湊あくあのAPEX

日曜日に、V最協決定戦があったわけだが、まあ、ホロのチームは本番では順位はふるわなかった。
このことは、前評判ではないが、これまでの、特に、ここ一週間の「騒がれ方」を考えると、ある意味では、人々の「期待」を裏切った形にも思われるわけで、まあ、なかなか難しい話ではあったわけだ。
しかし、本当にそうなんだろうかと考えることは大事で、なによりも、彼女たち以外の「参加者」が、それぞれに、動画で感想を述べていて、さらに、それが切抜きとして上がっているのを見ると、そんなに簡単な話じゃないんじゃないか、と思えてくるわけである。

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ちーちゃんの言う「スーパープレイ」にしても、一ノ瀬うるはの言う「華のあるプレイ」にしても、明らかに、見ている人に、なんらかの傷跡を残してきたんじゃないのか、というのは印象としてあるわけだ。
私なんかが、こういったゲームを考えるとき、しょせん、誰かが「この」大会のルールを決めているんだよね、って思っちゃうわけね。つまり、その時点で、そいつがしいたレールが「つまらな」ければ、その大会もつまらなくなるし、逆なら、もりあがるだろう、っていうだけに思えるわけだ。だから、もしも今回のホロのチームが本番で上位に来れるようにするとするなら、それなりの、この大会独自のルールの変更をしなければならなかったわけだろう。それは、早い話が、カスタムの未経験者が二人もいるチームが、たとえそうであっても「活躍」する可能性のある、

  • (ギャンブル的な意味での)仕掛け

を用意しなければならなかったわけで、もしも、そういったものを用意しないとするなら、そりゃあ、順当に、

  • 平均的なバランスのとれたチーム編成で
  • 統率のとれた、集団戦術をトレーニングしていて
  • 結果として、合計ポイントが低くなることを利用して、ドラフトでベストポジションを獲得する

チームであり、つまりは、そういった「主催者側が勝たせたいと思わせるようなチーム」が、順当に毎年、勝ち上がっている、という傾向になる、というわけだろう。
しかし、そういった今までの傾向性を、一つの「終着点」として、安穏と受け入れてしまうと、大会は極端にそのスタイルに「順応」「適応」し、言ってみれば、「進化の終着点」に行きついてしまうわけね。
これは、逆説的だけど、こういった「ルール」を採用した時点で決定付けられていた未来だったと言えなくもないわけだ。
結局、ある種の「最適化」は、大会を主催する側にとっては、特に気にならないのかもしれないけど、より深刻に内省を促されるのは、

  • 毎年、参加してきた選手たち

なんですね。つまり、みんな、なんらかの「壁」にぶつかることになる。モチベーションをどこから、とってくればいいのか。なにを目指すべきなのか。
そうしたとき、明らかに、今回の湊あくあは、

  • 外部

からやってきた、エイリアンみたいな存在だった。ある意味で、まったく別の側から、別の動機をもってAPEXをやっていた(遊んでいた)だけの人が、なぜか、この大会に

  • まぎれこんできた

がゆえに、多くの人にショックを与え、なにかを考えさせるわけでしょう。
さて。こうやって分析してきたわけだけど、そもそも、この大会に参加を発表した時点で、彼女は、かなり細かな「いきさつ」について、説明をしている。

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この動画は、こうやって大会が終わって見てみると、かなり興味深い内容であることが分かる。
まず、彼女がなぜ大会に参加することになったのかの一つの理由として、彼女のアイドルとしてのファンがずっと求めていて、いつか叶ってほしいと思っていた夢だったから、なんとか、一度は、どこかで実現したいと思っていた、と述べているわけだ。
しかし、他方において、彼女は自分が重度のコミュ障であることを自覚しているがゆえに、こんなに外部の人が集まる場所に参加するということが、そもそも

  • ありえない

ものである、という前提から話を始めているわけでしょ。
そして、この点においては、ずっと、後まで尾を引いている、ことは間違いないわけだ。まず、彼女は後夜祭への参加の辞退を最初に表明している。それは、自分が極度の人見知りだからであって、迷惑をかけたくない、というわけだが、ここで気になるのは、澁谷ハルが、次回以降について、後夜祭の発展的解消として、止めていく方針をもっていることを語っていたことだろう。その理由については、いろいろ言っていたが、参加者が増えて、多様な人が参加するようになってきた近年の状況をふまえると、一つの役割が終わったんじゃないか、ということを言っていたわけだが、もしかすると、多分に、あくたんを意識した部分もあったのかもしれない。
あと、もう一つ、彼女が上記の動画で語っていることで、興味深いのは、参加が決まってから、三人で練習するようになって、驚いたことの一つとして、

  • トワ様が真面目だ

といったようなことを語っているんですね。つまり、これって、けっこう、彼女の心理を分析する上でおもしろくて、彼女はずっと、一人でソロマスを目指してやってきたわけだけど、まったく、気楽に、自分のペースでやってきた結果って、だけなんだね。だから、それを彼女自身は、自分が真面目だなんて思ったこともない。だから、大会に参加したとしても、その延長でしか考えていない。しかし、トワ様は、今までの大会の経験があるから、それまでの経験の中で、身につけてきた作法を行っているにすぎない。実際、それらは当然、大会を勝ち抜くという目的においては、合理的で、常識的ですらあるんだけど、早い話、あくたんには、そういったメンタリティを共有していないわけね。
そう考えてきたとき、ここで問われているのは、あくたんのファンであり、彼女のAPEXを見て、応援してきた人たちは、今回の彼女の挑戦をどう受け止めるべきだったのか、だったんだと思うわけだ。私たちは、何がしたいのか? 言うまでもない。勝とうが負けようが、

  • 彼女のプレーが見たい

だけなわけね。その一瞬一種が、私たちを魅き付けて、ここまで来たわけで、それ以上でもそれ以下でもない。勝とうが負けようが、そんなことより、一瞬でも多く彼女のプレーが見れたら、それで幸せなわけでしょ。
そういう意味では、今回の大会での彼女のプレースタイルは、他の人がどう思おうが、自然だったんじゃないか、と思うわけだ。そして、ある意味で、彼女は「このまま」でいてほしい、とすら思う。なにか別のものにならなきゃならない、なんてことはない。今のスタイルを貫いて、彼女のやりたい表現を追求してほしい。
ここで少し別の観点から考えてみよう。あくたんが大会に参加して、多くの関係者が考えたことは、「彼女への接し方」なんじゃないか。つまり、回りの人の方こそが、どう接すればいいのか、を考えさせられた。これを別の言い方で言うなら、

  • どうしたら、彼女に次の大会にも出てもらえるように思ってもらえるか

という「接待」の意識があったはずなのだ。つまり、この点について、かなりデリケートな意識があった。しかし、私たちがそう思えば思うほど、彼女にとっては、回りに気を使わせていることが負担になり、離れていく理由になっていくわけで、結局は、どういう形であれ、なるようにしかならない、として、全ての結果を受け入れていくしかないわけだが...。