八割おじさん vs「自殺が増えるぞ」おじさん

今週の videonews.com はライフリンク清水康之さんの久々の登場だった。まあ、ようするに何が言いたいか分かるだろう。
宮台先生の狙いとしては、前回の高山義浩先生の回で、新型コロナは、日本はアメリカの百分の一で、「たいしたことはない」と言い、今回で「むしろ自殺の方の影響の方が大変だ」と、社会学者の面目躍如よろしく、びしっと安全厨として決めたかったのだろう。
ところが、前回の高山先生の議論は、80歳以上は感染すると7人に1人が死ぬわけで、インフルエンザならその10倍だとしてもおおげさだ、と。しかも、なぜ日本の死者が少ないのかの原因に、日本における徹底した、介護施設の「二十四時間以内」「全員」の「PCR検査」が言われて、つまりは、徹底した「PCR検査」を日本が行っていることこそが、

  • ファクターX

だった、という身も蓋もない話に合意させられてしまったわけだw(しかも、スウェーデンの100万人あたりの死者がアメリカを超えてきているわけで、なにがスウェーデン方式だ、って話でしょう)
そして、今回である。
ていうかさ。そもそも、月別の自殺者数を見ると、10月は2200人を超えて大変だと言ってたんだけど、直近の発表が放送直前にあったんだって。それで、11月は1800人くらいに

  • 大幅に落ちている

んだよね。これ。ものすごい「落ち幅」だよね。もちろん、それでも去年よりは高い、とは言うことはできる。
ただ、さ。
すごく大事なポイントだけど、自殺者はそもそも、日本では、この10年で、ずっと

  • 減少傾向

だったわけ。そう考えると、高めの傾向だけど、ここ10年で比べると、極端に高いわけではない。
しかも、最もコロナが日本で問題になった4月から6月は例年と比べても

  • 極端に少ない

から、むしろ、男性においては、例年より少ないくらいだ、というわけ。

清水康之:同時に、自殺を考えていたような人たち、死にたいと相談を、たとえば我々の団体のほうにしてきていたような方たちが、この時期は、ちょっとほっとした、というんですよね。なんでかというと、自分だけ、社会からおきざりにされていた、自分だけ、こんなしんどい状況にあると思っていたのが、今、他の人たちも、社会全体も同じようになっていて、ちょっとほっとした、っていう。
ようやく見えてきたコロナ禍と自殺の関係(清水康之NPO法人ライフリンク代表) -マル激

(まあ、そうだよね。京大の宮沢准教授なんて、完全に「勝ち組」なわけでしょ。大学の先生になって、たくさん研究をやって、一定の発言権がでたから、ツイッターで不規則発言を繰り返しても、大学を解雇されないで、「言論の自由」を謳歌しているw

  • 楽しそう

だよねw 少なくとも、毎日が充実して見える。典型的な

なわけだw そういう人が「自殺をする人がかわいそうだ」とか、お前が「楽しそう」にしていることの方が、自殺衝動に苦しめられている人をおいつめていることをわかんないのかね。)
さて。では、なぜ7月と10月に女性の自殺者が増えたのか、ということだけど、清水さんはライフリンクという自殺相談のNGOをやっていたり、その関係で政府の仕事をしている関係で、国や警察がもっている自殺者の情報を見せてもらったんだよね。そうすると、その分析で、その大きな要因が

  • ある男性俳優と、ある大物の女優の自殺

が「ひきがね」になっていたことが分かった、と言うんだよね。
(これって、象徴的な話だよね。京大の宮沢准教授は、どう考えても、今の政府のもっている「内部情報」にアクセスできていないわけでしょう。なんらかの情報をもっていて、でも人前では言えない人が困った感じで断言口調で言うときは、なにか事情があるという可能性があるけど、そうでないなら、いくらでも理由を説明すればいいのにやらない。こういう人の言う「デマ」に踊っちゃダメだよ。一歩引いて、「まゆつば」だと思わないと。
ようするに、大学で多く論文を書くと、一定の発言権がもてちゃうわけ。そういう人は、よく街中で見かける「迷惑おじさん」と変わらない人になるんだよね。なにを言っても、怒られない。そもそも、こういう人を怒れる人が世の中にいないわけw まあ

