自民党問題

今回の選挙の特徴を一言で言うなら、安倍首相が

という体裁をとって行われているところにあるのではないか、と思っている。つまり、安倍首相は実際の、自民党の中か、財務省経産省の中で、どのような位置付けになっているのかは分からないが、安倍首相サイドが、国民に

  • どのように見られたいか

は明らかではないか。
安倍首相は、自分は「財務省」と闘っている、と国民に思わせたい。つまり、財務省からの消費税値上げ攻撃に、自分は解散総選挙によって、「抵抗」しているのだ、と思わせたいわけである。
安倍首相は国民に「自分が財務省に抵抗して、消費税の値上げを食い止めたのだ」と思わせたい。つまり、自分は国民のために、財務省から国民を守った、と言いたいわけである。自分は国民の味方であり、国民の苦しい生活を、財務省の悪の手先から守ったのだ、と暗に示唆しているわけである。つまり、彼は

  • 財務省を中心とした、国の中枢にいる国民の敵と、自分は国民の生活を守るために、陰では闘っている。それが今回の解散の意味だ。もしも国民からの自分への支持がなければ、自分が負けてしまい、消費税は青天井に上げられてしまう。そうならないように、自分を支援してくれ

と。メタメッセージとして、自分を応援しなければ、財務省に、どこまでも消費税を上げられてしまう。それが嫌だったら、そのことから「一人」だけで闘っている自分を応援してくれ。してくれなかったら、どうなるか分かっているだろうな、というわけなのである。
しかし、こういった安倍首相による、財務省との対決姿勢はどこまで事実なのだろうか。なぜなら、だったらなぜ、消費税を8%にしたのか。なぜ、1年後には、一切の保留条件を除いて行う、とまで言うのか。
この「茶番劇」に対して、なさけないことに、民主党自体が、消費税に大賛成であり、財務省と大仲良しだという、なさけないことになっていることが、さらに、安倍首相の発言に説得力を与えてしまっている。
前から言っているように、リフレ政策はヨーロッパでは、むしろ、中道左派の政策であって、本来なら民主党社民党共産党が言っていなければならない政策であったはずであるのに、なぜか、これらの党はリフレ政策に「反対」の姿勢を、政策として掲げることになってしまっている(野党は与党のなんでも反対の、日本の政治文化の悪い側面がでているのであろう。もちろん、個々の政治家にば、 こういった金融マクロ政策に理解のある人もいるのであろうが)。
そもそも、自民党政治の特徴とはなんだろう。
自民党は組織票に支えられた政党だと言えるだろう。その特徴は、一言で言うなら、

  • 政策決定に「国民」を介させない

というところにあると思っている。つまり、住民自治に徹底して反対なのだ。例えば、政策決定において国民投票に反対だ、というところにある(彼らが国民投票をやりたがる場合というのは、例えば、憲法改正といったような、「今自分たちの自由を縛っているもの」の破壊のような場合には賛成なのであって、「自分たちを縛ることになる」選択には反対というわけである)。
つまりは、「裁量行政」ということになる。それが「権力」だというわけである。
民主党から自民党に戻ったことで、この「国民の声を聞かずに、勝手に政策を決めてしまう」という、自民党の昔からの政治スタイルが復活している。原発政策は、まったく国民と関係ないところで密室で何もかもが決まるようになった。これでもう、国民は何を言っても、自民党政権である限り、勝手に再稼動も原発新設もされてしまうであろう。
これは、あらゆる政策について言える。自民党が欲しいのは「組織票」と「献金」である。そのための「バーター取引」として、政策が使われる。もちろん、その政策は、多くの場合、ほとんどの国民にとっての利益ではない。その取引は、あくまでも一部の利益集団だけにとっての「利益」である。つまりは、自民党は「悪魔」に魂を売ることによって、拡大していく政党だと言えるであろう。
自民党の特徴は「秘密主義」である。これに対して、私たちが求めるべきリベラルな政治勢力の特徴は、

  • 国民に開かれた

政治にあると言えるであろう。あらゆる情報が公開され、風通しがよく、なるべく多くの国民の意見を取り入れようとする。一部の利益集団の個人的な利益が、クーデターのように、いつのまにか決定されるようなことのない、多くの多様な国民の熟慮が反映されるような政治。こういった萌芽は、まちがいなく民主党政権にはあった(もちろん、それが十分だったとまでは言わないが、例えば、記者会見のオープン化といったところには、その意図が見られたと言えるだろう)。しかし、自民党政権に戻って、完全に今までの密室政治に戻ってしまった。このことの「危機感」をどれだけ理解しているかでそれが、「ウンコな議論」かそうでないかを、よく見分ける橋頭堡となるであろう...。