中国の病院事情

上昌広さんが、中国のロックダウン戦略を「中国産のワクチンの性能を疑っている」から、と言っていたわけだが、このことは、あまり、上先生が中国の事情に詳しくないことが関係しているかな、と思った。
というのは、IWJで田代秀敏先生が言っていたことに関係する。
まず、中国において、医者は日本のような「上級国民」ではない。つまり、まったく、ステータスの高い職業ではないのだ。
中国において、田舎の町医者は、だれもやりたがらない職業なのだそうだ。
日本においては、医学部は理系で一番頭のいい人たちが行く学部とされている。しかも、医者という職業は、ほとんど日本において「上級国民」の階級を意味するものとして機能してきていて、そもそも、医学部に入っても、授業料を貧しい家庭は払えない。そこから、医者になるのは医者の子どもといったような、完全な「階級」が生まれていると言っていい。
しかし、そのことは逆に言えば、歴史的な過程もあり、日本では町の医者が高いステータスを与えられてきた、という伝統があることを意味しているとも言える。
対して、中国では共産党革命もあったのだろう、そもそも、医療を国の隅々に普及させることに、そこまでのモチベーションがなかった。
(ちなみに、以下の動画でも、中国の病院事情が説明されている。

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なぜ、中国がロックダウン政策を続けているのかは、地方の医療インフラの脆弱さが関係している。もしも、新型コロナ患者が地方にあふれると、彼らはもしも病院にかかりたいとなったら、都会の大きな病院に通院しなればならない。そうするとお金もかかるし、そこまでするなら病院に行かない、という人があふれる。そうすると、みんな感染しても病院に行かないのだから、次々と感染して、ウイルスを体内に常時もっている人が増えていく。すると、彼らの体内で、確率論的に、一定の割合で危険なウイルスに変異する割合がでてくる。)
結局、中国の中央集権化は、都会の

  • 大病院

または、

  • 大学

だけが、やったらいい設備で研究などを行うが、それが、地方の末端の医療の改善に寄与しない、という「発展途上国型の医療」が続くことになる、と...。