法に従うということ

専門家会議が、第一波の総括として、記者会見を行ったわけだが、

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その会議と、まるでタイミングを合わせるようにして、専門家会議の解散が、大臣から発表された。そして、彼ら専門家会議のメンバーは、そのことを知らなかったと、わざわざ、その会見の場で言わされている。
この、まるで「懲罰」的な仕打ちを、日本政府が行ったことは、今の日本の政治状況をよく示
している。
安倍首相にとって大事なことは、国民から批判を受けないことだ。そのために、一番簡単な回避方法は

  • 国民に情報を与えない

ことだ、というのが分かるだろう。政府はなんとかして、国民に情報を与えないための、手練手管をずっと続けてきた。どうやったら、国民をだまくらかせるか。そもそも、安倍首相が「全ての政治課題」に考えているのは、これだけなのだ。
そして、これは小池都知事についても言える。

感染予防法は「厚生労働大臣及び都道府県知事は、・・・収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報・・・を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。」と規定している。新型コロナウイルス感染症の感染が拡がり始めた2020年2月27日、厚生労働省は感染予防法に基づき、都道府県、保健所などに対して「一類感染症が国内で発生した場合における情報の公表に係る基本方針」を通知し、新型コロナウイルス感染症についても「基本方針を参考にするように」とした。そこには公表基準として性別、年齢、発症日、居住都道府県名は公表するものとしているが、職業、居住市区町村名を公表しないものとした。
この方針に最も忠実に倣っているのが東京都である。
東京都は厚労省の通知に先立つ1月31日に「感染者の行動歴をプライバシーに配慮して公表する考え方について」を決定し、居住地は都道府県名までとした。さらに感染者が急拡大するのを受けて東京都は3月27日以降、個別患者情報として性別、年齢のみを公表するようになり、職業、濃厚接触者などの情報もアップデートされなくなった。4月1日以降、居住市区町村は集計値のみが公表されるようになったが、1日遅れのため、マスメディアでは東京都のどこで感染拡大しているか、ほとんど報じていない。
それに対して大半の都道府県、政令市が感染予防に必要と判断し、厚生労働省は公表しない事項とした職業、居住市区町村名を発生症例ごとに公表しており、マスメディアも「◯◯市で何人」などと報じている。
コロナ公表情報が全国最低レベル、東京都の功罪(JBpress) - Yahoo!ニュース

私たち都民は、一体、東京のどこに住んでいる人が感染したのか、まったく教えられない。こんな

  • 情報公開

で、何を東京の人は「考える」のだろう? いつもは、「考える」ことだ大切だ、とか「啓蒙」だとか言っている、「自称思想家」たちも、なぜか、こういった東京都や政府の姿勢を批判しないで、

  • 緊急事態宣言での、自宅待機はやりすぎだ

とか、トンチンカンなことばかり言っている。つまり、奴らは都知事の「御用学者」なわけで、この事態こそ、恐しくないだろうか?
小池都知事にとって、全ては

  • 自分の人気

のために、一切の行動が決定している。それが自分の「責任」に繋がると考えた情報は、都民に教えない。この

  • 恐怖政治

をなぜ都民は追求しないのだろう?
(安倍首相は、すでに、総理を辞めるカウントダウンに入っている。そして、少しずつだが、彼への求心力は下がってきている。つまり、だんだんと、回りは彼の言うことを聞かなくなっていく。)
この専門家会議による「総括」の国民への発表を、政府は「反対」した、とニュースで伝えられている。それでも、専門家会議は、彼ら独自の判断で行った、というのだ。
つまり、そもそも、ここに「クリティカル」な問題が隠されている。なぜ、7月最初までの、感染者の増大が起きたのか? つまり、なぜ日本の海外からの人の流入を止められなかったのか? 一部の報道では、そこに

  • オリンピックのトーチ

を、なんとしても日本にもってこなければならなかった、といった話が流れている。

欧州でくすぶる中止論を封じ、日本開催を「既成事実」とする戦略が練られた。その一つが聖火を確実に日本に到着させること。安倍晋三首相は当時、面会した公明党幹部にこうささやいている。
「聖火が到着しさえすれば、延期になっても日本開催は揺るがない。日本に聖火が着くことこそが重要なんだ」
聖火の採火式は12日、ギリシャで行われた。出席した遠藤利明元五輪相は、次々と感染の火の手が上がる欧州の現実を目の当たりにした。現地の聖火リレーは初日こそ行われたが、2日目の13日に中止された。
「採火式が何日かずれていたら(聖火を日本に移すのは)難しかったかもしれない」。遠藤氏自身、フランスでの視察予定を取りやめ、急きょ帰国した。ぎりぎりのタイミングだった。
20日、待望の聖火が日本に到着。翌21日、政府は欧州を含む38カ国からの入国者に自宅待機を要請する措置を始めた。イタリアの感染者は4万7千人に達し、フランスは1万人を超えていた。
そして24日夜、日本の戦略が成就する。首相はIOCのバッハ会長と電話会談し、東京五輪の1年程度の延期で合意した。「東京オリンピックパラリンピックの中止はないということを確認した」。首相は記者団にあえて強調した。
政府が欧州からの入国拒否に踏み切ったのはその3日後だった。既に欧州各国から帰国した旅行者らを通じてウイルスは都市から地方へ拡散、感染経路をたどれない状況が水面下で進行していた。
入国制限が遅れた代償は 五輪開くため聖火到着待ち、ウイルス拡散|【西日本新聞ニュース】

