2010-01-01から1年間の記事一覧

情報強者たちと距離をとることについて

ここのところ、量子力学の本を読んでて、こりゃダメだな、と思った。話が深すぎる。そりゃ、トーゼンな話で、こいつの基礎研究だけで、一生涯を賭けている人が100年前から、世界中にごまんといるのに、私一人が、どうあがこうと、そんな離れ技ムリだ。 シ…

山崎恵人『GIGAZINE 未来への暴言』

管総理大臣は、「一に仕事、二に仕事、三に仕事」と言ったそうだが、経済学者に、この発言は、恐しく不評だ。 一国のリーダーが考えるべきは、国富論であって、慈善事業じゃないだろう、ということらしい。国がお金儲けをできなかったら、国民に福祉をやるた…

新しい雑誌の誕生

なんにせよ、新しい雑誌が生まれるときというのは、興奮するものだ。さっそく、某本屋で、購入させてもらった。 最初に目についたのは、廣瀬通孝さんという方の「二一世紀と時間技術」という短かいエッセイだった。まだ、じっくり読めていないが、私はこうい…

ジョナサン・ジットレイン『インターネットが死ぬ日』

ここのところ話題の本ですね(ちょっと、今回は、いつも以上に雑な文章になってしまいました。読みづらく、すみません)。 私にはどうも、コンピュータを「バーチャル・リアリティ」として考える「作法」に、違和感を感じる気持ちが、どっかに残っている。そ…

ハル・コック『生活形式の民主主義』

民主主義という言葉は、よく考えると変である。日本は、戦前、結局は、普通選挙が実現されていたわけで、「民主主義」を実践していた。ナチス・ドイツにしても、彼らは、選挙によって、合法的に、政権を奪取した「政党」であって、特にその、政権党となった…

渡邉義浩『儒教と中国』

今回の、都の漫画規制条例が成立したことについて、とにかく、大事なことは、冷静になることなのだろう。 それにしても、ここまで、ネットの世論が心を一つにして反対したことというのは、そうそうなかったのではないだろうか。この団結力というのか、連帯感…

エルンスト・ユンガー「総動員」

ユンガーを知ったのは、カール・シュミットについて読んでいるときであったのだが、シュミットにとっての、初期のもの(「政治的なものの概念」など)を除いて、中期以降の作品というのは、完全に、その以降、ユンガーの影響下にあるのではないのか。正確に…

都の青少年条例

(今回のネタは今週の、videonews.com のかなり、受け売り。) 都の漫画規制案が民主党が賛成するとかで成立しそうな勢いとなっている。 今回の条例の問題とは、なんなのだろうか。 まず、今回の問題は、若者が、かなり直接の当事者になっていることもあって…

諫山創『進撃の巨人』

今日、第三巻まで読んだ。連載は読んでいない。 ある種の、極限状況を空想することは、さまざまな問題の本質を明らかにする(そもそも、科学とは「極限状況」を説明するための営みであり続けたわけである。ニュートンがリンゴが落ちるのを見て万有引力の着想…

経済「外」的という欺瞞

今週の videonews.com は、TPPにからんで、農業問題をとりあげる内容であった。 近年のFTA、TPPの議論は、非常に重要な問題に思えるのだが、どうも真剣に議論をしている、サイトも見かけなければ、ツイッターのつぶやきも見かけない。 (それにして…

植村和秀『昭和の思想』

著者は明治と昭和の違いを強調する。つまり、明治の頃というのは、言ってみれば、政府が小さい。まさに、革命政権で、何人かで、一気にあらゆることを決めて、突破していった。 ところが、昭和の頃にもなると、もう、何世代と経過してきて、政府を中心とした…

スーザン・ソンタグ「未来に向けて」

大江健三郎との2回の往復書簡。 ここのところ、コソボ内戦関係の本を読んでいた。もちろん、北朝鮮による、韓国への「先制攻撃」に関して考察する延長において、である。今回の、北朝鮮の行動については、すでに多くのことが語られている。 北朝鮮の報道機…

なんとも困った中二病

アニメ「Fate/Stay Night」を見て、つくづく思ったのは、この中二病において、ドーテーチェリーボーイたちの、 少女幻想 ではないか。戦闘美少女とは、ドーテーボーイの、おぼこ、な処女幻想を「守る」ことだけを願う。たとえば、セイバーは、この現代の日本…

渋谷望『魂の労働』

だれでも考えることは、個人に問題があるのであれば、その問題を、 上位機関 が面倒をみればいいのではないか、ということである。下が困っているのであれば、上がそのアラートをキャッチして、手当すればいい。 しかし、これは、逆についても言える。 働き…

ジャン・ボードリヤール『消費社会の神話と構造』

このあまりにも有名な本を実際に読んだ人というのは、どれくらいいるのだろうか。 例えば、著者はこの「神話」について、端的に述べている場所がある。 経済学者は、公共サーヴィスと私的サーヴィスをまったく区別しないであらゆる種類の生産物のサーヴィス…

