(この論文については以前にも、このブログでとりあげて、このタイトルで記事も書いているが、改めて、その主張をまとめておきたい。)
最近の videonews.com では、宮台真司先生が、リチャード・ローティの話をとりあげてばかりだ。そして、おもしろいことに、最近の宮台先生の「持論」は、そのローティの
- 口パク
なんじゃないか、と思うようなことばかりを言っている。しかも、そのネタ元がどこなのかを示さずに。実際、宮台先生の多くの本の内容は、彼がその「アイデア」を誰からパクったのかを示さずに、まるで彼自身が
- 発明
したかのように書いてある本ばかりだ。おそらく、彼はそれだけ自分が「優秀」だと世間にハッタリをかましたいのだろうがw、嗤えるくらいに彼を世間の皆様は、リスペクトをもって、あがめたつまつってくれない。
これとほとんど同じ状況にあるのが、東浩紀先生だろう。彼の主著である『観光客の哲学』は、そのクライマックスでローティについての言及がある。ローティこそ、自らを「ポストモダニスト」を自称した人はいないわけで、そう考えれば、東先生の言っているかなりのことは、ローティの口パクであるのに、なぜかゲンロンなんとかという、東浩紀ファンクラブの人たちは、そのことを考察しない。
今さら言うまでもないが、宮台先生は、
- 重武装主義者
である。つまり、「日本は軍隊を拡大しろ」と言っているわけで、つまりは、
- 日本は「戦前の陸軍・海軍を復活させろ」
と言っているのと変わらない(そもそも彼は、マスコミで言論活動を始めた最初の頃から、自らを「天皇主義者」と述べているわけで、つまりは「戦前復古」主義者なのだ)。同じように、東先生も、憲法2.0という、ゲンロン憲法創案で、自衛隊を廃止して、「軍隊」を復活させることと、天皇を日本の
- 君主
にすることを主張した。二人に共通することは、一見したところの自らを「リベラル」と自称しながら、こと、日本の
- 重武装化
に、「ロマンティック」な
- 希望
を語り続けてきた二人であることが特徴であろう。
さて。こう考えてきたとき、なぜリチャード・ローティが重要なのかというと、ローティこそ、一方において、自らを「リベラル」と自称しながら、他方において、ある意味での
- 侵略戦争を肯定した
人だったからである。
まず、ローティは自らの立場である
- リベラル
を以下のように、それが
- 急進派=極左
と「対立」する立場、いう形で、「反左翼」として「定義」をする。
急進派----合衆国についての彼らの見方はノウアム・チョムスキーやゴア・ヴィダルの書き物から引き出される----の視点からすれば、この傲慢さは、われわれが結局合衆国の仮面をはがして、その本性を万人に明らかにした結果である。だが、私のようなリベラルの視点からすれば、それは、われわれが二〇〇〇年にとりわけひどい大統領を選び、二〇〇四年に彼を再選した結果である。
つまり、ローティは左翼は「駄目(だめ)」という立場になることによって、必然的に自らを、ある種の
- 保守派=右翼
として定義するわけである。
合衆国には他国に干渉する権利はないと言うチョムスキーに、われわれは同意しない。独裁者に支配された国を制圧してそれを民主国家に変えるために民主諸国の軍事力を使用することは、左派的視点から完璧に擁護できるとわれわれは考える。侵攻に対するこの弁明は、とりわけ、ナポレオン、ムッソリーニ、スターリン、毛沢東、アイゼンハワー、ニクソン、そしてブッシュによって、不当に使われてきたが、だからと言って、それは不当に使われるしかないというわけではない。左派であるということは、国際協調主義者であるということである。そして、国際協調主義者であるということは、キム・イルソン、サダム・フセイン、ピノチェト、ミロソヴィッチ、ムガベのような人が自国民や近隣の国民を迫害しているとき、世界の残りの人々は彼を打倒するように試みるべきだと信じることである。
ローティは、このように、ブッシュ大統領がやったような「侵略戦争」は、むしろ
- (それを行たのが自分のような「リベラル」だったら)正しかった
と主張したわけである。彼は、そもそもアメリカの歴史は
- 「基本的には」誇りにできるような「正しい」歴史だった
と考える。それは「古き良きアメリカ」というわけで、アメリカには、(今回のブッシュのような例外を覗けば)「正義」があった。
しかし、他方において、ローティは以下のようなことも言うわけである。
これ[ベトナム戦争]がきっかけとなって、ユナイテッド・フルーツ・カンパニーの利益を危うくする政策を取ったグァテマラの左翼政権を一九五二年にCIAが転覆させて以来、ラテンアメリカの人々には合衆国がどのように見えたかを、われわれは反省するようになった。
つまり、アメリカは「ダメだったときは反省してきたから良い」と言っているわけであるw しかし、本当に
- 反省
してきたのだろうか?
