既にWW3は始まっている

2014年から、ロシアとウクライナは戦争をしていた。そう言うと、よく分かっていない人たちは驚くわけだけれど、つまり、戦争は今年の2月に始まったんじゃないのか、と。
つまり、戦争が「2014年から始まっている」と言うと、「親ロシア派の人」と扱われて、ツイッターでは袋叩きにあう、というわけだ。
では、ここで2014年から戦争が始まっていたとは、どういう意味かといえば、マイダン革命による親ロシア政権打倒(親欧米政権誕生)と、ロシアによるクリミア併合があり、ドネツク州、ルガンスク州が独立宣言をした年だ、ということになる。
つまり、この動きに対して、欧米を中心とした国際世論は、クリミア併合も、ドネツクルガンスク州の独立も

  • 認めない

という立場を今も維持している。ということはどういうことかというと、問題はウクライナ国内における、この三つの地域の

  • 扱い

は、ずっと「対立」という形で続いてきた、ということになる。ようするに、

  • 内戦

である。しかしそう言うと、「いや、これらはウクライナ国内の問題なのだから、ウクライナの内政問題じゃないか」と言う人が現れ始める。だから、それを戦争と呼ぶのは「おかしい」と。
しかし、大事なことは、これを戦争と呼ぶか呼ばないかではなく、実態として、そこで行われていたことを、そこに住んでいた人たちが、どのように受けとめたのか、だろう。
つまり、この2014年以降で、多くの、この三つの地域に住んでいた人たちが、「避難」をしていた、という事実がある。それは、人口動態を見ても分かるし、実際に多くの、当事の避難をした人たちから声を聞いた人がいることもあるし、そもそも、国連が介入をして調査もしている。
ここのところ話題になっているエマニュエル・トッド文芸春秋に書いている内容は、こういった事情をふまえて、

  • 既にWW3は始まっている

と書いている。なぜロシアがウクライナに軍事的侵攻を行ったのか? トッドはその直接的な理由として、アメリカ軍による、ウクライナへの軍事的教育が、かなり本格的に行われている実態があった、と考えている。つまり、このトレーニングが破局的なレベルに逹する前に、軍事的侵攻を行うことで、これを止めさせようとした、というわけである。
このことは何を意味するのか? つまり、問題は「アメリカという国の主権のあり方にある」と言わざるをえないわけである。アメリカとは誰か? こう言ったとき、その複雑な様相が現れる。
早い話、大統領でさえ、アメリカの「全て」のことを決定できない。アメリカは、

によって、各政治パートが何をできるのかを決定している。つまり、この外に誰も出れない。それぞれが、その「範囲」の中で、自分がやっていいと決められていることをやっているに過ぎない。そうした場合、そもそも、アメリカに国家「主権」や、国家「意思」があると言っていいのかが怪しくなるわけである。アメリカ国内にいる、それぞれの政治的パワーをもった集団は、それぞれで、さまざまな意思をもち行動をしているが、それぞれは、その範囲ではアメリカを実際に「操作」すらする。実際に、アメリカの軍隊は、ウクライナに軍事トレーニングをしているわけだが、アメリカ国民はそれを、

  • 既にWW3を開始した

と思っていない。というのは、実際にそれをやっているアメリカ軍と、一般のアメリカ国民では、まったく意思の統一がされていないからだ。アメリカには、さまざまな利益相反をもった主体が存在して、まるで、クーデターのように、

  • 暴走

して、事態を「自分」にとって利益になる方向へ向かわせようとしている。そのため、国家の方向が常に定まらない。いつも、なにが起きるか分からない。そして、知らぬ間に、自分たちにとって決定的に不利になるようなことでさえ起きがちになる。
例えば、今回のウクライナ戦争において、欧米メディアは、プーチンが「狂っている」という報道を繰り返した。しかし、プーチンはずっと、ウクライナに対して、欧米が過剰な軍事供与を行うことに警戒を繰り返してきた。そのことは、この状況と反対の事態が起きたことのことを考えてみれば分かりやすい。キューバ危機において、世界は核戦争の一歩手前まで行った。そして、アメリカとソ連は、今回のことにこりて、こういった事態が二度と起こらないように、二国は

  • 知恵

を使わなければならない、ということで同意したはずなのだ。
そして、それに対して、プーチンは一貫して、言うことは変わっていない。つまり、ウクライナに対して、必要以上に軍事的に介入し脅威になったなら、キューバ危機のときがそうであったように、ロシアは軍事的介入さえ躊躇しない、ということを、ずっと発信続けていた。
ところが、アメリカは違った。時代が過ぎるたびに、なにも分かっていない連中が、自分の

