アニメ「CRANNAD AFTER STORY」

ホロライブのVTuberの大空スバルが、今年に入って、アニメ「CRANNAD」の同時試聴を金曜日に行っているのだが、先週でアフターの9話まで来た。この作品をご存知の人は、10話から、急に

  • 深刻

になり、かなりの鬱展開が続く。
私も以前、このアニメを見たことがあり、だんだん内容を思い出してきたこともあり、この土日を使って、最後まで見直してみた。
そうして、改めて見直すことは、以前の、若い頃に私がこの作品を見て思った「感想」を思い出す作業でもあったわけで、年齢を重ねた今の私から見て、少し感想が変わったところもあり、興味深かった。
アフターは、最終話が22話となる。そして、サービス回的な扱いとして、23話、24話がある。
(ここから、少しネタバレのある内容を書くので、注意してほしい。)
この最終話の22話は、どこか

  • 夢落ち

のような、SF的な展開となる。10話以降の鬱展開の中で、渚が朋也の子どもを産む瞬間に戻って、ストーリーは、もう一度、汐の成長を辿り直す形になるわけで、そういう意味で、作品は

  • ハッピーエンド

になるのだが、おそらく、この作品を見ていた人は、この最後がピンとこないわけである。どうもそうらしいんだけど、それが

  • 抽象的に言葉で、概要が説明されるだけ

という印象で、ある意味で、相当に注意をして見ていないと、なにがなんだか分からない間に、「どうもハッピーエンドになったらしい」と、なんだか分からないまま終わっていた、と視聴者に思わせ、視聴者は、あっけにとられている間に、なんだか分かんないけど話が終わってた、という感じで、作品に置いてけぼりをくらった感想になる(そもそも、最後の風子のやりとりは、誰も理解できないだろう)。
そういった意味で、24話は、こういった視聴者に、「なにが起きたのか、よく分からない」という印象を、言わば、

  • 振り返り概説

によって、「実は、これこれ、こういうことが起きていたんですよ」と説明をやってくれている、という内容になっている。あまりに、視聴者の反応が曖昧だったので、なんらかの「説明」を追加しなければならない、という義務感に、制作サイドがおいつめられていた、ということなのかもしれない。
改めて見直してみると、やはり、最終話までの、「鬱展開」の内容がかなり「攻めすぎている」がゆえに、どうしても、そのままでは「救いようがない」形になっているので、そのままでは終わさせられなかった、というのが正直なところのように思われる。
問題は、渚と汐の「病気」の扱いだったわけで、これをどこか「遺伝病」のように描いておきながら、それを

  • 原因不明

として、突き放しておきながら、他方で

  • 病院不信

を匂わせるような形で、その雰囲気を描いているわけで、かなり印象が悪いわけである。
つまり、渚の出産に至る経緯にしても、そもそも「原因不明の病気」があるんだから、すこし大きな病院であれば、当たり前だけど、

  • それなりの体制

を整えて、それに備えるわけでしょう。ところが、なぜか渚は「自宅出産」にこだわる。こういう描き方は、今も、さまざまな原因不明の病気で戦っている患者が日本中にいる人のことを考えたら、あまりにも無責任な描き方に思えるわけですね。原因不明で、医者が見放すなんて、ないですよ。最大限のリスクに対する備えをするはずです。つまり、そういう意味では、あまりに病院を馬鹿にした描き方に見えるわけですね。
あと、汐の病気の場面も、大きな違和感がある。一月も熱が下がらないと、しかも原因不明と、さらっとナレーションが入るわけだけど、こういう言い方はミスリーディングなわけでしょ。そもそも、解熱剤はあるわけで、まあ、それでも外を動き回れるような、根本的な治療は行えない、というのと明確に区別しないと、どうしようもない。そして、ここでも極端に入院することを忌避しているかのような描き方がされる。病気の原因が不明であるから、入院していても意味がない、というナレーションが入るわけだけど、これほど近代医療を馬鹿にした説明はないだろう。そもそも、病院で処方されるものには、さまざまなレベルのものがある。根本的な治療から、痛みをとり除くことを目的にしたものから、その患者のQOLを上げるために処方されるのであって、あまりにも描き方がひどい、と思ったわけである...。

追記:
働いている人はまずみんな、健康保険を払っているから知っていると思うけど、たとえ病気になって入院することになっても、保険の範囲内の治療なら、月の請求額の上限があるわけで、若い夫婦でかせぎも少ないといっても、そこまでの負担にならない。さらに原因不明の病気となれば、大学病院のようなところで研究と変わらないレベルで、その患者に価値がでてくるわけで、経済的な基盤はできてくるかもしれない。いずれにしろ、日本は実質義務の保険制度を採用しているので、制度の立て付けとして、国民全員での支え合いになっているんですね。