ウィーン・マルガレーテとは何者か?

前回、アニメ「ラブライブスーパースター」の分析を行ったのだが、そこでは、二期から急に登場したウィーン・マルガレーテが「本当の歌」について語り、「ラブライブ批判」を行ったことを、虹のランジュの、スクスタ登場時の「いきさつ」と平行する形で(つまり、上級芸術の価値とか才能といった側面から)考察したわけだけど、これについては、もう一つ、違った分析がありうると思っている。
それは、

  • クーデレ

としての彼女、ということである。クーデレとは古くは、エヴァンゲリオン綾波レイから言われ始めた言葉として有名だが、ハルヒ長門有希といった形で、エヴァ以降、綾波に類似したキャラが多くのアニメで登場した、という経緯がある。
簡単に言うと、無口で廻りと関わろうとしない(クールな)女の子が、作品の進行と共に「デレ」ていく、といった感じになる。
こういった分析は突飛に思えるかもしれないが、例えば、彼女がアニメ内で歌った二曲の歌詞には、自分がどれだけ「孤独」であるかを語っている内容もあるわけだし、そもそも、今に至るまで、彼女がどこの学校に通っているかも、そこで、学校の友達がいるのかすら分かっていない。
ここまで書いていて、さまざまに違和感を思う人がいるかもしれない。いや、それで「アイドル」って、なんか変なんじゃないか、と。
しかし、である。
これは、れっきとして、日本の女性アイドルの「伝統の一つ」と言っていいような側面があるわけである。
古くは、山口百恵が、ステージにマイクを置いて、結婚して、そのまま芸能界を引退したわけだが、彼女は独特の低い声で、ささやくように歌うスタイルだったし、この系統に、今年の紅白の目玉として噂されている、中森明菜がいる。
中森明菜は、ちょうど、松田聖子が活躍した、アイドル全盛期に、彼女と「相並ぶ」存在として、注目されたアイドルだった。デビュー当時はそれほどでもなかったが、後半になればなるほど、この「対称性」は際立っていって、彼女の低音で、ささやくように歌うスタイルは、それが強調されればされるほど、松田聖子との差異が際立ち、ファンを二分する形になった。
大事なポイントは、そういった山口や中森のような「スタイル」が、当たり前のように、当時の商業タレントの中で容認されていた、ということなわけでしょう。
そして、この陰と陽、光と影の対立は、そのまま、アニメ内のヒロインたちにも引き継がれることになる。
こう考えてくると、このアニメ「ラブライブスーパースター」は、かなり、制作サイドが

  • チャレンジング

な形で、いろいろなことに挑戦している印象を受ける。まず、そもそも、葉月恋の母親は彼女が幼い頃に亡くなってますからね。こんなスクールアイドルのメンバーは、今までのシリーズではいなかった。そりゃ、そうなるわけで、そんな不幸な過去をもっている女の子に、アイドルコンサートのような「幸せの絶頂」みたいなことをやらせることの無理筋があるからなわけでしょう。
それは、ウィーン・マルガレーテにしても同様で、明らかに彼女の、ここまでのアニメに登場した、二曲の歌の歌詞は、今までのラブライブシリーズでも、ここまではなかった、といったような、とても彼女の「孤独」が分かるようなものになっているわけで、どう考えても、今までのラブライブシリーズになかったような歌として、少し新鮮で、ラブライブシリーズそのものに

  • 刺激

を与えるようなものになっていることは確かなように思われる...。

追記:
第11話は、急展開すぎましたね。ちょっと、ついていけないw
問題が、澁谷かのんが留学するかどうかに変えられてしまった。
こういう話に変えたことで、第3期は急激に可能性が消えてきた。逆に、劇場版でウィーンにみんなで行く可能性は高くなった。マルガレーテも劇場版に出して、お互いの和解を描くとか。
少し俯瞰的に考えると、リエラは既に、完全数の9人いるので、これ以上人数を増やすことに壁がある。まあ、そうすると、2学年で構成されることになるわけで、この壁がある。
たとえば、スクフェスの今のデッキ構成は9人であり、今後のシリーズでこの数を変えることは、壁が大きい(まあ、そう言っても、ブスリピで構成するときに、9人出すのは難しいのだがw)。
さらに、そもそも今までのアニメシリーズは二期プラス劇場版だったわけで、ここを変えるのも壁なのかもしれない。
おそらく意識しているのは、無印一期の最後のことりが留学をあきらめた場面だろう。これを再現するか、しないか。ファンがもとめているのは前者だけど(1年、2年、3年と揃わない違和感は今は大きく感じますけどね)、これがかなわないことを説得力をもって描けるのか(海外というのが急なんだよね。今まで、かのんが考えていたならわからなくないけど。だから、マルガレーテだけ留学できて、かのんは留学しない、というのが、無印1期の最後のパターンなんだけど、そこをかえてくるかどうか、か)。なんか、大人の事情で強引に幕引きされそうな雰囲気が一杯ですが、最後まで見守りましょうかね。
まあ、いずれにしろ、ウィーン・マルガレーテは今回で「デレ」ましたね...。

追記(2022/10/07):
そういえば、11話で、マルガレーテちゃんのお姉ちゃんがパンフレットに登場して、それを、かのんが見る場面が描かれたけど、最終話で、かのんとその姉に過去のつながりがあった、みたいなくだりを描くんですかね。いや。そんな尺ないし、たいしておもしろい話題に広がりそうもないし、もう、最終話なんだけどね。なにやってんだか...。