ネオコンに支配されたアメリカ政府

思い出してみれは、イラク戦争のとき、日本のそれなりの有識者は、アメリカ批判をしていた。それは、アメリカが主張した、イラクに核があるという主張が疑わしかったというだけでなく(今では、これが嘘であったことは分かっているだけでなく、アメリカ自身が認めているがw)、そもそも、アメリカがイラクに戦争を行うこと自体に対する批判だった。
そして、そこにおいて重要なポイントは、アメリカにおける

の批判としてあったわけだ。
ところが、である。
今回のウクライナ戦争において、明らかに、これらを主導している勢力にネオコンがいるにも関わらず、「みんな」で、そのことには一切言及せず

  • 悪いのはロシア

の大合唱をやっている、というのはなんなんだろう、と思うわけである。
ここで、何が変わったか?
一つは、イラク戦争のときは、共和党だったが、今は民主党だ、ということだ。もう一つは、トランプ政権のとき、トランプは一時期、ネオコンを排除した関係もあって、一時的にネオコンの影響力がアメリカ政府から離れた時期があったにも関わらず、民主党になって、また復活している、ということだ。

神保哲生:皆さんいま、日々、見ているこの、ウクライナの戦況分析ってやつですね。これは、朝日新聞からとったものですけど、NHKも朝日も読売も日経も毎日もすべて、同じ地図が出ていると。これ、いったい誰が発表してるんだと思ってほしいんだけど、必ずこう書いてある。米シンクタンク「戦争研究所」と「アメリカン・エンタープライズ研究所」から、あるいは戦争研究所だけの場合もあります。で、シンクタンクですよ。民間のシンクタンクですよ、どちらもですね。で、シンクタンクだけど、ちゃんとしているから各社が使っているんだろうと、まあ、ちゃんとしているかは僕は若干心配もありますけど、インテリジェントコミュニティには近いシンクタンクなので、政府の情報が流れてきているだろうということで、逆にアメリカの情報を、アメリカが公式に政府の情報として出すかわりに、この戦争研究所を通じて、アメリカの政府が出している情報が報じられていると考えてほしい。ただしこの、ISW、これ、institute for study of war と。これ、アメリカ・ウォッチャーはみんな知っている、誰がやってるかも知っている組織なんですけど、まあ、こういう組織です。前島さんの解説が必要ですけど、ケーガンと言った瞬間に、ケーガン・ファミリーはアメリカでは有名なファミリーなんですが、彼女が2007年に作ったNPOで、リセオン、ゼネラル・ダイナミクス、重要な防衛企業が出資して作ったNPOで、この理事の中に、他にもいろいろな一派がいるんですが、なんといっても、ケーガンさんと、クリストルというね。宮台さんとかクリストルについてはアービング・クリストルの話をしたと思いますけど、それの息子さんです。ただ、もう一つ重要なのはケーガンさん、これキンバリーさんですね。(中略)その夫がフレデリック・ケーガンさんで、これAEIと書いてあるますけど、AEIってさきほどの、アメリカン・エンタープライズ・インスティチュートのこと。実際はアナリストなんですが。問題は、これの兄がロバート・ケーガンという、ネオコンの有名な学者ですが、この奥さんがビクトリア・ヌーランドさんという、今のバイデン政権の国務次官。国務省のナンバー3になります。ここは、ナンバー2のウェンディー・シャーマンさんは古いつきあいなんですけど、彼女はアジアの専門家なもんですから、ウクライナにはんあまり深くは関わっていなくて、彼女がずっとウクライナに古くから関与している人で、アメリカの今のバイデン政権の対ウクライナ政策では、彼女が一番、中心人物と言ってもいいと思います。
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今、日本のマスコミを席巻している、ウクライナ戦争の情勢分析の情報は全て、上記にあるように

が流しているものを、なんのファクトチェックもしないで、そのまま、だだ流しをしているわけだ。
普通に考えて、

  • 彼らの都合のいいように、世界中の人に「こう思ってほしい」と思っていることを思ってもらえるように、情報操作をしている

と思うわけだろう。ところが、日本の有識者はそれを誰も疑わない。疑わないで、

  • 悪いのはロシア

の大合唱をやって気持ちよくなっている、というのが現状だろう。しかも、この

  • 悪いのはロシア

に少しでもケチをつける連中を、前回紹介した古谷さんのように、電凸して、クレーマーとなって、その人の社会的地位を落としめることを目的として、罵倒を繰り返しているわけでw、まあ、彼らにとってはそれが「愛国」なのだろうw
しかもこの、ビクトリア・ヌーランドって、もとは、ウクライナユダヤ人のアメリカ移民の子孫だというわけで、こんな私怨もありそうな、利益相反をもっている人物を、こんな地位に置いていて、アメリカは大丈夫なんかと思わずにいませんけど。
完全にアメリカ政府が、上記のような構造で、アメリカの軍需産業の「利益」に組込まれてしまっているわけで、彼らは自社が儲かることしか考えていないから、これにアメリカ政府が誰も逆らえない状態になっているわけで、今、アメリカは恐しいことになっている。
まず、バイデンがとんでもない金額を、ウクライナにあげる、と言っている。いや、そんなお金を他の国にあげている余裕がアメリカにあるのか、と思うわけだけど、もう完全に、アメリカの認識では、

