2012-01-01から1年間の記事一覧

BUMP OF CHICKEN「ディアマン」

結局のところ、「BUMP OF CHICKEN」とは、なんだったのだろうか? 東日本大地震があり、そのチャリティもあって、「HAPPY」なんて、歌もあって、少しそんなことを、考えた方がいいのかな、という気持ちが、なんとなく、ずっとあった。 彼らは、いわゆるテレ…

浅見雅一『韓国とキリスト教』

(安廷苑との共著。) 日本の知識人の特徴として、一つ考えられることは、彼等が、人文学問を志していると言いながら、こと、宗教史の知識を勉強していないことにあるのではないだろうか。 それというのも、彼等、日本の知識人にとって、自らが知識人である…

大島堅一『原発のコスト』

最近でも、原発再稼働は、不可避という発言を、ときどき、見かける(とはいっても、大飯原発は、断層問題が、かまびすしく議論されている中でさえ、すでに、動いているわけだが)。その理屈は、意味不明の屁理屈にしか聞こえないが、いずれにしろ、 原発を動…

濱野智史『前田敦子はキリストを超えた』

今回の選挙の結果は、小選挙区選挙の特徴が、如実にあらわれている。 確かに、結果としては、自民党の圧勝という形ですが、実際は、投票率が大幅に下がっている。さらに、朝日新聞の調査では、自民党の支持率は、ずっと、下がり続けている、という。ところが…

なぜ人々は民主党政治の総括をしないのか?

今回の選挙の結果が、どうなろうが、明らかに、おかしかったのは、民主党が、なぜ「脱官僚」や「政治主導」の、看板を下げたにもかかわらず、まったくそれについて、説明(反省=アカウンタビリティ)をやらないのか? であろう。つまり、それなりに頭のいい…

水島治郎『反転する福祉国家』

掲題の本は、オランダの、現代政治の近年の、二つの側面、 「成功した(と言われる)」福祉国家 (特にイスラムに対する)排外主義 が、実際のところ、深く結びついているのではないのか、という分析となっており、これらが日本の政治の近年の右寄りの傾向と…

北野一『デフレの真犯人』

(videonews.com で紹介されていた本。) 日本が、バブル以降の、最も大きな変化が「デフレ」であることは、だれもが認めるところであろう。 では、日本のビジネス・サイドで、大きく変わったことを、二つあげるとするなら、非正規雇用の増大と株主配当金の…

井上達夫『世界正義論』

今回の選挙を見ていて、一つ思うことは、各党の公約に「(昔の左翼がよくやった)現状認識」が、弱いことである。 自分たちが、政権を奪取したら、なにをやるかは、そもそも、自分たちが、どういった現状認識をしているか、に関係する。 しかし、その場合に…

川田宇一郎『女の子を殺さないために』

日本文学なるものが、明治の夏目漱石あたりから、書かれるようになって、今に至るわけだが、正直、そういったものの需要がよくわからなくなっている側面がある。こういったものを、読んでいる人も書いている人も少なくなっている中で、こういった 日本文学 …

ジェイムズ・S・フィシュキン『人々の声が響き合うとき』

もしあなたが、病気なり怪我なりで、病院のお世話になるとき、「インフォームド・コンセントなんて不要だ」と言う人を信用できるだろうか? 言わば、これこそが、近年さかんに話題になっている「熟議民主主義」の意味なのではないか、と思っている。 民主的…

キャス・サンスティーン「共和主義の復活を越えて」

選挙を前にして、日本の政党の数がインフレーションを起こしている今の姿には、なんとも言えない不思議な光景のように思っている人もいるのかもしれない。 小選挙区制によって、二大政党の時代に突入したと言われていて、民主党によって、政権交代までが実現…

柄谷行人『哲学の起源』

人類の歴史を考えたとき、遊牧民というか、狩猟採集生活をしていた期間というのは、農業を始めた期間に比べて圧倒的に長い。ほとんどの期間、人類は、狩猟採集生活をしてきた。 ということは、なにを意味しているか? 人間の慣習的な作法の多くは、こういっ…

つまらないエヴァ

この前、映画館で、エヴァンゲリオンを見たのだが、とにかく、つまらない。ずーっと、同じことをやっているんだな、という印象しかない。よく、あきもせず、人々は見るなあ、という印象だ。 エヴァンゲリオン:碇ゲンドウ(父親) --> 碇シンジ(子供) この…

民主党は何をしたのか?