それは、今回の BlackLivesMatter を見ても考えさせられるわけであろう。
一方、アフリカではなく日本や韓国、中国、ベトナム、シンガポールなどアジア諸国に移住する黒人たちもいる。日本に住む黒人系アメリカ人男性のユーチューブチャンネル『ブラック・エクスペリエンス・ジャパン』では、日本をはじめとしたアジア諸国に移住したアメリカの黒人たちにフォーカスを当て、その経験をインタビュー形式で伝えている。そのなかには、日本で安全に安心して暮らせることや、警察が親切に接してくれることに感銘を受けたと話す人もおり、日本人にとっては当たり前ともいえる経験を喜び、満喫する様子が伺える。またショッキングなことに「アメリカには二度と戻らない」と話す人も多い。
皮肉なことに、アフリカやアジアで味わえる「普通に暮らす」という感覚が、祖国であり世界一の先進国でもあるアメリカでは味わえないと感じる黒人系アメリカ人たちが多いのは明らかである。
「アメリカでは二級市民」アフリカやアジアに移住する黒人たち | NewSphere
ローティの言う「古き良きアメリカ」って、ようするに
- 白人
のことなんじゃないのか? アメリカがなぜ「グァテマラの左翼政権」を転覆したのか? それは、まったくもって
- 正義
のためじゃない。徹底的なまでの
- アメリカの利益
のために過ぎない。というか、そもそもアメリカ政府が、国外において行った行為において、一つでも、「正義」から行われたことなんか、今だかつてあるのだろうか?
よく考えてほしい。
上記で、ローティは「キム・イルソン」を挙げている。つまり、「北朝鮮」である。もしも、今もローティが健在で、(ローティが「リベラル」と考える)民主党が政権をとっていたら、
というわけなんですよ。少なくとも、ローティは、そのために、生涯を賭けて、ロビー活動をやった、というわけなんです。
しかし、なぜ今、韓国がここまで北朝鮮に対して、「親和政策」をとっているのかといえば、もしも北朝鮮で
- 戦争
が起きれば、韓国にとって
- 甚大な被害
がハンパない、ことが分かっているからでしょう。しかし、ローティ主義者の宮台先生も、東先生も、ホンネでは
と考えているわけです(実際、東先生は、日本の自衛隊がアフリカの貧しい国々に「派遣」して、もっと国際平和のために働く組織になって、自分が自国を「誇れる」ようになってほしい、といったようなことを、対談で語っていわけでしょう)。
そもそも、宮台先生も東先生も、戦前の日本の陸軍、海軍をまともに批判したことがあるんでしょうか? 宮台先生も東先生も、戦前の日本の侵略戦争が
- 悪かった
と思っているんでしょうか? 宮台先生も東先生も、あの「満州事変」でさえ、日本は「正しかった」と言っているんじゃないんですか? というか、そうでない限り、宮台先生の「天皇主義者」って、意味不明なわけでしょう...。
後記:
宮台先生も東先生も、戦前の日本の東アジア侵略を一度でも否定したことがあるんですかね。今だに、中国を日本は「支配すべき」と考えてるんじゃないですかね…。