プーチンがウクライナ戦争でしかける国際エネルギー問題

そもそも、なぜロシアがウクライナに軍事侵攻したのかは、プーチンが演説で何を話したかでは説明できない理由がある、と考えるのが普通だと思われる。なぜならプーチンが軍事攻撃を行った理由を、ウクライナに対するロシアにとっての「国益的メリット」で探してみても、あまり見つからないからだ。ウクライナの人を何人殺しても、別にそれで、ロシアが儲かるわけではない。どっちも軍事費にお金を大量に使って、貧乏になるだけ。つまり、そういった観点だけで考える限り、どうしても、ロシアの行動を合理的に説明できない。
ということは、ロシアには、まったく別の目的がある、と考えるべきだ、ということになる。
その一つは明らかに、エネルギーの世界中での大変革だ。

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もともと世界は、脱炭素を進めるというのが急激だったため、原油価格が跳ね上がってしまっていた、という土台があった。
まず、今回のロシアの侵攻の直前の2月に、ヨーロッパは自然エネルギーへの転換までの、トランジッションエネルギーとして、原発天然ガスを使うと決定している。しかも、ロシアはウクライナ原発を攻撃している。
こういった状況を考えると、ロシアの今回の軍事侵攻は、この世界のエネルギー政策の大転換を「狙って」、それに対するなんらかの「効果」を考えて行われた側面があるんじゃないか、と分析する。
ヨーロッパは今、ロシアから天然ガスを四割買っている。そのため、今、ヨーロッパはこれだけの経済制裁をやっているといっても、この天然ガスの購入は止めていない。しかも、swift からのロシアの排除と言っていながら、この天然ガスを買っている所との、swift は止めていない。
これは、そもそも、四割なんていう、あまりにもの膨大な量を依存しているのだから、そんなに簡単に止められないのだ。この「やめられない」さ加減が、どうしても日本なんかにいる人には分からない。
しかし、今年中にヨーロッパはこのロシアからの購入の3分の2を減らすと決めている。しかし、そう言っているが、そんなに簡単に止められるとは思えない。この「目標」も、どこまで達成できるかは疑わしい。それだけ、現状でここまで依存しているというのは、大きいインパクトがあって、そんなに簡単に止めることなど起きえない、ということなのだ。
では、ロシアはヨーロッパが天然ガスを買ってくれないようになったら、外貨を稼げないので、困るのではないかと考えがちだ。しかし、おそらくロシアは中国が、天然ガスを買ってくれる、という契約をしている。まだ、中国との間のパイプラインは一本しか通っていないが、近いうちには、もう一つ通るわけで、これによってかなり、ヨーロッパの代替が可能になる。
サハリン2は、日本にまで運ぶのに二日しかかからない。中東からだと二週間かかる。
なんで、サハリンに日本がこだわるのかというと、日本のLNGはホルムズ海峡かパナマ運河を通る。オーストラリアとかを除くと。ホルムズ海峡は中東で紛争があると止まる。パナマ運河は渋滞して通れなくなることがある。これが怖い。
もしもヨーロッパがロシアの代替として、世界からエネルギーを買うとすると、スポットになるため、日本が世界から買っているLNGの何十倍にもの値段になる、と言われている。そして、これだけの量を供給できるのは、アメリカくらいだ、という。今、アメリカのLNGの値段が高騰している。
そういった視点で見ると、今、アメリカの軍需産業の株価が高騰している。
こうやって、冷静に世界を眺めると、

という、残酷な状況があるわけだ。
さて。この事態を目の前にして、日本やヨーロッパがたんに「アメリカの味方」とか言っているだけでいいのか、というのは本気で考えなければならない。
あのさ。
この前の、アメリカ議会での、ゼレンスキーの演説だが、ここでゼレンスキーは「動画」を流しているわけだが、この動画があまりにも、ひどすぎる。なぜか、これがニュースにならない。
サブリミナル効果を狙って、一瞬一瞬に、子どもが残虐に傷つけられている映像を挟んで、明らかに、映像の「心理学的な効果」を狙って、ゼレンスキーはアメリカの代議士たちをマインドコントロールしようとしている。
普通に放送倫理から考えたら、絶対にこんな映像は作ってはならないし、禁止されているわけだが、ゼレンスキーは平気でこういう映像を使っているわけで、これがどれだけ恐しい事態なのかを、真剣に考えなければならない。
こういったサブリミナルを、絶対になめてはいけない。今の日本も、何度も何度も、そういった子どもの映像をテレビに流して、いかに、ロシアが「残虐」で、今すぐにでも、ロシア人を全員殺さなければならないか、といった感情をエスカレートさせる情報を流し続けて、ヒートアップした世論を作ろうとしている。もう、テレビはどこを見ても、ロシアが悪で、ウクライナが善で、全部統一されていて、それに疑問をはさむ一切を、「ロシアのプロパガンダ」「ロシアの情報工作」「ロシアのデマ」として、

  • 排除

して、もはや、一切の正常な判断ができなくなっている。
どこを見ても、頭に血が上り、かっかかっかした人ばかりで、今すぐ、ロシア人を絶滅させろ、と、その辺にいる、普通の一般人が好戦的な感情を発散させている。
しかし、日本は当事国ではない。しかも、これによってアメリカのように、「儲かる」ということもない。アメリカに盲目的についていくことは、まったく、日本の国益にならないわけである。
今回はロシアがしかけたが、これに乗ることには、アメリカにとっての国益がある。つまり、アメリカはロシアがこのまま、戦争を継続してくれた方がいい。上記から分かるように、ロシアが続けてくれればくれるほど、アメリカの企業が儲かるわけである。
しかし、ヨーロッパと日本はそうじゃない。
こうした場合、日本やヨーロッパは、このまま、アメリカの言う通りに振る舞っていいのか、を考えた方がいいわけである。
今回、プーチンウクライナ原発を攻撃したことは、明らかに、世界のトランジッションエネルギーとして、原発が「時限的に復活しようとした」ことを、なんとか阻止しようとした、という意図があることは自明なわけであろう。つまり、こうして原発が攻撃されると、電源喪失が起きるだけで、大事故になる。そうすると、ほんとに原発の再稼動をやれるのか、という問題を避けて考えられなくなった。これにより、ロシアは世界の原発回帰を

  • 牽制

したわけですね。そのことは、今後ロシアが自国のエネルギーを世界に売っていく上で、その戦略において、重要な効果があると考えているわけですよね。そう簡単に原発にシフトできないと考えれば、当然、天然ガスの値段にも影響してくる...。