかったのか? だとしたら、上記の

  • 個々のキュレーションに口を出すつもりはなかった。それは、企画アドバイザーの東浩紀も同じです。

と矛盾してないか?)

──津田さんは【お詫びと報告】のなかで不自由実行展委員会の人から『「少女像を展示できないのならば、その状況こそが検閲であり、この企画はやる意味がない」と断固拒否されました』と書かれています。僕は展示作品を何にするか決めようとしている段階での打合せでの意見はまったく検閲ではないと思うし、芸術監督とキュレーターの立場として、何を展示するのかキュレーションしている、その権利を実行しているだけだし、単に好き嫌いだけかもしれないと思います。
津田:(中略)だから「慰安婦」問題は、この企画のコアをなす部分なんですよ。それを踏まえて「表現の不自由展・その後」という企画をどう捉えるか。「表現の自由」を訴えたかったのか、それともレイシズム歴史修正主義に対する異議申し立てをしたかったのか。これは見る人によっても捉え方が異なると思います。
──交渉のプロセスで、津田さんはそれを受け入れたということですね?
津田:少女像の展示はこの企画の根幹をなすものなのだから、展示しないことは、すなわちこの企画がなくなることを意味していたということです。そのときに、「わかりました」と引き下がっていれば、現状のような事態は起きてなかったということでしょうが、まずは5人の意思を尊重しながら、この企画をどこまで通すことができるのかトライしてみよう、と思いました。
──では、大浦信行さんの作品「遠近を抱えて」については、僕は映像作品「遠近を抱えてPartII」を見ていないですが、これだけ新作ということですよね。これも、キュレーションがブレているのではないかと感じました。
津田:キュレーションの問題として、その批判は受け止めざるを得ないですね。
──なぜ押し切られたのでしょうか?
津田:(中略)大浦さんの「遠近を抱えて」は良い作品だと思っていましたし、「表現の不自由展・その後」において中核をなす作家、作品であるとも思っていたので、その作品の図録が富山県美術館によって燃やされた事実を踏まえた作品であれば、完全な新作というわけでなく、作品に付随するレファレンス的に鑑賞できるのではないかと思いました。大浦さんは「ふたつで完結するものだ」と強く主張され、それを不自由展側が了解して、僕も了解したという流れです。この判断が正しかったのかどうかは、僕もわかりません。
──お聞きしても詭弁ですよね。新しい映像作品では天皇陛下の写真が焼かれているのですか?
津田:大浦さんが自作の版画を燃やして、灰になったのを踏みつけています。それだけではないのですが、文脈を踏まえて見る分には、「自分のアイデンティティが燃やされてしまった」という悲しみが表現されていて、確かに強烈ではあるけれど、意図を説明されて見れば、なるほどと思える作品です。
あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE

こうして見ると、津田はこのインタビューを受けている時点では、どちらの作品も「良い」と言っているようにしか読めない。ところが、以前にも何度も書いたように、津田は自分は

  • 評価していない

ということを以下のような形で答えているわけであろう。

作品選択の規準は「過去の展示不許可」であって、トリアンナーレが「いい作品」と推したわけではない。津田さんは個々の作品に行政が賛意を示しているのではないとも明かした。
抗議殺到し展示中止、悪しき前例「難しい社会に進んだ」:朝日新聞デジタル

ここでの「トリアンナーレが」とは、津田が、という意味ではない、と言いたいのか? だったら、誰? というか、文脈から、津田しかいないだろう(行政の話は、その後で明示的に説明されているくらいなのだから)。ということはこれも一つの

  • 歴史修正

なのか?
作品「遠近を抱えて」は、上記で問題とされているように、今回の「キュレーション」の原則から外れている。つまり、どんな屁理屈を並べようと、これが「新作」であることには変わらない。

完全な新作というわけでなく、作品に付随するレファレンス的に鑑賞できるのではないか

もうしわけないけど、こういうものを「新作」と呼ばないとなったら、一体、何が「新作」なのだw それぞれの文脈で都合よく「定義」を変えられたら、なんとだって言えるってことになるのではないか(実際に上記では、インタビューアに「詭弁」と一刀両断されているw)。

新しい映像作品では天皇陛下の写真が焼かれているのですか?
大浦さんが自作の版画を燃やして、灰になったのを踏みつけています。

うーん。ようするに、「作品に付随するレファレンス的」といった解釈によって

  • 完全に新作ではない(ようするに、新作ではない)

といった「理屈」によって、この作品は例外として「新作」を出品されることになった。すると、明治天皇の写真を燃やして、灰を踏み付けることまでも「含めて」、一つの

  • 新作

になった、と。だったら、「表現の不自由展」において説明された「この企画のルール(過去のパブリックアートとして撤去されたもの)」なんていうものを最初に言わないで、たんに

  • 自分たちが発表したいものを発表した

でいいではないかw 「嘘」をつくなよ。作者がこうして「新作」を出してきたということは、それを津田が税金で

  • (展示の権利を)買った

ということなわけであろう。この「新作」を津田が公的お金で(展示の権利を)買ったということは、上記の「ルール」なんて関係ない。純粋に

  • 津田の作品評価

でなかったら、一体なんだっていうんだろう? というか、上記で<詭弁>と言われているわけだけれど、この問題をもう少し深刻に考えらどうだろう?