アニメ「CLANNAD」についての雑考

アニメ「CLANNAD」 CLANNAD Blu-ray Box【初回限定生産】出版社/メーカー: TBS発売日: 2010/04/30メディア: Blu-ray購入: 3人 クリック: 75回この商品を含むブログ (24件) を見るCLANNAD AFTER STORY 1 (初回限定版) [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン…

松宮健一『フリーター漂流』

(私は、今、フリーターや、失業問題について考えるための、知を欠いている。以前も、何度か、このブログで考えたこともあるが、まあ、その程度、ということである。 だから、ここで考えたいことは、そういった俯瞰的なヴィジョンではなく、もう少し、違った…

水野和夫『超マクロ展望 世界経済の真実』

萱野稔人さんとの対談。 よく経済を、マクロとミクロに分ける。しかしそれはなぜだろう。同じ経済の問題をなぜこのように分けるのか。それは、多くの場合、「実証」研究の都合の関係から、こういった分け方がされているように思われる。 たとえば、物理学を…

日本人という「あいまい」な輪郭

日本人がなぜ、外国語を話すのが苦手なのかを、この前は、日本語の音節言語にある、と考えた。つまり、常に、子音と母音がペアで発音され、子音だけ、という発音が日本人には、「理解ができない」。 たしかに、こういったことがあるのだろうな、と思わなくも…

三中信宏『進化思考の世界』

進化論が、日本に紹介された時期と、明治維新は、ちょうど重なる。明治の文明開化の時期に、一緒に、日本に紹介される形になっている。 この事実は、何を意味しているのであろうか。明治の文明開化の時期に、日本に その他のさまざまな、文明の利器と一緒に…

大澤信亮『神的批評』

うーん。なかなか批評しづらい批評ですねー。 掲題の本にもあるが、著者は、NAMの「中の人」として、その解体にも立ち会った人間として、そこに、総括がなかったことを「総括」する。 NAMの失敗以来、日本文学における柄谷行人の権勢は完全に地に落ち…

フィリップ・コトラー『コトラーのマーケティング3・0』

私たちは、お金儲けをすることが、実際には、なにをしていることになるかを考えることは、日常にはない。日々の忙しさに、毎日を追われ、結局、それはなんなのか。考える前に、その日は終わる...。 ちょっと待ってくれ。もうそこまで、喉元まで出かかってい…

セス・ゴーディン『パーミションマーケティング』

私たちは、よくもまあ、生まれてたら今まで、あきもせず、よくもまあ、これだけの 広告 を消費してきたものだろうか。テレビをつけて、チャンネルを民法に合わせれば、何分おきかには、必ず、見ていた番組とは、なんの関係のない、自分には どーでもいい あ…

ベン・メズリック『facebook』

この本は、フェイスブックを作った、当時のハーバード大の学生、マーク・ザッカーバーグを中心とした、フェイスブックが作られ、世に広がっていった、そのサクセスストーリーに関わった人々の物語になっている。 この本の大きな特徴は、作者マークを「カリス…

Eric.S.Raymond『The Art Of UNIX Programming』

多くの人々は、これからの、IT 社会の未来を考えるときに、なぜか、その 基盤 となっている、「OS」の歴史から、考えようとしない。未来の社会は、こうなふうになっているのではないか。そういうことを空想するのは結構だが、いったい、その見通しの発想の元…

野間秀樹『ハングルの誕生』

日本人の、英会話が、いかに、下手くそかが、はるか昔から、言われていながら、学校は、まったく対策をやる気があるのかも分からない状況が続いている。 日本にいる限り、英語を話せなくても、まあ、大抵のことは、困ることはない。たまに、外国人観光客に英…

藻谷浩介『デフレの正体』

今週の、videonews.com の番組の内容が、このゲストの本の紹介であった。その内容は、非常に分かりやすい、現代日本分析になっている。 ようするに、今、この日本に、何が起きているか。それは、単純なんですね。 年寄りが、ものすごい勢いで増えている。今…

上野千鶴子『女ぎらい』

一つ前で紹介した本においての、日本の未来の処方箋として、女性労働力の活用が3本柱の一つになっている。少子化は、どうしたって労働力の不足の問題となっていく。しかし、それを外国人で補完していこうという考えは、安価な労働力を求める企業にとっては…

田端博邦『幸せになる資本主義』

以前、 希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学作者: 池田信夫出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2009/10/09メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 492回この商品を含むブログ (52件) を見る という本を紹介したとき、著者が、「希望を捨てる」ことこそ…

河村健吉『影の銀行』

人々は、実際のところ、「どのように」生きているのだろうか。 ずいぶんと、アバウトな問題設定であるが、こう考えてみよう。私たちが生きるということは、衣食住において、必要条件を満たすことが前提となる。その上で、さまざまな、個人的な活動が可能とな…