2007-12-01から1ヶ月間の記事一覧

松本健一『三島由紀夫の二・二六事件』

この本では、掲題の通り、三島由紀夫と、二・二六事件の関係を中心に、さまざまな角度から、論じられている。内容豊富であるが、新書で、薄く、さっと読めてしまう。 三島由紀夫と北一輝。この二人の特徴を考えたときに、ある一つの傾向を、この本では指摘し…

久野収/鶴見俊輔『現代日本の思想』

ここでは、「4 日本の超国家主義」を見ていく。実によくまとまっていると思う。ここだけでも、日本人の多くが読まれる価値があるのではないか。 日本の明治の国家の骨格を作ったのは、伊藤博文であった。彼は日本をどのような国家にしようとしたのか。 もち…

福田康夫『一国は一人を以って興り、一人を以って亡ぶ』

福田さん、衛藤さん、のインタビューの形式の、かなり前の、対談である。まだ、最後まで読んでいない。 思うのだが、安倍前総理が、国民から、徹底的にパージされたきっかけは、いつかと考えると、やはり、国会で、年金問題で、長妻議員から、国民への情報の…

柄谷行人「中野重治のエチカ」

大江健三郎との、中野重治をめぐる対談である。これは、リラックスした中で、語られたものだと思うが、今読んでも、大変興味深い対談である。その全体像は、本文を読んでもらうとして。 こういった発言がある。 僕は、基本的に、資本主義は終ると思っていま…

柄谷行人「被差別部落の「起源」」

作家の中上健次が亡くなったのは、ずいぶん前だが、彼は、生前、被差別部落と、彼自身の関係を語っていたことがある。彼の紀州サーガにおいて、雑賀孫市をにおわせる記述があったと思う。ここでは、主に、石尾芳久『一向一揆と部落』を読んで、その意味を研…

清水義夫『圏論による論理学』

昔、森毅が、その存在を指摘していた、Mac Lane が指摘した、論理学の現代版のようだ。 一般に、数学基礎論から、作られる、集合論は、どういう世界か?「はじめに一者あり」である。存在論的な形になっていて、その一者(実は、空)から、すべての存在が生…

マーヴィン・ミンスキー『心の社会』

昔、コンピュータ関係の書籍を紹介していた本でみつけて読んだ。 内容としては、子供の発達心理学的なアイデアから、人間の心の機能を解明していこうとする意欲作。「エージェント」という言葉は、あまりにも有名になった。 正直言うと、欧米の科学専門書と…

「ソフィーの選択」

ずいぶん昔、学校時代に、深夜、テレビで見た映画。ナチスに関係した映画だったと思う。ソフィーを演じていた女性がきれいだなという印象がある。原作があるみたいなので、いつか読んでみたいと思ってはいるんだけど。ソフィーの選択 [VHS]出版社/メーカー: …

バートン・L・マック『失われた福音書』

かなり昔に読んだ本で、実は詳しく内容を覚えていない。 この本では、作者は、俗に、「Q資料」といわれる、新約聖書の原型のような資料を解析する中で、そこに、ギリシア哲学の一派である、犬儒派の思想のにおいをかぎとる。 これを読んだときに思ったのは…

柄谷行人「安吾とアナーキズム」

この論文は、2002 年の坂口安吾のムック本に掲載されている比較的、短かい論文である。ここで、柄谷行人さんは、坂口安吾が、早い時期から、日本のアナーキストとの、交流があったことを指摘しています。 坂口安吾という人も、伝説的な人ですね。作家であり…

引用

webをみると、引用については、著作権の話もあり、「本文が主で引用が従」ということを言っている。このwebのスペースを、個人的なものに近いものと考えるか、今の再販制度で守られている出版物と同列に考えるか、そういった違いもあるんでしょうね。私とし…

柄谷行人「国家は死滅するか」

これは、けっこう、昔、湾岸戦争から少したった頃の柄谷行人さんの短かい論文である。 自由主義、国家の廃止、こういった問題について整理している。ノージックの本とかありましたが、つまり、最近の、リバタリアニズムに近い問題関心ですね。 ただし、ここ…

柄谷行人『探究2』

この、「探究」という一連の論文は、いろいろな大変、示唆に富んだ指摘がある。以下は、「シャーマニズム」について書いた所である。 彼(農夫)は共同体の内部に属する者であり、また何とか操作しうる自然を相手とする者である。彼は、自然に対して無力であ…

小島毅『東アジアの儒教と礼』

これも今読み終わった。こちらは、「礼」を中心とした歴史、儒教、朱子学、のおさらいのところがある。前半で、おもしろかったのは、前漢末の宮廷の図書整理、目録作成についてだ。 前漢末についてもう一つ見のがせないのは、宮廷に収蔵された図書が整理され…

