2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

冨田恭彦『カント哲学の奇妙な歪み』

私たちは経験からしか、なにかの「知識」を得ることができない。ところが、デカルトの「独我論」においては、一切を疑った後で「我思う、ゆえに我あり」というわけで、いや。全てを疑うのだから、それって「経験」に頼れないということなのだから、それって…

月脚達彦『福沢諭吉の朝鮮』

明治維新は、結果としては、薩長がイギリスと組んで、江戸幕府を倒して、新政権を作ったわけで、まあ、そういう意味では「革命」であった。福沢諭吉はそれを「文明」と言ったわけで、それによって日本は文明化された。軍事的に強くなった、と。 それに対して…

宇宙とAI

資本の自己運動にとって、「成長」しない市場というのは、いわば反語的な表現なわけで、つまりはそんなことはありえないし、あってはならない、と。アメリカ建国の歴史が、イギリスからの「疎外」された人々の「逃走」の先に見出される「無限の大地」という…

人生の意味

カントの言う「実践理性」という言葉は、多くの人にさまざまな「考察」をもたらすわけであるが、なぜそうなるのかと考えると、いわゆる一般的な「科学」的な手法と違っているから、ということなんじゃないかと思っている。 一般的な科学の手法は、基本的にま…

実践理性とは何か?

アニメ「TARI TARI」という作品は、見る人にとても内省を促す作品になっている。 このアニメの前半は、なぜか主人公の坂井和奏(さかいわかな)が非常に生きることに積極的でない印象を与える。それが一種の「謎」となって、作品は進む。 しかし、その理由は…

稲葉振一郎『政治の理論』

例えば、日本の江戸時代の江戸幕府は、基本的には農民たちの生活に関与しなかった。彼らが農民に求めたのは、年貢を納めることで、そのための、農地の大きさの計算などには注意を払ったわけだが。 もしも「国家」が「政治」を行っていたとして、それが江戸幕…

グローバル化運命論という悪魔

つい最近まで、世界中で流行していた議論が「グローバル化」であった。世界は必然的に「グローバル化」していく、と。まあ、どこの世界でも同じようなショッピングモールwができて、同じような商品が並んで、同じような言語を話すようになり、話す内容も同…

道徳の「存在証明」

道徳は物理法則のようには存在しないのだから、つまりは存在しないのだから、道徳に従わなくていい。人間はなにをやってもいい、というのが「非道徳主義者」だというわけだが、ここでのポイントは「非」つまり、道徳は「ない」にある。 しかし、「ない」と言…

アメリカ合衆国とリベラル

アメリカという国は、もともとイギリスなどから迫害されていた人たちが希望の土地として移民してきた人たちが作った国だとされているわけだが、その含意はそこに、無限のフロンティアがあるということを意味していた。つまり、いくらでも土地が「余って」い…

杉本俊介「'Why Be Moral?'問題の再検討」

(掲題の論文は、京都大学の博士論文?ということのようで、よく分からないけれど下のサイトからpdfで全文が読めた。今はこういった学位論文は、公開するようになっている、ということなのだろうか。いずれにしろ、私の最近の関心とも重なっていて、しかも、…

矢部武『日本より幸せなアメリカの下流老人』

結局のところ、どのような「正義」が今、求められているのだろうか? 例えば、ブレクジットにしても、多くの「移民」がイギリスを目指してやってくる。特に、EUのイギリスに比べて相対的に貧しい国々、東欧のような国々からイギリスで働くことを求めて、大…

森田健司『明治維新という幻想』

私が素朴に思うことは、それはマルクス哲学の文脈で言われてきた「物象化」のようなものであって、つまり、人々は「抽象的」な思考を苦手としている。常に、何かを 具体的な何か(=物象化。例えば、キリスト教で言えば、その教義が何を言っているかではなく…

御用デンパ

なぜ「エリート独裁」ではなくて、「自治」なのか、ということについては、私はさんざん書いてきたつもりなのだが、ようするに、自分の身の回りを考えてみれば分かるわけで、例えば、日本の国家官僚(キャリア組)が一体、 この日本に何人いるか を考えてみ…

クリスティーン・コースガード『義務とアイデンティティの倫理学』

進化論は、人間は動物なのだから、進化の「法則」に照らして、「合理的」に行動するものだ、と解釈する。というか、「合理的」でなければ、死んでいた、と。まあ、いずれにしろ、進化によって、人間の「行動」は説明できる、というわけである。 しかし、私た…

マイナスの功利主義

映画館で、アニメ「傷物語 3冷血篇」を見て、そういえば、ずいぶん昔にこの小説を読んで、このブログに感想を書いたことを思い出した。というか、作品の内容はほとんど忘れていて、阿良々木くんが羽川さんの後ろを歩いていて、俺がこんないい女と話ができる…

疎外女子

アニメ「ろんぐらいだあす」を見ていたら「自転車女子」とかいう表現がでてきて、つまり、「なんとか女子」とかいう表現がはやっているということなので、掲題のタイトルをつけてみた。 「疎外」という言葉は、まあ日常の使い方でも「疎外感」なんて言ってみ…

人文科学という「それ以前」の形而上学

デカルト以降の人文科学には、ある一つの特徴がある。それは、人間に「前の何か」を想定する、というところにある。 そのことは、デカルトを決定的に特徴付ける「要素還元主義」に関係して進められてきた、と言えるであろう。デカルトは、「延長」と「分割」…

ルール?

そもそも、ルールというのはよく分からない側面をもっている。例えば、プロスポーツであるが、以下を読むと、この著者はプロ野球はプロサッカーに比べて、ルール化されていないルールに選手が従っていて「理不尽だ」と言っている。 6点もリードしていたら、…

なぜ子どもは親の命令に従うのか?

子どもは、この世界がどうなっているか知らない。それはそうである。教わっていないのだから。というか、教えようがないのだ。なぜなら、それを教えるというのが、義務教育そのものとされているのだから。ということは、義務教育の過程が全て負わって、中学…

リベラリズムという言葉のうさんくささ

基本的に「無道徳主義者」と「自由主義者」は同じ人たちということになるのだが、そのことが何を意味しているのかと考えると、自由とは「大人」だということを、彼らは言いたい、ということが分かる。 私は「リベラリズム」という言葉を使わないようにしてい…