リコリコ最終回の謎

テレビアニメ「リコリスリコイル」の最終回は、実際に見ると、よく分からない演出がされていて、多くの考察がされている。その最大の問題は、

  • よしさんは死んだのか?
  • 千束の新しい人工心臓は、よしさんの体内にあったのか? プレゼントのケースにずっとあったのか?

である。
前者については、ミカがとどめをさしたかのような形でフェードアウトしているので、おそらく死んだのだろうでいいのかもしれないが(ただ、その場面は明確に描いていないので、もしも2期があるなら、復活的なポジションで出てきても不思議じゃないのかもしれないが、ここではこれ以上、追求しない)、問題は後者だろう(こっちについては、制作サイドは、かなり意図的に曖昧にしたと思われる)。
これについては、まず、「常識的」なことを言うと、あの短い時間で、ミカが、よしさんの心臓を取り出すというのは、現実的じゃないのだから、プレゼントのケースに、最初から入っていたと考えるのが正しいように思われる。
ただ、よく分からないのが、ミカが「しんじは嘘をつかない」みたいなことを言っているんだよね。これが、この文脈で何を言いたかったのかが、よく分からない。よしさんが千束に「人工心臓は自分の中にある」と言っていたことが嘘だったなら、ここでのミカの発言は正しくない、となるようにも思われるし、いや、ミカが言っているのは、「しんじは<俺に対しては>嘘をつかない」ということなら、まあ、そんなには違和感はないのかもしれない(あれだけ親しかったのだから、後者の解釈が自然なのだろうが)。
もしも、よしさんが死んだとすると、そもそも、この話って、なんだったのかがよく分からなくなるんだよね。よしさんはアラン機関の人間で、アラン機関は、世界中の、さまざまな才能のある子どもを支援する組織とされている。つまり、今回のさまざまな「騒動」は、全て、黒幕は、よしさんだった、ということになることは、たきなが、よしさんに向かって言った言葉からも、正しいと考えていいんだと思う。だからこそ、ミカは最後に、よしさんを殺して「決着」をつけた。それは、この

  • 混乱=事件

を終わらせる、という意味で、やらなければいけないことだった、でいいんだと思う。
しかしそうだとすると、よしさんとアラン機関の「差異」を考える必要はないのか、というのがちょっと分かりにくい。アラン機関は、ひとまず、上記の「目的゙」に従って動いている、一般的な機関だと考えよう。それに対して、よしさんは「独断専行」でつっぱしった、と整理していいのか? つまり、そうだから、ミカは、よしさんに「とどめ」を刺すだけで、この事件は「解決」と整理されるのか。
もしもそうじゃないとすると、アラン機関の中に、よしさんの「親玉」がいて、なんらかの指示を出していたことになる。途端に、より大きな組織の「意図」を作品は追っていかないといけない、ということになる。
ただ、ここまで書いてきて、そもそも、よしさんとミカは「昔からの深いつきあい」の関係が示唆されている。そう考えると、そもそも、DAとアラン機関は、なんらかの関係で、裏で繋がっているようにも思われてくる。しかし、ここについては、あまりはっきりと描かれていない。
おそらく、その「意味」を、ミカは知っているんだろう。
そうなんだけど、今回の最後の、ミカがよしさんを殺すことについても、

  • どういう立場

でミカはそれをやっているのか、あまり明確に描かれない。普通に考えるなら、DAからの命令というか、DA側の作戦行動の中でやっている、ということになるのだろうけど、あまりそこは、はっきりと描かれない...。

追記:
実はもう一つ考察されている謎があって、それは、

  • 事件後の最後のシーンで、千束は、よしさんの死を知っているのか?

である。こちらについては、たきなとの会話の内容を普通に聞くと、知らないで話しているんだろうと思われるが、そうだとすると、なぜミカは教えないのか。となるし、実際、話している内容も少し謎めいて聞こえもするんだよね。