アジア「の」勝ち方

カタールW杯は、初戦に、カタールエクアドルにぼろ負けして、イランがイングランドのぼろ負けして、

  • アジアの質が悪い

となって、アジアの出場枠を減らされるんじゃないか、といった議論さえ湧き上がりそうな勢いだったわけだが、今日の、サウジアラビアのアルゼンチンの勝利によって、ひとまず、この話はしりすぼみになりそうだ。
しかし、こうやって並べてみると、エクアドルイングランドもアルゼンチンも、どれも

  • 今大会の優勝候補

と言われているような、特に、この大会で強いと話題になっていた国ばかりなわけで、カタールやイランが、まったく歯が立たなかったのも分かるわけで、そういった情況だけに、サウジアラビアはよく勝ったな、と思うわけだ。
たまたま、この三試合を私は見ていたこともあって、サウジアラビアの勝利は、私のような、アジアを応援している人には、特に、印象的な試合だった。
今大会の特徴は、

にある。まず後者だが、今大会は得点の取消、PKが多い。どっちも、AIが判定して、与えられている。まず、ゴール前で、服をひっぱったら、PKになる。よって、マンツーマンディフェンスはできない。ゾーンディフェンスをやるしかない。
サウジアラビアは、とにかく、ヨーロッパ組がいなくて、2ヶ月、国内で合宿をしてきた。
彼らが武器にしたのは、

  • ハイライン

だった。びっくりするくらい、ディフェンスのラインが高かった。
このため、アルゼンチンは何度も、スルーパスで抜けようとしていたが、

によって、それでせっかく、点をとったのに、取り消された。キレキレでシュートをして決めた後に、「オフサイドだった」と言われることを繰り返すと、足を使ってしまって、後半、動かなくなってくる。オフサイドと言ってくれないから、走るのを止めることができなくて、どんどん、足を使って、消耗していく。
多くの解説者によると、サウジのハイラインは評判が悪い。なぜなら、現代サッカーにおいて、ハイラインと前線からのプレスはセットのものと考えられているからだ。
何年か前まで、ラインコントロールは守備の戦術として存在していたが、これがあまり言われなくなったのは、前線に残っていても、攻撃に参加していない意志を示すと、オフサイドにならないというルールが普及したからだ。
しかし、サウジは前線のプレスをほとんどやらなかった。とにかく、サウジがやったのは、守備ラインを高く維持して、前線との間を極端に狭くすることだった。
このハイラインは、これからアジアのチームが勝ち上がっていくのに、いいヒントになったんじゃないか。このいい点は、相手を自陣のペナルティエリアになるべく入らせないようにできることだ。もしそれができれば、

  • 事故による失点

を最小限にできる。アジアのような、技術で負けているチームが勝ち上がるのには、なくてはならない戦術のように思われる。
それにしても、アルゼンチンはことごとく、オフサイドトラップにかかっていた。この原因として、サウジの

  • 全員国内組の二ヶ月合宿

で、相当に連携を深めてきたことがあるのだろうとは思う...。

追記:
あと、言うまでもないが、8万人が入る球技場で、ほとんど、サウジの応援で、アルゼンチンの選手も、ここまでの雰囲気を体験したことがなかったのかもしれない。だいたい、偉そうなことを言っている人は、ミュートして試合を見ているから、トンチンカンなことを言っているんだよね...。

追記:
後半の最後は、サウジはフルボッコだった。でも、どんな形であれ、ゼロで守りきれば勝てる。勝利の半分は根性でできているわけである...。