D4DJの奇妙な感動

スマホゲームのグルミクだが、テレビシリーズがあった後も、ストーリーはゲーム内でどんどん進んでいる。新たに、アビスメアとユニコードが加わって、ストーリーは、アビスメアのボーカルのネオと、ユニコードのボーカルの一星ルミナの二人を中心として話は進む。
といっても、一星ルミナは人間ではない。ブイチューバーとして活躍する、作品内では「AI」と呼ばれる

  • ロボット

だ。彼女は実体がない。肉体がない。天才科学者が生み出した、人間の心をもつAIであり、その今は亡き科学者の娘がネオであり、この二人は奇妙な「姉妹」関係となっている。
ストーリーは、このAIという、IT系の人たちが身近に思っている話題を中心にして進むこともあり、スマホアプリ開発者にとっては、筆が乗る話なんだと思うが、純粋に音楽を楽しんでいるスマホユーザーにとっては、とってつけたようなチープなストーリーだ。
ただ、XROSS∞BEAT7において、私は少し興味深く話を読んだ。今回は、ある意味で、このシリーズの最終回と言ってもいいような内容だった。
今回、ルミナは自らのプロトタイプとの戦いにおいて、自らを犠牲にして、この世界を守ると約束して、ユニコードのメンバーに最後の別れを語った。しかし、リーダーの海原ミチルはルミナのその主張が納得できなかった。
この戦いが終わって、平安が訪れたわけだが、ミチルは他の人には、ルミナは戻ってくると言っていたと嘘をついた。彼女が自らを犠牲にして、この世界を救ったことが、どうしても受け入れなかったからだ。
日常に戻ったミチルは、朝起きるといつものようにルミナに向かって、自分を起こしてくれなかったことをどうしてと、つぶやくわけだが、もう彼女はいないのだから当然だった。
しかし、ある日、高校の教室で、今日から一緒に学ぶ新入生が転校してきたことを知らされた。それが、一星ルミナだった。
驚いたミチルは、ルミナとの再会を喜ぶ。ルミナは竹下、桜田、清水グループが共同開発したロボットとして、「肉体」をもった形で転校してきた。
そもそも、海原ミチルは「孤独」な少女として、作品内では登場した。ピキピキの犬寄しのぶというDJの天才にいつもからんで、勝負を挑む、一種の「お笑い」キャラとして彼女は作品に何度も登場した。しかし、彼女にはどうしても仲間ができなかった。そんな彼女が始めて、グループを組んだのが、ユニコードであり、ルミナはそのメンバーだった。
ミチルにとって、ルミナとはどういう存在なのだろう? おそらく、日本において「孤独」な子どもの原初的イメージは、どらえもんののび太だったんじゃないか。のび太にとってのどらえもんは、欠かすことできないパートナーだった。いつも一緒にいてくれて、どじでダメなのび太をいつも支えてくれた。そう思ってルミナを見るとルミナの声はどこか、どらえもんを思い出させる少し低音だ。ミチルという友だちができなかった「孤独」な彼女は、ルミナという「どらえもん」に支えられて、ユニコードというグループという形で「友だち」を始めて作ることができた、そういうストーリーだと読むことができるように、私には思われる...。