  • 無敵

だよね。この前の、アベマTVでの、5ちゃんねるの、ひろゆきとの会話の最中に、急に、自分で勝手にキレておいて、放送事故をおこしたのを見ても(これで、大手のテレビで生放送は無理になったよねw)、むしろ、日頃から滅茶苦茶な主張をしても、だれも周りが彼を怒れないのが「大学教授」という醜い職業の末路なわけだ。)
つまり、

  • マスコミ報道

が「ひきがね」を引いた、と。というか、さ。国連も昔から、さんさん、「自殺報道」でなにを注意しなければいけないのかを発言し続けているんだよね。でも、日本のマスコミは言うことを聞かないし、今もずっと行っている。
自殺衝動に苦しめられている人たちは、多くの場合、長い年月を、それに耐えてきているんだよね。もちろん、そこには、うつ病が関係している割合も多い。でも、最後の「ひきがね」は、公の場での、だれかの

  • 不用意な発言

の場合が多いんだよね。それに背中を押された形になっている。

清水康之:この、今私がお話したことは、このデータから言えるわけではない。いろんな相談を受ける中で、40代、30代の女性から、自殺報道の影響が非常に大きかったというような、自分がそうやって亡くなる姿をイメージ、容易にできてしまう、とか、自分がその報道を聞いて、もって行かれそうになる、ようするに、自殺の方に行ってしまいそうになる、とか、今まで、過去にうつ病になって死にたい思いがあった。それがずっと、おさまっていたんだけど、自殺報道に触れたことで、きっかけにして、また、自殺に対する思いがよみがえってしまった、っていうような、そうした相談が、いまだにあります。
ようやく見えてきたコロナ禍と自殺の関係(清水康之NPO法人ライフリンク代表) -マル激

もちろん、女性の自殺の微増のトレンドに、新型コロナは関係している。言われるほど、正社員の解雇が今のところまで少ないわけだけど、おそらくそれは、政府の補助金が効いていると思われる。しかし、

は、その網の外だから、野放図に解雇されまくっているんだよね。そう考えると、女性が非正規社員の割合が多いんだから、そうなる。
しかし、それを言うなら、なんでGoToトラベルとGoToイートだけなんだ、というのは誰もが思っていることだよね。アパレル関係だとか、壊滅的な業界は多いわけで、やるならバランスよくやれよ、って話なわけだ。
いずれにしろ、今後のトレンドに注意が必要という程度には、ここ10年の減少トレンドから微増トレンドに変わっているということでは注意がいるけど、もう目の前にワクチンの話もでてきているわけでね。しかも、株式市場とかには、馬鹿みたいなお金をずっと投入し続けているのを考えたら、ワクチンまでの何ヶ月だけでも、直接、家庭にお金を配れないのかな、とは思いますよね。
しかし、ね。
私は、そもそも、ある言説を疑っているんだよね。それは、以下なんだけど。

ピーク後は、景気が回復し、失業率も低下していくが、年間自殺者数が19年度の水準に戻るまで、19~27年間かかり、自殺者の増加数は累計14万~27万人になるというのだ。
【新型コロナウイルス】コロナ不況で自殺累計27万人増 京大研究グループ衝撃試算|日刊ゲンダイDIGITAL

京大の藤井聡先生と宮沢先生は、西浦先生の「八割おじさん」の、死者40万人予測を批判したわけけど、自分たちだって、似たような、死者20万人予測をして国民を「脅して」いるんだよねw
この二つ。なにが違うんだろうねw
たんに「脅す」だけなら、西浦先生も、藤井先生も宮沢先生も変わらない。そうじゃなく、そうやって目の前に予測されるというなら、