  • この戦争はロシアとアメリカの戦争だ

と思っているわけね。今回で、アメリカはロシアに勝つつもりでいる。勝って、ロシアを分割して、ロシアの資源を、アメリカの企業で

  • 山分け

しよう、とまで考えている。そのためなら、アメリカのお金の大半をウクライナに注ぎこむことくらい造作もない、というわけだw
ところが、である。
アメリカは今、恐しいまでのインフレが襲っている。この原因を、なんとバイデンは「ロシアのせい」と、他人に責任をおしつけているそうだがw、当たり前だが、これだけブロック経済をやって、ロシアの安価な資源をアメリカは買わない、とかやったら、そりゃあ、

  • インフレ

になるますよねw いや、それだけじゃない。イランを含めて、多くの安価な資源がとれく国々を「経済制裁」しているわけでw、自分で世界中の安価な資源を買わない政策をやっておいて、アメリカ国内がインフレで大変だって、当たり前なんじゃない?
つまり、アメリカの民主党政権

  • アメリカ並みの民主主義を実行していない国は敵だ

と言っているのだから、こんなもんじゃ、おさまらないわけ。サウジアラビアを含めて、多くの資源大国は、「アメリカ並みの民主主義」なんでできていない。ある程度、独裁であり、権威主義敵にやっているわけで、それは、そうしなければならない、さまざまな理由があるわけでしょ。
つまり、アメリカが求める

は、それを求めている理由として、アメリカ国内の資源関係の圧力企業が、その資源を狙っているからなわけね。それらをまるまる、自分のものにできたら、「うはうは」なわけでしょう。それを、世界最強の軍事力をもっているアメリカ政府にロビーイングすることによって、なんとかして、実現したい、わけでしょう。
まあ、イラク戦争も含めて、アメリカが世界中に戦争をやって、その地域をめちゃくちゃにして、世界を壊し続けてきた理由がそれ「だけ」なわけねw
アメリカ政府というのは、そういった「ロビーイング団体」からの圧力に勝てないわけ。彼らから距離をとれない。逃げようとすれば、どんな個人攻撃をされるかわからないし、陰で暗殺されるかも分からない。アメリカ政府とは、その程度の「世界正義」で行動している、うさんくさい連中なわけでしょ。
嗤っちゃうのが、ドイツとロシアのノルドストリーム2だよね。これに、アメリカは執拗に反対し続けてきた。そして、もう完成しているのにw、それに反対ということで、今回のウクライナ戦争を理由にして、ドイツに「これを使わない」と言わせたw いや。もうできているし、これをアメリカが使わせない理由って、

  • アメリカ自国で作っているLNGが、それに比べて「高すぎ」てますます売れなくなるから

という、もろ

  • 自国の利益

しか考えていないわけでしょw つまり、ロシアからアメリカまで、ノルドストリーム2を伸ばして、安価な天然ガスアメリカが使えないから、

  • だったら、ドイツだけずるいから止めろ

ってだけじゃんw なんなの、このエゴイスト集団。
アメリカさ。こんな、戦争をやっている場合なのかね。戦争によって、軍需産業は一定の儲けがあるかもしれないけど、アメリカ経済全体でみれば、雀の涙だよ。そんなことより、

  • アメリカ国内のインフレによる国民の貧困化

の方が、よっぽど国民の生活にとって深刻かつ重大で、喫緊の課題じゃないのか。
...いずれにしろ、アメリカは今年は選挙の年で、民主党の苦戦が言われているわけで、トランプの敗北をあれだけ望んだ、アメリカのリベラルが、この程度の政権しか作れなかったことに、アメリカという国の病巣の深さが、本当は現れているのだろう...。

追記:
アメリカはそもそも、アメリカ国外のことを気にしていられる状態なのか、というのは考えされられるものがある。まず、銃規制を今だにできていない。次に、最高裁判所共和党寄りの判事が大勢となってきたことで、流産の禁止の議論が今だにむしかえされる情勢になってきている。こうやって考えると、アメリカという国が、さまざまな「パワーの均衡」によって、かろうじてバランスをとれているだけで、まったく、世界平和のことなどを考えられる余裕のない国であることが分かる。このことが、アメリカがよく自慢している「民主主義」がもたらしている、歴史的な必然なのかは、歴史が判断するのだろう...。