しかし、もしもそんなことが理由なら、それによって、死ななくてもよかった

  • 多くの死者

の「責任」が、政府にある、ということになるだろう。
京大の准教授の宮沢先生が、最近、大阪会議に呼ばれて、急に大きな注目を集める「時の人」になったわけだが、この扱われ方は完全に

  • 御用学者

のそれだった。おそらく、こういった経験があまりなく、本人的に「まいあがった」のだろう。それは、大阪会議での議題の、「そもそも(緊急事態宣言に伴う)自宅待機は必要なかった」といった、府知事側の「持論」を補強することの

  • 目的

として、こういった主張をしている「専門家」が「いる」という例として、ひっぱり出された一人でしかなかったわけだがw、宮沢先生自身は、その頃を振り返って、藤井聡先生とのyoutubuの動画の対談では、

  • (感染者の急増に)危機感をもっていた

といったことしか言っていなかった(つまり、国民の「行動変容」の呼び掛けだけでは間に合わないかもしれない、という危機感)。つまり、リアルタイムでそんなことを言っていなかったのに、今になって後づけでこんなことを言っているようじゃ、誠実さを疑われるんじゃないか?
こういった事態の推移を見てきて、私には、まったく分からないことがある。それは、こういった「専門家」たちが、そもそも

  • 法律

というものをどう考えているのか?
今回の、新型コロナの第一波の推移は、「新型インフルエンザ等特措法」に、基本的には

  • 従って

推移していった。なぜか? それは、そういう法律があるのにも関わらず、それを実行しなかったら

  • 行政府の「不作為」

として、国民から「責任」を追求される可能性があるからだw
しかし、問題は、そもそもこの法律は、

が襲ってくるリスクを想定して作られた法律だったということにあり、つまり、そもそもこの、新型インフルエンザと、今回の新型コロナとの、さまざまな

  • 差異

が、例えば、京大の宮沢先生なんかが言っている(新型コロナは「空気感染」じゃないのだから、必要な行動変容が違う、という)違和感の根源だったはずであろう。
なぜ、これだけ、日本全体で、

  • 粛々

と国民が行動したのかは、言うまでもなく、そこに「法律」があったからだ。つまり、問題は、そもそもこの法律が、今回の事態に「適合」しているのかが問われなけれならないのに、まるで、総理大臣や都道府県の首長が

  • 独裁者

ででもあるかのように、彼らに国民に向けて、「真実」を言わせれば、

  • 全て

の問題が解決されるかのような幻想がもたれたことが、許せないわけだろう。
もしも今回の、新型コロナに対する政府の対応に「問題」があるなら、それは

  • 法改正

によって、解決されるべきだ。もしも京大の宮沢先生が、問題だと思っているなら、この「新型インフルエンザ等特措法」を、どう改正すべきなのかを言うべきなのであって、つまりは、

  • 法律作成

のための「政治運動」を始めるべきなのであって、府知事の「持論」の補強に使われる「御用学者」として「利用」されることではないわけであろう。
ところで、児玉龍彦先生もさかんに発言されている、なぜ東アジアで死者、感染者が少ないのかの仮説について、以下の記事がよくまとまっている。

米国カリフォルニア州のラホヤ免疫学研究所が新型コロナウイルス流行前(2015年から2018年)に採取した健康な人の血液を調べたところ、半数の人の血液から新型コロナウイルスを退治できる「T細胞」が検出された(6月19日付日経バイオテク記事より)。
人間の免疫機構はさまざまな免疫細胞が連携して働いている。大括りにすれば、自然免疫(生まれながらに身体に備わった免疫機能)と獲得免疫(病原体に感染することによって後天的に得られる免疫機能)に分かれるが、新型コロナウイルスに対処できるのは獲得免疫のほうである。獲得免疫も2種類に分かれ、「抗体という武器をつくる」B細胞と「ウイルスなどの異物を撃退する」T細胞がある。
治療薬やワクチンの開発などで注目されているのはB細胞のほうであるが、今回の研究結果はこれまで光が当たっていなかったT細胞に関するものである。新型コロナウイルスが出現する前から、SARSやMERSのほかに4種類のコロナウイルス(風邪の一種)が見つかっているが、半数の人たちのT細胞は、過去のコロナウイルスに感染した経験を生かして新型コロナウイルスに対応できることがわかったのである。
コロナ、体内に抗体がなくてもT細胞がウイルス撃退…アジア人の低死亡率、原因解明進む

このことについては、最初に述べた専門家会議の動画でも語られていたが、今後の第二波においては、大きく

  • 科学の研究成果

が進んでいる、ということなのだ。多くのことが分かっていって、多くの薬や、多くの治療方法が確立していって、病院の患者の受け入れ体制も整備されていって、まったく今までとは変わっていく。つまり、こういった

  • 専門家会議

の「役割」が最も重要だったのが、こういった

  • 第一波

で、何も分かっていない状況で、何を行うのか、が問われていたわけで、これからはまったく、その役割は違っていくわけで、つまり、ここに、なぜああいった、「総括」のようなことを、専門家会議が会見として行ったのかの理由があるわけであろう。つまり、ここに彼らなりの、「自分たちの役割」の

  • 一区切り

としての感慨が込められていたわけであるが、あまり国民の方には、そういった感じで受け止めている、といった様子はなさそうだ...。