──「大至急撤去しろや、さもなくばガソリン携行缶を持って館にお邪魔するので」と書かれたファックスによる脅迫事件について教えてください。容疑者の堀田修司が逮捕されたのが8月7日ですが、被害が発表されてから被害届が受理されるまでタイムラグがあったそうですね。脅迫なのに、なぜ警察がすぐ受けつけなかったのでしょうか?
津田:これは全然報道されていないので最も誤解が大きいところですね。また、不自由展実行委とも大きく認識がずれているところです。8月22日に東京で開催された緊急シンポジウムで不自由展実行委の小倉利丸さんが「抗議電話は7月31日、8月1日からあった。我々は暴力の予告があれば警察に委ねるよう言っていた。ガソリンファックスは8月2日だが警察に届けたのは8月6日。メールについての被害届は8月14日。これはサボタージュだ」と発言され、会場からも大きなどよめきと疑問や運営側を責める声が上がったそうです。しかし、端的に言ってこれは事実誤認です。現場で何が起こっていたのかといえば、初日の8月1日から3日まで、落ち着いた展示空間とは異なり、事務局はずっとトラブル対応に追われていました。そんな中、あの脅迫ファックスが来たのが2日の早朝です。脅迫ファックスが届いたと現場が大騒ぎになり、すぐに事務局はすぐ警察を呼びました。通報を受けてやってきた所轄の警察署員がファックスを見て、ヘッダーのところにある番号が5ケタだったため、「これだと発信者はわからないね」と、そっけない対応をされたそうです。このことは後から聞いて判明したことなのですが、いずれにせよ現場に来た警察署員の対応で終わっていて、そもそも被害届を出すような状況ではなかったということです。2日夜に捜査の状況を知事とともに確認しているときに、知事から言われたのは「警察からはファックスが匿名化されていて送り先がわからないと聞いている」という旨の話を聞きました。
あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE

──でもここまで世間の注目を集めている事件なのに受け付けないって、わからないです。
津田:うーん……。それは、ぼくも同じ気持ちですよ。ただ、愛知県警は会場警備という点では非常に協力的で、イベントなどでも私服警官を何人も出してくれていて、これはとても助かっています。警察内部にもいろいろ事情はあるでしょうし、今後はきちんと情報共有と連携を強めていきたいと思っています。
──「不本意ながら組織化したテロに屈した形だ」とおっしゃいましたね。
津田:だから逮捕されたから再開すればいい、という意見もありますが、それは匿名化されたメールについてご存知ないんですよね。脅迫は、まだ続いているんです。
──中止させたのだから、彼らからすれば成果を上げたかたちですよね。いまもメールは来ているのですか?
津田:断続的に来ています。
あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー|平和の少女像問題、そして「組織化したテロに屈した」という発言の真意語る - 骰子の眼 - webDICE

まあ、ここが今回始めて公開された情報になるのだろうが、正直これは、津田がやる仕事じゃないんじゃないのか、といった印象しかない。そもそも、警察に催促したり、警察を動かしたり、彼らの捜査に協力したりって、津田がほとんど最前線で彼の

  • ネットの知識

を駆使して行うことなのか? 彼には、連日マスコミ向けに記者会見を行うとか、お前にしかやれない説明責任を果たすことの方が重要なんじゃないか。別にこんなことは、津田じゃなきゃやれない「推理」じゃない。それなりのネットの専門家なりなら、このレベルの情報は警察を促す形で集められる。
(上記では、まるで津田が警察のなしの礫の壁を津田のネットの知識で突き破った英雄譚のやうに語られているが、大事なことは、津田が指示すべき唯一のことは、とにかく、さっさと警察に被害届を受け取らせることであった。質問者が示唆しているように、今回の展示が津田自身が、警察からリスクを危惧されていたくらいなのだから、被害届を受け取らないなんて、できるはずがなかったのだw 実際、津田も言ってるように、愛知県側の促しで簡単に変わっていることもにおわしているわけだし、警察は愛知県に「匿名化」という間違った説明をしているくらいなんだから、ここを突っ込むくらいで警察の態度を変えられたわけでw、やってることがトンチンカンなのだ。)
津田が上記で「誤解」と言っているシンポジウムの件は、前回このブログで紹介したツイートのことなのだろうけど、こうやって見てきて、あれを「誤解」と言うのも、たんに見ている立場からそう言わざるをえない「見えている範囲」においての話であるだけで、津田がやっていることを、こうやって考えれば、少しも「誤解」とは思えない。
私がこのインタビューで最も違和感を覚えたのがここであって、ようするに「津田が本当に考えていたことはなんなのか」という観点から、ちゃんと第三者が整理しないと、どうしようもないんじゃないのか、という印象しか受けなかった。なんで、こんな津田が全面にでてやるべき仕事じゃないことに、津田が

  • 時間を大幅にとられていた

という「言い訳」をしてまで、何を彼は隠したかったのか...。