ウクライナ戦争における「インド」

ウクライナ戦争によるアメリカを主導とした国々からの、ロシアへの経済制裁は、さまざまな方面から行われていて、もはや決定的なんじゃないか、と思われている。
しかし、だとするなら、もう少しルーブルの価値が下がり、暴落するんじゃないかと思ったわけだけれど、皮肉なことに、日本円の方が暴落幅が大きくてw、ということは、つまりは、

  • 日本は政策を誤った

ということを意味しているんじゃないか、とも皮肉を言いたくなるわけだ。
アメリカ主導の、ロシアへの経済制裁に日本が賛成をしたということは、

  • アメリカはロシアのエネルギーに依存していない
  • イギリスはロシアのエネルギーに依存していない
  • ドイツはロシアのエネルギーに依存している

といったように、各国によって「条件が違う」中で、政策の採用には選択をしなければならなかったはずだが、これについて、ツイッターウクライナ応援団と化してしまった日本の知識人たちは、

  • どんなに日本が苦しい立場に追い込まれてでも、ロシアの「悪」に対抗するためには、全力でロシアへの経済制裁を先鋭化しなければならない

という「義務感」で、ロシアという悪と対抗するためなら、日本人が全員死んでもかまわない、と言わんまでの勢いで、ツイッターでは、いきりちらかしているわけでw、いや、あんたの、その義務感は清々しいまでに勇ましいと思うわけだが、果して、どこまでお前はつっぱしるんだ、と心配にもなるわけであるw
その一番分かりやすい例が中国で、ロシアが開戦をする直前、中国からウクライナに対して、かなりの電子戦攻撃があったことが、今では、報道されている。それを聞くと、

  • だったら、アメリカは、ロシアと「同等」の経済制裁を中国に対して行わなければならない
  • だったら、ウクライナは、中国はロシアの「同盟軍」なのだから、アメリカに「同等」の経済制裁を中国にもやってくれ、と要請しなければならない

ということになるだろう。しかし、普通に考えてそれはできるのだろうか?
今のアメリカ経済は、完全に、中国の

  • 労働力

を外部経済として前提にしている。アメリカ企業は、民主主義国である日本などの労働者は、人権などによって扱いが面倒だと考えて、安い中国の労働力を、自らの

  • ビジネスモデル

の中に組み込んでしまった。アメリカが国内で、安く商品を売れているのは、その商品の製造を中国に「アウトソーシング」しているからであって、もしも中国が経済制裁によって、アメリカへの商品の売買を禁止されたら、アメリカのスーパーマーケットには、なにも商品がなくなってしまう。
こんなことを、本当にアメリカはやれるのだろうか?
まあ、やれるかどうかじゃないよね。そんなことをしたら、大量のアメリカの企業が倒産することは間違いないわけで、それを押してまで、アメリカがその方針をやれるわけがない。
しかし、こんなことでいいのか、とは世界中の人々がアメリカの態度を見透かしているわけで、じゃあ今やってる、ロシアへの制裁だって、ちゃんちゃらおかしい、ってことになる、とアメリカを批判的に見ているインテリは思っているわけだろう。
議論としておかしいのは、例えば、インドだ。
インドは、そもそも、軍備とエネルギーの

  • 八割

をロシアに依存している(ちなみに、ロシアの武器の輸出先の二割がインドとのこと)。つい最近、G20の声明が見送られたというニュースがあったが、もちろんそこには、インドも入っている。このインドを、アメリカは「自分たちの側」にひきこもうと必死だが、そもそもそれは可能なのだろうか?
インドも中国も、国内に大量の人口を抱えている。これらの人たちを食べさせていかなければならない。その場合、エネルギーは決定的に重要だ。しかも、発展途上国として、貧しい民衆への日々の生活のためのエネルギーを、なんとかして

  • 安価

に届けることは、国家存亡の最大重大事なのだ! そんなところに、なんで、アメリカのばか高いだけのLNGを、ロシアの安価なエネルギーの代わりに買わなきゃいけないのさw ほんと、完全なパロディなわけでしょ。やれるわけない。やるわけないんだよ。
しかしそれは、日本もドイツも程度の差はあれ、変わらないわけだ。日本の戦後の外交史は、

  • エネルギー資源問題を除いて、「完全にアメリカの言うがまま」
  • エネルギー資源問題だけは、アメリカの指図に「逆らい」まくって、完全な独自外交を行ていた

という二つの特徴があるわけで、おそらくそれは、今回のロシア問題が起きたとしても、そう簡単に変わることはないと思われるわけである...。