2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

二つの手

私たちが毎日生活していくうえで、手というのは、とても不思議な存在である。 この右手と左手が、どういうふうに不思議かというと、まあ、言うまでもないだろう。私たちが、だれかと「契約」をかわすときは、文字を書き、契約書をかわす。日常の仕事で、パソ…

L・フェスティンガー『予言がはずれるとき』

(全体的に、掲題の本とあまり関係ない話が多くなってます。) 認知的不協和理論というと、私は、漫画の『ナニワ金融道』を、思い出す。 作者が亡くなった後も、連載は続いているようだが、私は読んでいない。おそらく、さらにテクニカルな話が続いているの…

背伸びをするな

そもそも、明治から始まった、近代日本国家の「特徴」とは、なんだったのだろうか。それは、「リーダー」のような存在を徹底して作らないような思想だったのではないか。もっと言えば、ドラッカーの言う「マネージャー」を「拒否」した組織だった、と。 そも…

片山杜秀『未完のファシズム』

正直言って、人々がなぜ、保守的なのかについては、早い話が、日本社会において、自らの出自を明らかにして、保守的でなくいられる人は、そもそも、(左翼的な)運動をやっている人(マイノリティ憑依をしている人)くらいなんじゃないか、という意味で、基…

「利害」当事者の時代

原発については、いろいろ考えてきたが、私は最終的には、なぜ東京に原発がないのかが、すべての本質だと思うようになってきた。 これは、日本国内における「植民地主義」なのだと考えると説明がつく。 よく考えてみれば、日本の明治以降の近代化とは、この…

環境はシステムか?

この前、荻上チキさんの『社会的な身体』にある、「ノート 「情報思想」の更新のために」、という章について、再度検討してみたが、私はそのとき、ある用語的な意味で、違和感を感じていた。 「情報思想」について議論する場では、次のような「物語」が一定…

東京の落書き

ちょっと、変なことを書きたい。 東京にここ何年か過している人には、あまりに毎日目にしてきたものに、 落書き がある。 東京の壁という壁に、スプレーでカラフルに描かれた、なんともプリンとした、人のお尻のような形のフォントのものだが(最近は減った…

宮永照包囲網

今期のアニメの中で、あえて「おもしろい」ということで一つを選ぶなら、咲-saki-阿知賀篇だろう。しかも、全国準決勝の先鋒戦は、多くの時間をさいて、細かく描こうとしているだけに、そのおもしろさが際立っている(興味深いのは、月刊誌の漫画の原作に、…

暗号社会

ised の倫理篇という、やたらぶ厚い本を読んでいて(ツイッターが普及する前のもののようだが)、まず思った感想は、倫理といいながら、全体として、一貫して、ネガティブなネット上の社会現象に対しての、 管理 をITで、どうやって実現するのか、みたいな…

キャス・サンスティーン『インターネットは民主主義の敵か』

それにしても、私が昨日の総理の会見を興味深く思ったのは、あれが、 総理の「意見」 として言われていたことだ。つまり、総理自身がこれ(関西原発再稼働)を、 一般意志「ではない」 と言っているに等しいということなのである。国民の大多数は、自分とは…

国民を脅す総理の「脅迫政治」

野田総理大臣は、原発再稼働の理由として、日本が中東の石油に依存していることを挙げた。 つまり、彼は、もし日本が原発を動かさなかったら、中東の政変によって、戦後のオイルショックや、戦前の日米戦争のようになる、と 日本国民を脅した わけである。そ…

平成のラジウムおじさん

この前、紹介した大澤さんの本に、大変に興味深い話が載っている。 一九五〇年代の後半、「ウラン爺」と呼ばれ、日本中全員の羨望の的となった人物がいた。その男の本名は東善作である。夢よりも深い覚醒へ――3・11後の哲学 (岩波新書)作者: 大澤真幸出版社/…