ハンチントンの「文明の衝突」

私が日米の大手マスコミに違和感をもった最初が、ファーウェイ批判がもりあがったときだ。とにかく、ファーウェイを徹底して「叩く」ことを、大手マスコミが音頭をとって叫んでいることに、「これはなんなんだ」と思ったわけだ。
しかし、今、アメリカの大手マスコミの中国批判は当たり前になった。また、アメリカの「次の戦争相手」として、中国を想定した議論が多く見られるようになった。
そもそも、なぜファーウェイが槍玉に挙げられたのかでいえば、ファーウェイは非上場企業だった。だから、売上を株主に還元する必要がない。全部

  • 研究費

に回せた。つまり、これによって徹底して研究開発を行った。これにアメリカが「恐れ」を抱いた。それは、少し前の日本企業の成長に、アメリカが危機を感じて、さまざまな「外圧」をかけてきたのと変わらない。
今、宇宙開発や量子コンピュータや5Gなどの研究論文の多くが中国で書かれている。つまり、中国がそれだけの研究に投資をしている、ということなのだが、もしもこれが「成功」した場合、アメリカに代わり、中国こそが世界の覇権を握るかもしれない、と言われている。
そもそも、アメリカもイギリスも、国内に製造企業がない。全部、アウトソーシングで中国で作っている。台湾や香港に対して、そこは「民主主義圏」だからと、さまざまな開発をお願いすると、中国人は血の繋がりがあるから、地元の中国の田舎に戻ると、その人脈を使って、安価な労働力で、製造を行える。だから、実質的には、中国がアメリカの製造の実働部隊であるわけだが、彼らは、台湾や香港という「民主主義圏」にお願いしているんだから、僕は悪くない、と強弁しているわけだ。
しかし、である。
当たり前だが、アメリカは中国に抜かれて、もはや、アメリカは「不要」にされたら、それを黙って見ているわけにはいかない。さりとて、自由競争で真面目に戦うと、中国の方が、安い給料で真面目に働くから「勝てない」わけである。
困ったw フェアに競争すると負ける。だったら、「ずる」をするしかない。つまり、暴力で脅す、わけである。アメリカは焦っている。少しでも早く、中国を戦争で痛めつけないと、いずれ、中国にアメリカが追い抜かれてしまう。だったら、

  • 先制攻撃

しかない。まあ、これの「代理戦争」として、ウクライナでロシアが戦っている、と考えることもできる。
しかし言うまでもないけど、このロジックを人前で当たり前のように話したら、物騒がられるわけでしょう。しかし、いつの間にか、中国脅威論から、中国との戦争を、少しでも早く始めなければならない、といったような、アメリカの大手マスコミの論調がでているし、それに「従属」するかのように、日本の大手マスコミも、これと似たようなことを言い始めている。
例えば、今回のウクライナ戦争で、ロシア制裁に対して、一貫して過激な主張を続けているのが、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアといったような、

の地域なわけだ。そして、日本の大手マスコミは、彼らの主張を復唱している。
対して、EUはもう少し複雑で、まあ、自分たちが当事者であることもあり、なんとか、アメリカ、イギリスを「収め」ながら、事態を見守っている、といったところだろうか。
こうやって見ると、ほとんど、上記のアングロサクソン圏のロシア非難というのは、

  • 自分たちの言っていることは正しい

で固まってしまっていて、ロシアとまったく交渉が成立しない、かのような「かたくなさ」が見られるわけだ。まったく、交渉をやろうとしない。
このかたくなさはなんなのかと考えるとき、どうしても思い出さざるをえないのが、ハンチントン

なんじゃないだろうか。明らかに、ロシア圏とアングロサクソンで、「文明」的なレベルで、まったく話が通じないような、強烈が絶望感があるわけだ。
そりゃあ、ロシアは「ヤクザ」みたいなもので、そんな簡単な正義だけで交渉できるわけがない。しかし、だからといって、つきあわないわけにはいかないでしょ。それは、そもそも「文明」レベルでの「意思の通じなさ」から考察せざるをえないわけで、そんなことを言ったら、ウクライナだってロシアと変わらないくらいに「ヤクザ」なわけで、それは、この二つの国の「汚職の多さ」を考えたら、そんなに簡単に、どっちかが善でどっちかが悪なんで言えないことは自明なわけね。
ところが、アメリカのリベラルは、もうロシアが悪だと決まったら、全てが悪なんだってわけで、一切の交渉を止めてしまった。
ところで、以下の動画がおもしろかったわけだが、石田和靖さんが、今回のバイデンのサウジアラビア訪問について分析している。

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こうやって見ると、バイデンがどこまでKYなのかが知られるわけだ。バイデンは民主党内でも、次の大統領選の立候補はないと言われているそうで、その理由が彼の「認知症」が進行しているから、というわけでしょう。あまりにも「失言」が多い。どんどん、

を拡大してしまうような「失言」を繰り返してしまう。アメリカの迷走が、今世紀のあらゆるトラブルを、かきまわしていくのだろう...。