スパスタを肯定的に語っている人

アニメ「ラブライブ・スーパースター」の第2期について、以下の方は、かなり肯定的に解釈しているので、この方が指摘している論点について、検討してみたい。

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この方の言っている内容のポイントは、

  • かのんの「夢=目標」は、「世界中の人を歌で幸せにする=世界中の人を歌で笑顔にする」ことにある

という部分にポイントがある。
これは、彼女の子どもの頃の話として、作品内で登場するのだが、結局この

  • 抽象的

な内容を巡って、作品のテーマが進んでいる、という解釈で整理している。
というか、こういった読解は「テーマ先行型」と言ってもいいかもしれない。
結局、第2期は、「優勝する」ことと、「みんなを笑顔にする」の二つのテーマが緊張して描かれている。なんのために優勝を目指すのかは、常に「優勝を目指す」ことの正当性と関わって、不安定になる。優勝を目指すことが、自らの活動を不安定にする。「優勝」と言ったときに、では、かのんが子どもの頃から思っている「みんなを笑顔にする」という関係がどうなっているのかが、ずっと、緊張感をもって描かれている、と。
一つ目の山は、二期の最初で、1年生問題から始まっている。優勝を目指すと言うと、一年生が入ってこない。だったら、優勝を目指すと言わないことにしようとしたら、きな子がそれは駄目だ、と言う。結果として、フェスで、マルガレーテに負けるわけだけど、きな子を含めた学園内のライブで、きな子が最高の笑顔だったことに、かのんは自分のやってきたことが間違っていなかったと思う。
二つ目の山は、サニパがマルガレーテに負けたことで、ここで、マルガレーテが「本当の歌」という言葉を使ったことにより、これを巡って、かのんに緊張感が生まれる。
マルガレーテはその答えとして、パフォーマンスをより技術的に完成度を高める方を目指すわけだが、かのんは、自らの子どもの頃の夢である

  • 観客を心から楽しませて、「みんなを笑顔にする」

を「強調」した形のパフォーマンスを大会で行うことによって、マルガレーテに勝利することになる。
上記の動画の方の言い方を紹介するなら、

  • 勝つことでみんなを笑顔にする

ではなく、

  • みんなを笑顔にすることで勝つ

ということだ、と。
まあ、おそらくこれが、制作サイドが「言いたいこと」なのだろうということでは、まったく、同意するわけである。おそらく、こう解釈してほしいんだろうな、と。
特に、マルガレーテが、かのんたちが全国優勝するために使われた「かませ犬」としての存在だとして、その

  • 対立軸

をどこに置いて理解すればいいのか、ということではこの整理は、そこまで違和感はないわけである。
問題は、

  • 世界中の人を歌で幸せにする=世界中の人を歌で笑顔にする

という、かのんの夢が著しく、抽象的で、結局のところ、これが何を意味しているのかが、いっこうに具体的に描かれない、というところにこの作品の「言いたいこと」への不信感が発生している。
例えば、上記の「かのんvsマルガレーテ」にしても、ようするに、「本当の歌」と言った場合、

  • 歌の<テクニック>

より人生には大事なことがあるんじゃないか、ということが言いたいなら、そんなことは誰だって分かっているわけでしょう。でも、これを

  • 歌の<テクニック>以外で、人の評価を判断する

と言った場合、それは本当にフェアなのか、といった視点だって、ありうるわけでしょう。
いや。もっと違った視点で考えることもできる。
「かのんvsマルガレーテ」を見たときに、

といった視点で読むこともできる。かのんの側は、学校のみんなに応援されて、たくさんの仲間がいて、まったくもって「幸せそう」というのは、誰がどう見たってそうだろう。
それに対して、マルガレーテは一人でがんばっていて、友達もいなさそうで、まるで、マルガレーテは、かのんたちに「いじめ」られているように見えなくもないわけだろう。そう考えたら、マルガレーテが、あんなふうに「コミュ障」を発揮して、負けたら、イキってしまったと考えるなら、いや、もう少し世の中はマルガレーテに同情的に対応してもいいんじゃないのか。
あのさ。
結局のところ、

  • 世界中の人を歌で幸せにする=世界中の人を歌で笑顔にする

の対立軸として、

  • 歌の<テクニック>だけで、人の評価を判断する

というのをもってきたことは分からなくはない。しかし、本当にそれだけなのか? 幸せってなんなのかとか、もっと深い所まで話をもっていかないと、認識が深まっていかないんだよね。
ただ、上記の動画の方が最後で言っていることには、私も賛成だ。

の可能性についてであり、おそらく、3期でマルガレーテがリエラのメンバーになることで、国内にライバルがいなくなることもそれが理由だと考えられるだろう。
(2期であれだけマルガレーテのお姉さんがキャラ立ちして描かれたのだから、3期で絶対に登場する。まあ、間違いなく、マルガレーテのお姉さんはキャラデザがあるわけで。)
そして、その目標は

  • 世界中の人を歌で幸せにする=世界中の人を歌で笑顔にする

と関係して描かれる。まあ、これによってさまざまな世界中の人について語られることになるのであれば、おもしろくなりそうだ、とは思うが...。