アニメ「true tears」について

アニメ「true tears」は、2008年のオリジナルのテレビアニメであるが、緊急事態宣言で時間もあるので、アマゾンプライムで見てみた。
ちょうど、アニメーション制作が、P.A.WORKS で、この後の作品である、アニメ「TARI TARI」の作品の中で、「true tears」のOP曲である「リフレクティア」が使われていたこともあって、気にはなっていた。
作品としては、いわゆる、シリーズ構成が岡田麿里さんとなっていて、まあ、今まで見てきた、彼女独特の「くせ」のある作品といったところだろうか。

  • 主人公の眞一郎の母は、嫉妬の末に比呂美に対して、眞一郎の父と比呂美の母不倫の末に生まれた子供かもしれないといった虚言をはいていたのだが、なぜか比呂美が乃絵の兄の純と共にバイク事故を起こした時から和解をするようになる、その「理由」が説明されない。
  • そもそもなぜ、眞一郎と彼の父は、それまで、眞一郎の母の比呂美への「異常行動」を「知って」いながら、放置していたのかの「理由」が説明されない。
  • 比呂美と眞一郎は、眞一郎の母の虚言によって、お互いが「兄弟」と思い込んでいた。そのため、お互いの恋愛感情をあきらめることは「しょうがない」と考え、それぞれ純、乃絵とつきあうようになる。ところが、それが「虚言」であることが分かったため、前からもっていた「恋愛感情」に従って「つきあう」ことになる。しかし、そもそも眞一郎は乃絵に「好き」と言い、つきあっていたわけで、つまりこの「好き」は「嘘」だったということ? だったらそう乃絵に向かって、眞一郎は言うべきでは? この作品は何が言いたいのだろう? 兄弟姉妹の「恋愛」は「悪」、とか、そういうことが「主張」したい作品なの?
  • そもそも、乃絵は木の上から飛び降りて「自殺未遂」を行っている。そして、その時系列をみると、比呂美が乃絵に、かなり強烈な「嫌がらせ」、というか「いじめ」に近い行為をしている。しかし、それに対して、比呂美は乃絵に謝罪をしていない。そもそも、眞一郎は乃絵に、自分が彼女に告白したことが「間違って」いた「から」、と「ごめんなさい」をしているわけではない。つまり、眞一郎と比呂美が最終的に、いちゃいちゃするのは勝手だけど、乃絵にさんざん「迷惑行為」「侮辱行為」を行っていながら、それに対する「謝罪行為」をちゃんと行いもせず、二人の世界に逃げ込んでいる姿は「醜く」ない? あのまま乃絵が死んでいたら、眞一郎と比呂美は、それでも「幸せ」とかいう鬼畜を主張したい作品なの?
  • 作品の最後で、乃絵の兄の純が、自分の乃絵への感情が「性欲」的な領域にまで及んでいる「恋愛」なんだと乃絵に告白することで、乃絵から離れて都会で暮すことを決意するわけだが、この作品は、ここでこんなことを主張することで、何が言いたいのだろう? 兄弟姉妹の「愛欲」は「ありふれたこと」だと言いたい? めずらしいかもしれないが、そうなったら、一緒に住むことはあきらめなければならないと言いたい? 乃絵はまだ高校生の子どもであって、回りの支えが必要であることは変わらないのに、兄が「よく分からない理由」で乃絵から離れて暮すとかって、なんなの、この展開?
  • そもそもこの作品では、比呂美の両親はすでに死んでいるし、乃絵の父親も、彼女を大事にしてくれた彼女の祖母も亡くなっている。そういった「不幸」にともなう、感情の「不安定」さが、なにか「恋愛」という言葉で隠されている印象を受ける。二人にとっての、そういった「大事な人を亡くしたことによる心の苦しみ」が問題なのか、「恋愛」が問題なのかが、あまりうまく切り分けられていないから、結局それは本当に「恋愛」なのか、そうでないのかが、よく分からない描かれ方をしている。

まあ、いろいろ書いてきたけど、一番の違和感は、眞一郎が乃絵に告白して、その後、比呂美と「よりが戻りそう」となったら、ボロ雑巾のように乃絵を忘れて、眞一郎と比呂美は「最初からカップル」みたいに振る舞っているけど、それに対して、一度として、まともに乃絵に「あやまって」いないんだよね。
つまり、さ。作者は、ここで

  • 眞一郎の心の底に比呂美がいる

ということを、乃絵も眞一郎も

  • 知って

いる、ということを「前提」に話を進めているんだよね。眞一郎の「心の中」は分かっている。だから、眞一郎は乃絵に「謝らない」。でも、そういうものなの? なんで眞一郎に

  • やっぱり比呂美「の方」が好きになったから、乃絵は俺と別れることを受け入れてくれ

って言わせないの?
というかさ。理由はなんであれ、結果として、乃絵は「自殺未遂」までしているんですけど、なんでそのことの

  • 責任

について、眞一郎も比呂美も悩まないんだろうね。そして、ずっと

  • 絵本

がどうとかで、話をすりかえて、眞一郎は、さも「高尚」のことを話しているかのような、「上から目線」で説教をしている。なんなのこれ?