上昌広『日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか』

日本の新型コロナ対策は、一言で言えば、

  • 世界の医学界のグローバルスタンダードを無視した

ことに特徴がある。

新型コロナウイルスのような新病原体が発生したときに、厚生労働省で窓口になるのが結核感染症課です。検疫法と感染症法を所管しています。日本の新型感染症対策は、この2つの法律を根拠に実施されます。国立感染症研究所と連携して感染経路を調査するのも、この課の仕事です。ムラの中核は、感染研とこの結核感染症課です。

では、日本で最初に新型コロナが発見されたとき、厚労省がどういった対応を行ったのか、が以下だ。

積極的疫学調査とは、感染者が確認されたらその周囲の濃厚接触者も探し出して検査し、感染が確認されれば、感染症法に基づき、強制入院させ、そうでなければ一定期間の自宅待機を要請する措置のことです。実施要領では、濃厚接触者について、同居者、防護具なしに患者の診察、処置、搬送等に直接かかわった者などと詳細に例示しました。

この方法は潜伏期が短く、特徴的な症状を呈するコレラやペストなど古典的な感染症には有効です。例えば、コレラの場合、潜伏期は1日程度で、感染すれば必ず「米のとぎ汁様」と言われる下痢を起こすので、感染者を見逃すことは少ないのです。ただ、新型コロナウイルスは、症状の出ない無症状感染者という人たちが広範に出てくる全く別系統のウイルスです。
今回のやり方では、検査を中国から帰国した感染者と濃厚接触者に限定することになってしまい、結果的に潜伏期や不顕性感染の患者を検査対象から漏らし、そこからの感染ルートを野放しにすることになってしまったのです。
次に1月28日です。厚労省が新型コロナを感染症法上の指定感染症の「2類感染症並み」に政令指定しました。重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)と同じ2類指定でしたが、これにより無症状感染者であっても、つまり医学的には入院の必要がなくても、感染症法に基づいて強制入院させられることになったのです。

そうです。新型コロナは潜伏期間が長く、無症状者が多い。症状が出ている人も、基本的には軽い人が多く、一部の人が重症化するという特性を念頭に置いた対応になっていなかった、と言えます。確かに濃厚接触者は徹底的に検査されました。だが一方で、濃厚接触者という該当要件から外れた一般の発熱患者に対しては、PCR検査を厳しく抑制することになってしまいました。

うーん。
日本で最初に新型コロナが発見されたとき、厚労省はその未知のウイルスに対して

を適用した。しかし、そもそもこの法律は、上記の引用にもあるように、もともと

をベースに考えられた法律であるため、最初から

  • ほとんど感染者を見逃すことを、まず、考える必要がない場合にのみマッチする

タイプのものであった。ところが、新型コロナは

  • 大量の無症状者が存在し、しかも、その中のごく一部が「スーパースプレッダー」になる

という特徴があった。
こう考えれば、だ。
普通に考えて、濃厚接触者を探していく、コレラやペストの方法は限界がある、ことが分かるだろう。

科学誌「ネイチャー」は2020年7月9日号に「コロナの対策は感度より頻度が重要」という記事を掲載しました。この記事では、PCRの感度が不十分な点(30〜50%を誤って陰性としてしまう)を、検査を繰り返すことで克服しようとしています。
具体的には、PCR検査を毎週実施することを推奨している。ハーバード大のチームの研究も紹介していますが、2週間に1回では駄目らしいのです。日本にいると想像できませんが、世界ではPPCR検査の実施回数を懸命に増やしています。例えば、米バスケットボールリーグNBAは毎日、野球の米大リーグMLBは隔日、サッカーの英プレミアリーグと独ブンデスリーグは週2回、PCR検査を受けることが義務付けられています。

そう。新型コロナにおいては

  • 何度も何度もPCR検査を行う

という方法が、世界の最高峰の学術雑誌が認めたアプローチ方法だった。
ところが、である。
日本は、この世界の最高峰の学術雑誌が認める方法を、なにがなんでも反対した。
これは驚くべきことである。
日本の厚労省は、世界に「敵対」している。世界の最高峰の学術論文を読まず、勝手に自分たちで、マイルールを作って、なぜかみんなで「これが正しいんだ」と信じて、つっぱしった。
では、なぜ厚労省。医系技官たちは、ここまで意固地になって、PCR検査の拡大に抵抗したのか?

郷原信郎 今だに、PCR検査って抑制されたままですよね。
上昌広 だって、保健所が医系技官の天下り先なんですよ。地方衛生研究所が、感染症研究所の幹部の天下り先なんで、なくなったら困るじゃないですか。
【上昌広医師と考える「日本のコロナ敗戦」“失敗の本質”~「東京五輪インパール作戦」に突入か】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#80 - YouTube

まあ、そういうことなんだわw
まず、医系技官という、厚労省の中にある、200名あまりの組織がある。彼らは、法律の専門家ではない。つまり、法律を作る技術を買われて官僚になったのではない。つまり、彼らは

  • とりあえず、医者である

という理由だけで、ある意味で、誰でもなれる。しかし、である。そもそも、医療の世界において、たかだか医者であるという資格をもっているだけでは、世界の最先端の研究についていけない。つまり、医系技官たちは、専門家としても、まったく役に立たない、中途半端な人たちでしかない。
ところが、彼らは「官僚」である。つまり、彼らには一つの「目標」がある。それが