今日、仕事に行く途中、駅前で、民主党のチラシを配っていたので、もらって、帰宅してから読んでいる。 つまり、2009年からの、民主党政権が、その任期の間に、何をしたのか、ということなのだが、素朴に思ったのは、 非常に細かい ということではないだ…

貴志祐介『悪の教典』

(イスラエル軍による、ガザ空爆が行われている現在、それを止めることのできない国際社会に対して、掲題の小説の主人公「ハスミン」という サイコパス と、なにか「同型」のものを感じてしまう私には、そう簡単に「近代」はやって来ないんだな、という「あ…

小野善康『「脱原発」は今最も効果の大きい経済政策である』

我々が驚いたのは、復興予算と呼ばれていたものを、民主党が、かたっぱしから、東北の復興と、なんの関係のない所に使っておきながら、今だに、 使っちゃった(星マーク)テヘペロ で「なんとかやり通せる」と思っていることであろう。おそらく、いろいろな…

佐伯啓思『経済学の犯罪』

近年、あらゆる事象を経済学のターミノロジーで説明することが、当たり前になった。しかし、その道は「いばらの道」である。つまり、経済学(=新自由主義)とは、一つの 経済モデル を示しているにすぎず(これを「天動説」と比較してもいい)、つまり、一…

大川真『近世王権論と「正名」の転回史』

日本の政治史が、飛鳥時代の、律令国家から始まっているということについて、反対する人はいないであろう。つまり、それは、 中国の制度 の「輸入」のことを言っている。しかし、源氏の頃から、その政治体制は武士を中心とした封建制へと移っていったわけだ…

彭丹『中国と茶碗と日本と』

日本文化という言葉を使うとき、それは「事実性」として言っているのか、「概念」として言っているのかは、大きな意味の違いを指唆しているように思われる。 例えば、東浩紀さんの「憲法2.0」という、新憲法草案にしても、何度も「文化」や「文化的遺産」と…

マーサ・スタウト『良心をもたない人たち』

(さて、オバマが再選ということだが、これって、彼の医療制度改革を、ヒスパニックなどのマジョリティが支持した、ということを意味しているのだろうか?) 掲題の本も、ある意味で、ある種の傾向をもった性格をしている人を dis ることを目的としていると…

榎本博明『病的に自分が好きな人』

近年のSNSの隆盛は、私たちに、実に、興味深い風景を見させているように思える。多くの心理学者たちは、この膨大な、 観察記録(=ライフログ) を前にして、大いに研究心をそそられているのではないだろうか。SNSの特徴は、とにかく、「つぶやく」こ…

ミシェル・フーコー『真理とディスクール』

少し前に、計算には通信が不可分の関係にあるんじゃないのか、と書いたとき、頭にあったのは、ケインズの美人投票であった。 だれが美人だと思うかを言う:ある人A --> ある人B この場合に、私たちが思うのは、「Aには二人、いるんじゃないのか」というこ…

荻上チキ『ネットいじめ』

掲題の著者が旗振り役をしているのか、よく知らないが、「いじめ対策サイト」のようなものがある。 このサイトがどれくらい利用されているのかは知らないが、そのような視点で、インターネットを検索すると、実に、多くの「いじめ駆込み寺」のようなサイトが…

高学歴者による「いじめ」

世の中には、さまざまな言説があるが、それらの「真偽」を問うということは、一般的には、それらの「科学的真理」を問う、ということに対応している、と言えるだろう。 科学者集団の科学的「手続き」:世の中の言説 --> 真理 or トンデモ この場合の、「世の…

浦沢直樹『20世紀少年』

私は、掲題の漫画は、日本の漫画の歴史の中においても、最高傑作の部類だと思っている。 漫画の特徴は、小説や批評のリテラルな形式と、映像の感覚的な「理解」の中間を表現するスタイルにあると思っているが、掲題の漫画のテーマの一つである「いじめ」のよ…

原発とリバタリアニズム

いつの時代も、パターナリズムに耐えられないと思う人はいるのではないだろうか。 自分の子供を義務教育に通わせたくないと思っている人。 福島第一の半径20キロ圏内に住みたい人。 法律で禁止されている、放射性物資に汚染されている、食糧を食べたい人。…

第二の国家

よく考えてみると、なぜ、国家は複数存在しないのかは、不思議だ。つまり、日本列島になぜ、一つの国家しかないのか。 それは、沖縄やアイヌは民族が違うのだから独立すべきだ、とか、会津などの東北は、明治維新で、対立したのだから、独立したっていい、と…

日本人はなんのために生きているのか?

今週の、videonews.com は、デンパクということで、大変に興味深いものがあった。 日本の広告代理店の世界において、恐しいまでの、圧倒的な規模を誇る電通は、二位の博報堂の倍近くに迫る。 しかし、普通に考えて、それは、あまりにも大きすぎないだろうか…

原発一般意志2.0

株式や保険の世界では、よく、ポジション・トークということが言われる。この場合、その発言をする、著名な市場関係者は、あくまでも、「予測」であるので、「風説の流布」のように「嘘」と区別されます。 しかし、この事態を、「利益相反」ということから考…

照井一成「相互作用としての計算」

アリスという人が、ボブという人と、「対話」をしたいと考えたとする。しかし、直接、フェイスツーフェイスで会うことは、忙しい現代人には、難しい(体を二つに分けて、別の場所に同時に存在することはできない)。しかし、 通信 を使うことによって、この…