  • なにをするのか

が問われているわけであろう。もっと、野放図の経済支援や、個人保証をやるべき、というのもあるだろう。しかし、もっと直接的には、

  • 自殺相談

なわけであろう。そういう意味で、上記のライフリンクの清水さんの活動は重要になってくる。しかし、彼らが、そういった活動に興味を示したなんて話、聞いたことがあるだろうか?
しかも、だ。藤井先生が今まで何を言ってきたか。

佐藤:「僕は、自粛させられていることで、山ほど嫌な思いをしています」と宣言した文章(https://the-criterion.jp/mail-magazine/m20200706/)ですね。で、何が嫌なのかというと「いつも行ってる釣りにも行けない」と書いてある。
中野:ちょっと何言ってんのか分かんない……。
適菜:「いつも行ってる酒場には行けない」「行こうと思ってたライブも中止になったし、やろうと思ってたライブも中止になった」「新入生歓迎のコンパだってできないし、今年行こうと思ってたイタリア出張もいけなくなった」「社交をもたぬ人々は、自粛のデメリットが分からないから、すぐに自粛しろと言いがちになる」と。それで「『やりたいことが(家族と職場以外)特に無い、自粛は嫌じゃ無い人々』は、そういう、コロナ自粛で苦しめられている人と、全く個人的な付き合いを持っていない」と意味不明のレッテルを貼るわけです。「そしてそんな大切な社交が分からんようなガキは、大人の社会のあり方を決定する(尾身氏の言うような)自粛論に参画しちゃいかんのです」と。自粛している人もそれぞれ事情があるはずです。社会のことがわからないガキは一体どちらなのかという話ですね。
新型コロナがあぶり出した「狂った学者と言論人」【中野剛志×佐藤健志×適菜 収:第1回】

やりたかった「釣り」ができなくなった。政府の新型コロナ対応のせいだ。どうしてくれるんだ。やだ、やだ、やだ。なんとかしろ。
こんな、「自分の欲望のことしか考えていない」人が、なにを言ったって、説得力ないですよねw 

「また炎上しそうだが…」とした上で、収束を早めるための一つの方向性として「お年寄りと免疫が下がっている人を隔離し、50歳以下で健康な人はなるべく外に出して、感染を早めてもらうということだ。だだ、そうすることで50歳以下の人の中で亡くなる人が出てくるので、批判をかなり浴びると思う。しかし、そこまでしなければ収束しないのであれば、結局トータルの死者数はほぼ同じだと思う。やはり、"ボタンのかけ違い"があると思う。ウイルスとうものの本質を見誤り、人権の問題や検査技術の進歩もあって、"一人も死者を出さない"というバイアスが働いてしまった。そのため、"1万人の犠牲を出せば止められる"といったコンセンサスを取れず、世界が大混乱している。仮に1万人の死者を許容するのであれば、日本においてももっと簡単に収束させることができたのではないか」と話した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
コロナ収束を早く迎えるための“逆転の発想”? 京大准教授・宮沢孝幸氏の「ウイルスの本質を踏まえた戦略」 【ABEMA TIMES】

さあ、みんなで「1万人」を殺して、彼らの「いけにえ」の代わりに

  • ハッピーな今まで通りの日常

を続けよう、だってさ。じゃあ、誰を「いけにえ」にしようか、基礎疾患のある人、80歳以上の人、だって。
そりゃそうだ。80歳以上は、感染すると7人に1人が死んでいる。そんな状況で、誰が

  • 日常を取り戻せ

とか言ってるの? 今まで通りの日常をやったら、間違いなく、一緒に暮している80歳以上のおじいちゃん、おばあちゃんは、「7人に1人」の確率で死ぬ。
そこまでして「釣りがしたい」とか言っちゃう感性が、さすが大学という象牙の塔の人たち、ってことなんですかねえ...。