であるw 彼らが老後を安穏を過すためには、なんとしてでも、天下り先を探さなければならない。しかし、彼らの天下り先なんて、

  • 保健所

くらいしかないわけだw よって、彼らの至上命題がここに決定する。つまり、

  • なんとしてでも、新型コロナ対策によって、「保健所の人員増大」の要求が通るように、人心を誘導しなければならない

と。だから、どんなに、新型コロナにとって、保健所が役立たずだったとしても、

  • 絶対に保健所を通させる

という運用にした。こうすることで、「保健所の機能拡大が必要である」ということを、なんとしてでも、国家に認めさせようとした。
ところが、である。
言うまでもないが、世界でこんなことをしているのは、日本だけであるw 実際に、保健所は目づまりを起こした。当たり前であるw わざわざ、保健所を通そうとするから、全てが回らないのであって、諸悪の根源が保健所であることは自明だった。
もしも、そういった保健所的な窓口が必要だというなら、

  • 民間に委託をして、大規模なリソースの拡大を実現する

ことが必須なわけであろう。しかし、そうならない。馬鹿の一つ覚えのように、保健所が回らなければ回らないほど、意地になって、保健所を介そうとした(保健所の仕事を他の民間の施設が行った時点で、保健所の独占は崩壊する)。
そこで、何が起きたか?

  • 保健所が回らないがゆえに、次々と治療が間に合わないがゆえに、重症になっていく患者が増加していった
  • なんとかして、保健所の負担を減らそうとして、そもそものPCR検査を「やってはいけない」と言い始めた。重症じゃないとやってはいけないw さらに、「症状があっても4日は家で我慢しろ」と、本気で偉い人たちが言い始めたw

まあ、当然だが、新型コロナの最新治療法は「早期発見早期治療」なわけで、これに真っ向から反対している。次々と、自宅で危篤状態になる人が後を断たなくなって、重症者が深刻な症状になるまで放置される、最悪の患者が続出した。

上昌広 アメリカのファウチさんという、よくでる、尾身さんのポストの方は、この世界でネイチャーとかサイエンスという一流誌だけでも、40本以上でているんです。尾身先生は、筆頭者の英語論文が人生でたった一つなんです。ファウチさんは千以上あるんです、論文が。もうこれは、大谷選手と、土日の草野球のおじさんくらいの差があるんですよ。そのファウチさんというのは、トランプとまっこうから戦ったんです。トランプ落選の大きな理由はファウチさんなんじゃないかというのがCNNが言ってるんですね。
【上昌広医師と考える「日本のコロナ敗戦」“失敗の本質”~「東京五輪インパール作戦」に突入か】郷原信郎の「日本の権力を斬る!」#80 - YouTube

つまりは、こういうことなわけだw 日本の新型コロナのトップは、世界の最先端の医学水準から見れば

  • 無名の素人同然

だというわけだw こんな連中が、世界の最先端の研究からは、まったく考えられない、トンチンカンなことを言い続けて、まったく、恥かしさを示さない。なぜなら、もともとが、そこまでの能力もない人たちだから、自分がどこまでも、無知をさらし続けているのに、自分で自分に気付かないのだw
有名なカントの『啓蒙とは何か』というエッセイがあるが、そこで

  • パブリック

と呼ばれているのは、私たちが一般に考えているパブリックではない。つまり、私たちが通常の意味で使う「公的」という意味ではない。そうではなく、このことを究極的に象徴して表象するなら、それは

  • 個人としての私たちが「論文」を発表すること

と、定義している。
よく「ニセ科学批判」ということが言われた。しかし、そういうことを言っていた連中こそが、誰もが認める、原発御用学者であったことが3・11以降、白日の下にさらされたように、もともと

  • 科学の定義

とは、その分野における

  • 最先端の「論文」を、コンスタントに発表している

人たちの言っていること、と同値なのだ。そういう意味では、「ニセ科学批判」者は、まったく、その水準には足元にもおよばない連中だった、ということなわけで、五十歩百歩でしかない、というわけだ。
日本には「ファウチ」がいない。尾身とかいう、「この程度」の、学者でもなんでもない、中途半端な、実務畑のテクノクラートでしかない。こんな奴が、ファウチと並び称される価値など、最初からなかったのと同じように、日本の新型コロナ対策の

  • レベル

など、たかだがこの程度だった、というわけだ...。

日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか

日本のコロナ対策はなぜ迷走するのか

  • 作者:上 昌広
  • 発売日: 2020/11/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

追記:
京大の宮沢準教授が、日本の感染者はイギリスの感染爆発が収束した今の数と、ずっと変わらなかったと言っているわけだけど、さ。次を見てほしいんだよね。

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人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【世界・国別】

百万人あたりの7日間の新規の死者数が、日本は6.3で、イギリスが0.6。つまり、どういうことかというと、日本は

  • ずっと、PCR検査を少ししかやろうとしてこなかった

ということを意味しているわけ。PCR検査をやらないから、死者の割合がやたら高い結果になるの。そして、ずっと日本はこうなわけ。これを分かって、宮沢ってわざと言っているのかな? 恐ろしい悪魔だよな...。