  • 個人的な利益の最大化

だけを「目的」として、ウクライナアメリカの全力の軍事的な支援を始めた。彼らは、こんなことをすれば、ロシアとの核戦争になるんじゃないか、といった程度のことさえ考えられなかった。つまり、

  • そんなことより、明日の軍需産業の株価増大

のことしか考えていなかった。彼らにとって、自分が行っていることが、この世界を滅ぼすかもしれない、といったことさえ想像ができなかった。しかも、もしもそうなったとき、まさか、自分に責任があるなんて、考えさえしなかった。もしも、それによって世界が滅びるなら、

  • 悪いのはロシア

なのであって、そうである限り、自分が今以上にロシアを挑発することになる行動をためらう理由がなかった。つまり、アメリカ国民とは、こういった

  • 局所的合理性にしか関心がない「欠陥のある人間」

を生み出す装置であることを意味していた、と考えるしかない。
今、世界で何が起きているか? 言うまでもない。日本の円安であるわけだが、それに先行して、まずもって

が、まったく、なんの歯止めもかけられていない、という恐しい事態が続いている、という状況をよく理解していないんじゃないか。
アメリカのインフレが止まらない。いや。そもそも、これを止められるのか、が疑わしいわけである。インフレをそもそもコントロールできると考えることの方が、非現実的なんじゃないか、と言いたくなるわけだ。
人間にインフレをコントロールできるのか? このことの恐しさをまったく考えていないのが、今回のウクライナ戦争で、欧米メディアの言うがままに、

  • いけいけどんどん

で日本が戦争に参加することに、諸手を挙げて賛成している、法学者たちのナイーブさ、だろう。
アメリカのインフレをエネルギーインフレであり、資源インフレと考えるなら、これを止める簡単な方法は、イランの石油の輸入規制を撤廃し、ロシアの石油の輸入規制を撤廃することだ。ところがこれを、アメリカの民主党政権は選択できない。なぜなら、

  • イランとロシアは「悪い国」だから

と言うわけであるw 彼らの全ての行動規範は「善悪」なのだ。彼らはただただ、

  • 悪を滅ぼす
  • 善を守る

だけしかやらないし、そうすれば誰かが褒めてくれると思っている。
ところが、もしもロシアやウクライナが「戦争」によって、一切の貿易ができなくなると何が起きるかというと

というわけである。
つまり、である。
アメリカという国は、「自分がいい子ちゃんになりたい」がために、世界中の貧しい国が多くの餓死者が出ることさえ、まったく、ためらわない、という「恐しい」国だ、ということになるわけである。
自分が「選んだ」行為が、それによって、世界中の貧しい国々で多くの餓死者を生むことになることを分かった上で、それでも

  • だって悪いのはロシアじゃん

って「言い訳」をぐずぐずと言い続ける、性根の腐った連中がアメリカだ、というわけだw
このことは、今回の一連の国連決議を見ればよく分かるだろう。最初のロシアへの非難決議は、ほとんど全ての国連加盟国がロシア非難に賛成した。ところが、それ以降の、具体的なロシアへの「制裁」の決議になると、三分の一も賛成しない。しかも、賛成した国とは、アメリカ、イギリス、EU、アングロサクソン。つまり、

ってわけで、ここになぜか日本が加わっている。アジアで見ても、日本以外でそういった前のめりの制裁に賛成している国がいない(せいぜい韓国だけど、ここも及び腰)。
つまり、これがなぜなのかを日本の誰も考えていないわけだw
日本で、ロシアへの制裁に棄権や反対などと言おうものなら、

  • 親ロシア派・ロシア寄り

と言われて、その人の社会的地位が奪われる。ツイッターだったら、れいわ新撰組や伊勢崎さんがそうされたように、毎日のように、罵詈雑言を浴びせられ、非国民扱いだw
しかし、これのどこが変なのだろう?
国連での、最初のロシアの軍事的侵攻に対する非難決議は、端的に国連憲章に違反しているのだから、誰もがこれに賛成したわけであろう。つまり、この一点においては、誰も異論はないわけである。
しかし、個々の制裁の内容になってくると話は違ってくる。その制裁によって、もしも、自国の国益が危機にさらされるなら、本当にそれに賛成すべきなのだろうか?
ロシアへの経済制裁を行ったがゆえに、

  • 世界中の貧しい国の貧しい人々が次々と飢えて死んでいく

なら、本当にその制裁を行っていいのか?
ここに、まったく経済を分かっていない、世界中の「法学者」のナイーブな国際感覚が、まさに

  • 世界を滅ぼす

直前まで迫っている、という恐しい事態に今、世界は直面しているわけである...。