小島毅『義経の東アジア』

今読み終わったところ。こんなにおもしろいと思っていなかった。細かい解説は後で書こうと思うが。義経の東アジア (智慧の海叢書)作者: 小島毅出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2005/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (11件) を見る

動画

YouTube など、簡単にサクられるので、リンクはっといても、動かなくなる。ちゃんと、チェックしてないと。

『安倍晋三の本性』

安倍は、強行採決の連続を行って、選挙で大敗して、姿勢方針演説をした後「逃げた」(今ごろになって、地元で、支援者周りをしているそうですが)。 安倍は、自分の実現したい政策をもつ人であった。そして彼は行った。安倍は、ことあるごとに、そのことを、…

鈴木祥子「River's End」

浜田省吾とデュエットしてたので、知ったんだったかな。 汚れた川の街で/わたしは育って/そしてあなたに会った/だれよりも信じてる/遠い人 この街を今日で出てゆくよ/悲しいこともあったけど 陸橋の上で/手を振って別れた/始めから分ってた/ことのよ…

宮崎学『法律と掟と』

中国社会は、中央集権的な国ではないかと言われるが、民衆は、「面従腹背」なんだと書いてある。ここが重要なんだと思うんです。なんで、その辺の普通の百姓が、国家にズブズブにならなきゃいけないなんて話になるんだ。法と掟と―頼りにできるのは、「俺」と…

再び推敲について

記述ミスは当然変更するとしても、文意を変えるような変更をするのはどうかなと思わなくはないんだけど、ローカルで文章を書いてるのと変わらない感覚なので。まあ、日記なら日記って、書きますし。

宇多田ヒカル「Beautiful World」

映画の、エヴァのエンドロールの曲。彼女自身のコメントもある*1。Beautiful World / Kiss & Cryアーティスト: 宇多田ヒカル出版社/メーカー: EMI Records Japan発売日: 2007/08/29メディア: CD購入: 1人 クリック: 39回この商品を含むブログ (231件) を見る…

大江健三郎『万延元年のフットボール』

彼の初期の作品。万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)作者: 大江健三郎,加藤典洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 1988/04/04メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 97回この商品を含むブログ (107件) を見る

小島毅『海から見た歴史と伝統』

読んでる途中。遣唐使以後もずっと、これほど、海外との交流が、あったというのは、知識がなかった。また、朱子学が、宗の時代に中国で普及したのと、江戸時代に日本で普及したことの、時間的な関係について、以下にある。 近世とは、朱子学が禅仏教から自立…

中上健次『奇蹟』

紀州サーガの一つ。アル中のトモノオジの視点から描かれる。奇蹟―中上健次選集〈7〉 (小学館文庫)作者: 中上健次出版社/メーカー: 小学館発売日: 1999/08メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (15件) を見る

柄谷行人「整体としての革命」

彼の場合、基本は、「個人主義」なのだろう。 だから、簡単に言うと個人主義ですね。人に支配されたくないし、人を支配したくない。そういう気持ちがあったね。 であれば、どうするのか。「人に意志を強要しない、暴力も使わない、それでいて自然に人が変わ…

『ホジュン』

ちょうど、秀吉の朝鮮出兵の頃の作品。「東医宝鑑」は、江戸時代、日本でも多くの影響を与えたらしい。ホジュン BOX [DVD]出版社/メーカー: 松竹発売日: 2006/09/28メディア: DVD クリック: 24回この商品を含むブログ (69件) を見るホジュン BOX2 ~宮廷医官…

『冬のソナタ』

日本での、韓流ブームをつくった作品。逆に言うと、なぜこの作品がそれほど熱狂的に受け入れられたのかは、不思議な感じがする。冬のソナタ DVD-BOX vol.1出版社/メーカー: NHKエンタープライズ/バップ発売日: 2003/08/21メディア: DVD クリック: 15回この商…

『隠し剣鬼の爪』

藤沢周平の短編小説を原作とした、監督の山田洋次の映画。最後、松たか子演じる、女中のきえ、は、侍でありながら脱藩して、江戸へ向かう宗蔵についていくか、聞かれる場面がある。そこは原作にはないのだが、その反応は、幕末の徳川の身分社会が瓦解してい…

『論語』

私が読んだのは、以下である。どちらかというと、朱子学的な翻訳ではないもので、さまざまな翻訳の中で一番自然に思えるもの、また、場合によっては、新訳を提示してもいる。基本的に、一つ一つの節ごとに、その内容の解説があり、翻訳者の解釈を一つ一つ理…

若井敏明『平泉澄』

平泉澄というのは、伝説的な人である。丸山眞男も、網野善彦も、ある部分、彼を「仮想敵」として仕事をしていたのでしょう。彼は若いとき、自らを「国家主義者」と定義した。 その時の模様を報告した哲学科の野口広信によれば、その場で平泉は「余は国家主義…