2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

櫻井孝昌『日本が好きすぎる中国人女子』

この本は、ある意味、「告発」の本だと言える。つまり、私たちが「知らない」だけで、実際の、中国の状況は、こうだ、と言うわけである。 それは、掲題の著者の「実感」として、明らかな自明性がある、ということなのであろう。 私たちの通念では、中国とは…

千葉雅也『動きすぎてはいけない』

ハンナ・アレントが、ナチス以降の、この戦後社会において、大衆社会を、最も重大な問題と位置付けたとき、おそらく、現代社会は、なんらかの、 次のフェーズ に進んだ、ということを意味していたのかもしれない。 アレントが、全体主義の回避こそ、あらゆる…

東浩紀『存在論的、郵便的』

掲題の本において、著者はなぜ、デリダが後期において、非常によく分からない、いわば「神秘的」な文章を書き始めたのか(その反面において、具体的な保守的に、現実政治に積極的にコミットメントしていったのだが)、といった問題意識から、議論を始めてい…

ハンナ・アレント『人間の条件』

なぜ、ハンナ・アレントが重要なのか。それは、彼女が、ユダヤ人として、ナチス・ドイツであり、「全体主義」であり、「大衆社会」を考えたから、と言うことができる。 つまり、ある意味で、彼女が「戦後世界」の枠組みを作ったのである。 つまり、どういう…

条件付き恋愛

アニメ「WHITE ALBUM2」は、今、第3話まで来ているが、正直、第3話は意味が分からなかった。 しかし、その前に、言わなければならないことがある。つまり、そのノベライズ版を第2巻まで読んだのだが、それが私には「なにを言っているのか分からなかった」…

若杉冽『原発ホワイトアウト』

ここのところ、「原発ホワイトアウト」という、匿名の官僚が書いた小説が話題になっている。この小説は、登場人物が匿名になっていながら、ある意味、現実社会のだれのことを言っているのかが、分かるような書き方になっている。そういった形で、新潟県知事…

阿部泰尚『いじめと探偵』

私はしょせん、人間なんて、そう簡単に自分にプライドをもてるようにはならないものだ、と思いながらも、逆に、自分にプライドをもてているなら、そういった人間たちで作られる社会は、それなりに「まとも」なんじゃないのか、と思ったりもする。 というのは…

科学者とは何者か?

3・11以降の、福島第一由来の低線量放射性物質の健康影響について、安全厨と危険厨による、果てしない、議論が続いているのだろうが、ここでは、その成否ではなく、そもそも、科学者とは何者なのか、について書いてみたい。 そもそも、科学とはなんなのか…

ある固有性

ラノベ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」において、ぼっちの主人公、比企谷八幡(ひきがやはちまん)が、なぜ、由比ヶ浜結衣(ゆいがはまゆい)に好意をもたれたのかは、彼女が飼っている犬が交通事故に会ったとき、八幡が救ったからであった。 …

酒井智宏『トートロジーの意味を構築する』

私が文系の人たちの書く文章に違和感をもつのは、結局のところ、その「饒舌」は、なんらかの新しいことが言えているのか、という疑問であった。 いろいろ、饒舌に語ったところで、結局のところ、「AはAである」ということしか言えていないのであれば、そう…

ある非対称性

私は、米澤穂信の「愚者のエンドロール」という推理小説について、以前に書いたことがある。この小説が興味深かったのは、折木と入須の関係が、とても、現代社会を考察するのに、多くの示唆に富んでいるように思えたからである。 「探偵をしてほしい」(と言…

低線量被曝問題は結局のところ、どう考えればいいのか?

前回、地球温暖化の話を考えていて、つくづく、地球温暖化と低線量被曝の話は「似ている」と思った。つまり、これは、 予測 の問題だからだ。私は、3・11の福島第一原発事故による、晩発性の人体への影響がどういったものになるのかを、私たちの「科学」…

江守正多『異常気象と人類の選択』

私たちが「科学」と呼ぶとき、それは、どちらかというと、「デカルト」のような「姿勢」に関係して主張されてきた。つまり、 反証可能性 対照実験 つまり、だれでも、その実験を反復することによって、相互チェックによって、その「結果」を反復できることで…

熟議とは何か?

私たちが金融機関からお金を借りようとしたとき、まず言われるのが、「担保」である。つまり、基本的に人間は、 信用されない のである。そのことには、いろいろな意味がある。基本的に、人はどんなに注意をしていても間違うことがある、という意味でもある…

田村哲樹『熟議の理由』

私は、どうも、この本が言っていることが、よく分からない。というか、その最初から話し始めている「前提」がよく分からない。 それは、私が読者として、中途半端だから、ということより、掲題の著者がおそらくもっている、ある「共通認識」が今一歩、自分の…

ナスティ・チルドレンの「さみしさ」

インターネットのすごさは、やはり、ネット動画において、考えさせられる。ネット動画のすごいところは、いろいろな二次創作が行われていることだけでなく、さまざまな 過去 の動画コンテンツが、どんどんアップされていることではないだろうか。昔のライブ…

日野行介『県民健康管理調査の闇』

掲題の本は、ある毎日新聞の記者が、福島県が行っている、県民健康管理調査に「秘密会」があることを発見していく過程を記した本である。 県民健康管理調査は、非常に重要な使命をもっていた。3・11による福島第一の事故によって、福島県民の多くが大小さ…