2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

情報戦論

昨日紹介した、西田さんの本は、この本の著者の思想がどうこう以前に、その「内容」において、非常に興味深いものをもっている。それは、自民党がどのようにして、いわゆる ネット工作員 をコントロールしているのか、についての、ある側面をあばいているか…

西田亮介『メディアと自民党』

掲題の本は、近年の自民党のネット戦略の本格的な分析であるという意味で興味深い内容になっている。 例えば、ある若い人で、毎日、朝の少ない時間であるが、新聞を読む代わりに、ヤフーニュースのトップページで、気になる記事を読んでいる人がいるとしよう…

稲葉振一郎『不平等との闘い』

掲題の本は、結局のところ、なにかの答えを与えるといったような議論になっていない。むしろ、アカデミックな場での流れというか、流行というか、なんらかの解釈の流行を、それがどこまで合理的に説明できるものなのか、といった視点で整理している、といっ…

フロイト心理学というパターナリズム

おもしろいのは、アドラーがフロイトを批判したとき、フロイトが過去の「事実」の中から、今の「原因」を特定しようとする姿勢が、後ろ向きであることの「病理性」を問題にしていたことであった。 このことは何を言っているのかというと、過去というのは、今…

欲望の方法と実証

プラトンは人間は、知らないことを知ることはできないのだから、人間は産まれたときには「すべて」を知っている、といったようなことを言ったw なんだこれは、ロックのホワイト・ペーパー仮説の真逆じゃないか、と思ったわけだが。 例えば、映画評論家の町…

子安宣邦『「大正」を読み直す』

現代の日本においても、さまざまな論客が 民主主義否定論 を言うわけだが、それはようするに権威主義であり、エリート主義と解釈されるものであるわけだが、そういった論客たちの立論は、「いつか来た道」であるわけで、ようするに「保守派」というのは、戦…

田中伸尚『大逆事件』

掲題の本について知ったのは、子安宣邦の『「大正」を読み直す』を読んだからなのだが、ある意味において、大正時代のこの「構造」は現代においてもなんら解決されず、続いている。同じ構造が 反復 されている、と考えることもできるように思われる。ではこ…

成田龍一『大正デモクラシー』

明治以降の日本の近代化を、一つの「大衆化」の流れの中で考えるなら、大正時代のある時期の「民主化」が一見実現されたかに思われる時期と、そこから、関東大震災、満州事変へと流れていく中での、この「大衆化」の問題がどのように顕在化していったのかを…

尾松亮『3・11とチェルノブイリ法』

チェルノブイリ原発事故のとき、ソ連の科学者たちがどのように振る舞ったのかはあまり知られていない。それは、ある意味において、日本の3・11の福島第一事故において、御用学者たちがどのように今も振る舞っているのかと、基本的には同じだったわけであ…

西垣通『集合知とは何か』

そういえば、この前、日本語のウィキペディアの「集合知」の項目を見ようとしたら、なぜか「集合知能」のリンクに飛ばされて、なんなのかなと思ったのだが。というのは、言うまでもなく、私たちが「集合知」という言葉を意識するようになったのは、スロウィ…

杉山茂樹『攻撃的サッカー』

サッカーを著しく特徴づけているのは、そのルールの「シンプル」さ、だと言えるであろう。それは、ボールを運ぶのに、手を使ってはならない、つまり、基本的に足で操作する、というそのルールが、人間の日常生活では、基本的に足で何かを行うといった行為が…

プログラミング社会

例えば、仕事でマイクロソフトのワードやエクセルやパワポを使っている人は多いだろうが、それには、「マクロを記録する」機能があるし、フリーのテキストエディターでも普通についている。 ようするに、自分が行った操作をマクロというプログラムにしてくれ…

田舎という記号

弁証法というと、ヘーゲル哲学ということで、正反合のアウフヘーベンとか、そんなことを考えるのであろうが、この弁証法を、例えば、統計力学で説明するなら、非平衡状態から平衡状態へ遷移した、と考えるのが自然であろう。ただし、その場合に、多くの「次…

ファシズムと科学

科学というのは「客観」と考えられている。しかし、もしもこの世界に客観なるものがあり、それを知ることができるなら、それはファシズムではないのか。 ファシズムとは、「あなたの幸せは、私の言う通りに生きることだ」と言うようなもので、一種のパターナ…

バロウズ・ダンハム『倫理学』

いろいろな考えがあると思うが、私は基本的にファシズム論で考えていて、つまりは、大抵のことは、ファシズムを防げるのであれば、肯定できるんじゃないのか、と考えている。 しかし、それに対して、いや「ファシズムがいい」んだ、みたいな、ヒットラーの再…

斎藤環・佐藤優『反知性主義とファシズム』

私にはどうも、女性アイドルが歌う歌の歌詞を、男のプロデューサーが書いているという事実自体が、少し、信じられない印象をもっている。そういう意味で、AKBの歌の歌詞を、秋元プロデューサーが書いているわけで、そういうものを買っているファンの人た…

斎藤令介『原始思考法』

掲題の本は、もう何十年も前の本であるが、この本の最初に書かれているように、村上龍の『愛と幻想のファシズム』などの、一連の彼の発言に、非常に大きな影響を与えたことが分かる形になっていて、実際、掲題の著者と村上は何年かの間、一緒に狩りをする旅…

日本会議と安倍政権

ここのところ話題の、『日本会議の研究』(菅野完)を読ませてもらったが、まさにこの本は、ジャーナリズムの王道とでも言うか、よく調査報道をされている。というか、なぜ、このレベルの報道が一般の大手マスコミで今まで出てこなかったのか、あまりにも日…

リベラリズムの嘘

リベラリズムというものを私が「うさんくさい」と思うようになったのは、まあ、リチャード・ローティが「うさんくさい」と思うようになってから、ということになるのだろうか。 例えば、リチャード・ローティは彼の「プラグマティズム」の果てに、アメリカン…