滅びろ、映画館

ここのところ、新型コロナ騒動によって、映画館の客行きが心配されている。
しかし、である。
こんな映画を上映している映画館に、なんで人々は行かなければならないのか?

この映画での悪役は、自分は安全なところにいて、無理なことばかり言う東電本店の役員たちであり、分かりもしないのに口を出してくる首相官邸なのだ。
といって、それは「敵」というほど大きな存在ではなく、「障害」程度だ。
その障害である「総理」を、佐野史郎が演じている。
佐野が脚本を読んで考えた演技で監督が認めたのか、監督の指示による演技なのかは分からないが、この映画での「総理」は、かなり浮いている。彼だけが熱くなり、ヒステリックにわめきちらしている。
「総理」は混乱の元凶のように、描かれている。
映画『Fukushima 50』はなぜこんな「事実の加工」をしたのか?(中川 右介) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

巧妙なことに、この映画の配役表では、佐野史郎が演じているのは「内閣総理大臣」であって、「菅直人」ではない。万一、抗議されても、「あくまで『総理大臣』であって、『菅直人』を演じたのではない」と言い逃れできるようになっている。
映画『Fukushima 50』はなぜこんな「事実の加工」をしたのか?(中川 右介) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

そういうわけで、本店へ乗り込んだときの菅首相の発言は録音が「ない」ので、正確には再現できないが、その場にいた総理補佐官のメモなどから、おおよそのことはわかり、『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』にも記載されている。長くなるが、全文を載せる(同書は紙の本は品切れだが、電子版で読める)。

「今回のことの重大性はみなさんが一番わかっていると思う。政府と東電がリアルタイムで対策を打つ必要がある。私が本部長、海江田大臣と清水社長が副本部長ということになった。これは2号機だけの問題ではない。2号機を放棄すれば、1号機、3号機、4号機から6号機。さらには福島第二サイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何か月後かには、全ての原発、核廃棄物が崩壊して放射能を発することになる。チェルノブイリの2倍から3倍のものが10基、20基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。何としても、命がけで、この状況を抑え込まない限りは、撤退して黙って見過ごすことはできない。そんなことをすれば、外国が「自分たちがやる」と言い出しかねない。皆さんは当事者です。命を懸けてください。逃げても逃げ切れない。情報伝達は遅いし、不正確だ。しかも間違っている。皆さん、委縮しないでくれ。必要な情報を上げてくれ。目の前のことも、5時間先、10時間先、1日先、1週間先を読み行動することが大事だ。金がいくらかかっても構わない。東電がやるしかない。日本がつぶれるかもしれない時に撤退はあり得ない。会長・社長も覚悟を決めてくれ。60歳以上が現地に行けばよい。自分はその覚悟でやる。撤退はあり得ない。撤退したら、東電は必ずつぶれる。」

映画での、「総理」の発言は、もっと短く、「逃げられない」と絶叫しているだけだ。
省略はいいとして、全体の主旨まで歪めているのは、どういう意図だろう。
映画『Fukushima 50』はなぜこんな「事実の加工」をしたのか?(中川 右介) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

さて。2020年にもなって、こんな

を恥かしげもなく流している映画館が、(新型コロナなど関係なく)観客も来なくなって滅びるのは、当然の結末なのではないか?
今すぐ、すべての映画館から、この映画の上映を中止させなければならない。そして、この映画に関わった連中を、この業界からしめだして、彼らを二度と映画でお金を稼げるようにさせてはならない。彼らが、こういった悪行を行うことでお金を儲けられる限り、この因果応報は続く。なんとかして、彼らを飢えて、ジリ貧にさせることでしか、この困難から抜け出せる方法はない。
そして、そうすることでもう一度、映画業界全体の健全さを回復させなければならない。それができない限り、これ以降、映画という業界が滅びていくのは、ものの必然というものだろう...。